・「シノドスは首尾一貫性と具体性がカギ」-教皇、若者たちの問いに答える

(2018.10.6 VaticanNews Seàn-Patrick Lovett)

 6日夕にバチカンで開かれた若者たちの招いてのイベントで、彼らが提起した問いに対して、教皇フランシスコは即席で返答したようだった。だが、教皇はシノドスに出席した司教たちにもっと完全な答えを委ねた。「ここに書き物で用意された質問があります」と教皇は前置きし、「シノドスに出席している司教たちがお答えになるでしょう」と語り、その理由を「もし私がここで答えを言ってしまうと...私はこのシノドスを無しにしてしまわなければならなくなるでしょう。答えは皆から、私たちの省察から、私たちの議論から、そして何よりも、恐れることなく、作らねはなりません」と今回のシノドスの意義も含めて説明した。

*いくつかの有益なこと

 そのうえで教皇は、いくつかの基本的な原則と「いくつかの有益なこと」を若者たちに示すことでご自身の短い省察をなさった。その第一は、「歩み続ける若者たち」、「鏡ではなく地平を見据える」若者たちを励ますこと。鏡をのぞき込むことで自分は見つけることはなく、「私たちは、『行動すること、善、真理、美を求め続ける中で』自分を見つけるのです」と強調された。

*首尾一貫すること

 また、ご自身の講話の際に1人の若者が使った「首尾一貫」という言葉に心を打たれたことをお話しになった。「あなた方が”首尾一貫”した教会を見る時、イエスが山上の説教で示された八つの幸せをあなた方に読み伝える教会が、一番”立派”な、恥ずべき聖職者至上主義に陥っていることを知る、ということを私は分かっています。あなた方がキリスト教徒で、八つの幸せを受け、実行してください」と。そして教皇は、若者たちも、首尾一貫せねばならない、とし、「これが第二の原則です」と言われた。さらに、権力を持つことの意味の感覚を失うことについて触れ、「真の権力は使えることです… 権力は人々が育つようにし、人々に仕えるもの、となるのです」と指摘された。

*とても貴重な若者たち・「デジタル社会」で陥りやすい危険

 次に教皇は、彼らに「自分たちがとても貴重な存在だ」ということを思い起こさせ、「あなた方はオークションにかけられる雑貨ではありません」とされたうえで、「どうか、あなた方自身を買われたり、だまし取られたり、イデオロギー的な植民地化によって奴隷にされないようにしてください」と注意された。そして彼らが自由であり、「その自由に恋する」ことを必要としている、なぜなら、これこそ、イエスが与えて下さることだからだ、と強調された。

 また、「デジタル社会との相互の繋がり」についても言及され、その繋がりの速さと効果を認めつつ、若者たちに、それに依存しすぎ、人間同士の関係を犠牲にする危険があることを注意された。依存しすぎることで、「あなた方は、テーブルにつき、昼食か夕食をとながら、携帯電話で、別のところにいる人、あるいは目の前にいる家族と話すようになってしまう。(注・抽象的=仮想現実ではなく)具体的な生身の人間を相手にした会話ではなく、携帯電話による関係になってしまうのです」と警告された。

*具体性の重要性

 こうした具体性について、教皇はさらに「あなた方が確かに歩む道は、具体性を持った者でなければなりません。もしも、メディアあるいはウエブがあなた方から具体性を取り去れば、あなた方は”流れ”になってしまいます。(注「そのような恐れが出たら」)遮断しなさい。なぜなら、具体性のないところに、あなた方の未来はないからです」と厳しく指摘された。そして、他の人々を喜んで受け入れる具体性の実際的な例を示した。それは、彼が若者たちと話した時に1人が質問した言葉だった。「どうすれば、外国人、よその人、移民の人を悪とか敵とするような見方が急激に広がっています。そのような見方を克服するにはどうすればいいのでしょうか」という問いかけだ。

*”ポピュリズム”と”ポピュラー”の違いは

 教皇は”ポピュリズム”と”ポピュラー”の意味の違いを「”ポピュラー”は人々の文化。芸術、文化、科学の分野で表現されるあなた方の仲間の人々それぞれが持つ、称揚される文化、です」。”ポピュリズム”はこれとは「正反対です。”閉鎖”の典型です。私たちは閉じられ、孤独になります。そして、閉じられれば、前に進めなくなります」。そして、「『愛』は、すべての扉を開く言葉なのです」と強調された。

*具体性のルーツ

 最後に教皇は改めて「具体性」に言及し、若者たちをこう言って励ました。「お年寄り、あなた方のお爺さんたちと時を過ごし、話を聞きなさい。その方々はルーツ、あなた方の具体性のルーツ、あなた方が成長し、花開き、実を付けるルーツを持っているのです」。そして、「覚えておいてください。木が独りぼっちなら、実はならない。木が花の中に持っているすべては、土の中に埋まっているものからくるのだ、ということを」と締めくくられた。

 そして、教皇が話されたことは(シノドスの議論の)単なる「方向付け」であり、その答えは、シノドスに出席している司教たちに「委ねられているのです」と、念を押された。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2018年10月7日

・「適当な時期に徹底した捜査の結果を公表」バチカン広報局が”マカリック問題”で声明

(2018.10.6 VaticanNews)

 教皇フランシスコは6日、バチカン広報局に対して、米国の前枢機卿、セオドール・マカリックの性的に不適切な行為に関する申し立てへのバチカンの対応について、以下の声明を発表するよう指示した。以下は、新聞発表の声明全文。

 「セオドール・エドガー・マカリック大司教の行為についての申し立てが公表されて以来、教皇フランシスコは、申し立てを認識し、それが信徒たちの良心にもたらした困惑に心を痛め、以下のことを伝えることを決断した。

 2017年9月、ニューヨーク大司教区は聖座に対して、ある男性が1970年代に自分を性的に虐待したとマカリック前枢機卿を訴えたことを、報告した。教皇はこの件について徹底した予備的捜査をニューヨーク大司教区の手で行うよう指示し、捜査終了のあと、関係書類がバチカンの教理省に提出された。その間に、捜査の過程で重大な事実が明らかになったため、教皇はマカリック大司教の枢機卿辞任を受理し、聖職者としての公の活動を禁じる命令を出し、祈りと痛悔の生活を送るよう義務付けた。

 聖座は、今後適当な時期に、マカリック大司教に関する問題についての結論を公表する。さらに、マカリック大司教に対してもたらされた他の訴えに関連して、教皇は、予備的捜査の間に集められた情報を、マカリック前枢機卿に関する聖座の各部局の文書保管庫に存在する全関連書類のさらなる徹底した検討結果と合わせ、すべての関連の事実を確認し、歴史的な文脈に位置付け、客観的に評価することを決定した。

 聖座は、諸事実と諸環境の審査から、そうした案件への現代の対応に合っていない選択が(過去において=「カトリック・あい」注)なされたことが明らかになるかもしれない、ということを意識している。しかしながら、教皇はこう言われているー『私たちは、それがどこに導くものであろうと、真実の道を歩みます』(2015年9月27日、フィラデルフィアでの発言)。性的虐待とその隠蔽はともに、もはや耐えることができず、また、性的虐待を犯し、あるいはそれを隠蔽した司教たちへの異なる扱いは、聖職者主義のやり方を実際に表わすものであり、もはや受け入れられない。

 教皇フランシスコは、性的虐待の重大な災危に対する教会内外での戦いの力を結集すること、社会の中で最も罪のない、傷つきやすい人々に害を及ぼすこのような犯罪が二度と起こらないようにすることを、改めて強く訴える。以前明らかにしたように、教皇は来年2月、全世界の司教協議会の会長たちを招集することにした。教皇が最近「神の民」に宛てて出した手紙に、その気持ちが表わされているー『余りにも多くの命に闇を投げかけたこのような邪悪に、私たちが対応すべき唯一つの道は、神の民としての私たちすべてに関する務めとして、それを経験することです。人々の一部であることの自覚と分かちあう歴史が、私たちが、内側から新たにされるを許されるようにする悔悛に心を開くのをもって、自分の過去の罪と過ちを認めることを可能にするでしょう』(2018年8月20日)」

(翻訳「カトリック・あい」)

2018年10月7日

・全体会議2日目:性的虐待、LGBT、移民・難民などで真剣な議論、「教会の過ち」謝罪”も(Crux)

(2018.10.5 Crux National Correspondent Christopher White)

 ローマ発ー教皇フランシスコの3日の開会宣言で始まった「若者シノドス」は、2日目の全体会議で「若者たちの現実からかけ離れた“抽象的なイデオロギー”に傾く誘惑に陥らないように」という教皇の”警告”を聴く形で、性的虐待からLGBT(性的少数者)、移民、科学技術など具体的課題が議論の中心となった。

 この日は、約300人の出席者の中から代表して発言した約50人はいずれも与えられた時間を無駄に使うことなく、もっとも今日的なトピックを取り上げた。

*性的虐待の「犯罪と罪」に立ち向かう

 最初に発言した米国コネチカット州ブリッジポートのフランク・カジアーノ司教は、言葉を選ぶことをせず、性的虐待問題を正面から取り上げた。「性的虐待は、若者たちが教会の指導者たちと制度としての教会に対して持つべき確信と信頼ー彼らの司祭、司教たちが真の霊的な父として、彼らの生活の中で大人として、信仰の正しい助言者として役割を果たすことへの信頼ーを損なった犯罪であり罪です」と明言。

 「この罪は私たちの中で二度と繰り返さない。そうすることによってのみ、世界の若者たちは、私たちのシノドスの呼びかけが自分たちを安心させ、ほっとさせ、希望と帰属感を取り戻そうとする叫びであることを信じてくれるでしょう」と訴えた。カジアーノは、若者たちを特別に重視することで、米国の司教たちの中で”期待の星”とみなされるようになってきている。来年1月にパナマで開かれるワールド・ユース・デーの米国代表団の団長に予定されている。

 同じ米国フィラデルフィアのチャ-ルズ・チャプット大司教も性的虐待問題に触れ、「聖職者による性的虐待の危機はまさに、私が生きている時代に、教え、導くことを仕事とする者の間にさえも広まった自堕落と乱脈の結果だ。小さな人々-私たちの若者たち-がその代価を払わされているのです」と強調した。

 性的虐待について最も厳しい”自己批判”をしたのは、オーストラリア・シドニーのアンソニー・フィッシャー大司教だった。彼は会議場にいる若者たちに直接、そして全カトリック教会に向き合い、教会の道徳的な過ちを謝罪した。「司祭たち、修道者たち、そして一般信徒の何人かが、あなた方、あなた方と同じ他の若者たちに対して犯し、ひどく傷つけた、恥ずべき行為を、私は謝罪します」「そして、余りにも多くの司教や他の者たちが、性的虐待を知った時に適切な対応をせず、あなた方の安全を守るために全力を尽くさなかったことを、私は謝罪します」と赦しを願った。

 さらに、彼は「カトリックの学校、小教区は、信仰を伝えることに失敗し、教会指導者は距離を置き、喜びもなく、”美しさを欠き、あるいは歓迎されない”ミサ典礼をしてきたこと」についても謝罪を続けた。

 そして、「あなた方が迷い、どの方向に進むか教えてもらうことを必要とする時、若いイエスがあなた方にとっての不滅の道だ、ということを思い起こしてください」「あなた方が思いまどい、しっかりした教えを必要とする時、若いイエスがあなた方にとっての永遠の心理であることを思い起こしてください… 教皇がおられ、私の兄弟である司教たちの前で、私は若者たちに対して約束します、いつも彼らのためにおられるキリストに近づくようにすることを約束します」と言明した。

 会議に出席していたかなりの数の人はCruxに感想を聞かれ、フィッシャーの発言が最も熱意溢れていた、と認めた。

*LGBTにも焦点が当てられた  

 チャプット大司教は、今シノドスの準備文書に対する批判などから、その発言が注目を浴びて来たが、シノドスの最終文書に「LGBT」という言葉が書き込まれる可能性が高いという観測を踏まえて、そのような言葉を受容する教会を、厳しく批判した。「人間の性について教会が有効としているのは、人をつまずかせるブロックではありません。有効としているのは、喜びと全き人生につながる唯一の真の道なのです」と言明。

 「あたかも、性的嗜好によってどれかを決めるかのように、あたかも、そうした指示が、個別の共同体に、現実の教会共同体の中で違いはあるが等しく整合的なもの-キリストの体-について、なされるかのように、”LGBTQ(LGBTシンパ)のカトリック”、”性同一障害のカトリック”、あるいは”異性愛者カトリック”などというものはありません。これまでの教会に、それは決してなかったし、今もありません」「そうした結果として言えるのは、 “LGBTQ”とか他の似た言葉は教会の文書に使われるべきではない、ということです。そのような言葉を使うことは、そのような人々が本物の、自主権を持った集団であることを暗に認めることになるからです。教会はそのように人々を単純に類別することはありません」と断言した。

*真理を発見する手段としての科学技術

 性的虐待の問題に加えて、カジアーノ司教が教会に求められていることとして指摘したのは、若者が現実をよりよく理解する助けとしての、科学技術の積極的な活用だった。「若者たちの成育に影響を与える科学技術について、福音宣教と宗教教育のためにもっと探求されるべき、素晴らしい手段であると申し上げたい」と主張。さらに「私の若者たちとの交流の経験によれば、彼らがいつも抱く問題は単純に知的なものではありません。彼らにとって一番の、最も重要な情緒的な問題は-尊敬に値するもの、希望についての合理性、他者とつながり、愛される能力についての問い-です」とも語った。

 4日の意見表明で他に注目されたのは、「Word on Fire Ministries」(人々を信仰に立ち戻させるためにメディアを活用しようとする”メディア使徒職”の組織)の創設者、福音宣教の現代的な形として科学技術の活用を主唱する米国での先覚者として広く知られたロバート・バロン司教によるものだった。彼は、若者たちにもっと合うように教会の護教学、信仰教育を刷新するよう提唱。現在の信仰教育のプログラムが”反知性的”なっていることを嘆き、新たな護教学-”上位下達”でなく”下位上達”の形をとる-の必要を指摘。「私たちの司牧活動に、傲慢に改宗させるやり方が合わないのは、はっきりしていると思いたい。同じようにはっきりしていると思いたいのは、知的で、敬意をこめた、(その地の)文化を大切にした、信仰についての説明(私たちの中にある希望に理由を与えるような)が確かに、切実に求められている、ということです」と訴えた。

*移民の問題にも触れた

 この日、司教たちの発言の中で取り上げられたもう一つ注目されたテーマは、教皇フランシスコも強い関心を持っている移民の問題だった。移民はこのシノドスの一つの典型的なテーマとなりうる-若者たちは、移民と同じように、先の見えない流れの中に置かれ、答えを求めている。フィリピンのルイス・アントニオ・タグレ枢機卿は、世界を巡り、若者たちと会って、話を聞き、写真やノートにサインをしてきた。彼は、そうした中で、以前に会ったことのあるある若者に再会した話をした。その若者は彼に「僕はあなたがサインしてくれたノートを枕のところに今も置いています」と打ち明けたー彼の父親は、移民で、彼と一緒には暮らしていなかったのだ。「あなたは、僕の父親です」と言われた時、涙ぐみました、と枢機卿は振り返った。

 タグレ枢機卿は、若者たちに近づこうとするシノドスの役割について語る際、「聴くことは神学的な原則、単に教育学的な原則ではありません」と強調した-教皇フランシスコは、まさにその点を取り上げ、前もって用意されていない発言の中でそのことを繰り返されるでしょう、と。

 会議の発言者たちが与えられた時間は1人4分。時間切れでマイクを切られることを心配しながら発言した。また、準備書面で示された三つの主要分野のテーマに沿った発言をするよう求められていた。

 会議場には、シノドスに慣れたバチカン関係者、初参加の代表が混じる一方で、間違いなく新鮮に見えるのは、右上の角の席を占める30人ほどの若者たちだ。出席した多くの司教たちはCruxに対して、何人かの司教の発言に対する若者たちの熱烈な反応は、助けとなるサインだった、と感想を語ったー何が若者たちの心に共鳴し、何を若者たちがこれからの議論の中でもっと聴きたいと思っているのか-彼らの反応を聴くことは神学的、教育学的、両方の目的に役立つ、ということを多分、示している、と。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2018年10月6日

・シノドス3日目:全体会議で性的虐待問題、デジタル社会における若者の問題も(バチカン放送)

(2018.10.5 バチカン放送)

 バチカンで開催中の「若者、信仰そして召命の識別」をテーマにしたシノドスは5日、3日目を迎え、午前中に第4回目の全体会議、午後には初めての分科会が開かれた。

 午前に行われた全体会議では、前日に続いて、シノドス討議要綱の第1部「認める:現実に耳を傾ける教会」をテーマに20名の司教が発表し、さらにシノドスに特別に招かれた人々や傍聴者たちが発言。傍聴者たちからは、「教会がより信頼を得るために、教会関係者による虐待問題に対する、確固とした、透明性のある対応が必要」との訴えがされたほか、信仰を励ますために「教会生活における女性の役割を価値づけて欲しい」との声があった。

 「今日、若者について語る人は多いが、若者に語りかける人は少ない」という、福者パウロ6世の言葉にあるように、このシノドスでも「耳を傾ける」ということがキーワードの一つになっている。この日の全体会議では、司教たちから、若者たちに「耳を傾ける」ための様々な方法の一つとして、”デジタル社会”における若者たちの現状、インターネット上のいじめや、情報過多の中でかえって夢を失っている若い人たちの状況を知る必要がまず、指摘された。

 一方で、「若い人々の前向きの姿勢をを見つめよう」として、「若者たちの友情や、連帯、ボランティア精神、言動の純粋さ、彼らが市民社会に言動一致を、教会により喜びと福音性を求めている」ことを挙げる意見もあった。

 さらに、今日、大人になっても、「いつまでも若者のままであり続けよう」とする傾向が、青少年たちに拠り所となる存在を見失わせており、若者たちは「自分たちのために時間を割き、尊重し、召命や人生の選択・識別を見守ってくれる大人を必要としている」との指摘があった。

 若者たちが教会生活に積極的に参加できるよう、ミサや、日常の祈り、秘跡をより生き生きとさせ、彼らの心に届き、喜びとインスピレーションを与える説教に努める必要がある、バーチャルな友達をたくさんいるが真の友人はわずか、という「たくさんの友人に囲まれた孤独」の中にある若者たちに、教会は充実した答えを与える可能性を持っている、とする意見もあった。

 「青少年の育成」という観点からは、教会の社会教説が若者たちの人生の羅針盤となっているのと同様、カトリック系の学校も良質の教育を与える場となっているが、「若者たちを完全に教会生活に関わらせるには至っていない」と自戒する声も出た。

 「教会と家庭の協力」の必要も強調され、特に、「母性と助け合い、補い合いながら、子に信仰を伝え、アイデンティティーの成熟を促す柱」となる父性の役割を見直す必要、との指摘も出た。シノドスに特別に招かれたテゼ共同体のブラザー・アロイスは、同共同体創立者ブラザー・ロジェの「教会が耳を傾ける時、それはあるべき姿、愛の共同体となる」という言葉を紹介。聖職者だけでなく、信徒も耳を傾ける、教会としての「聴く」使徒職の大切さを語った。

 (以下はVaticanNews より)

「自分たちも、問題解決に参加したい」「女性の役割向上が必要」と若者たち訴え

 続いて、全体会議に”聴講生”として参加した男女の若者8人から意見を聞く機会が設けられた。ここでは、「若者たちは単に統計的に分類されるのではなく、現在の問題解決に参加したい、と希望している」ことが指摘され、若者たちにある種の”優先的な選択権”ー排除のシステム、平等と正義を支持しないシステムによって傷つけられた若者たちは、意見を聞かれ、具体的な方法で助けられる必要がある、という意味でのーを求める声もあった。なぜなら、彼らは”現在の貧民””捨てる文化”の犠牲者となる恐れがあるからだ、という。

 今、「若い」ということは、根を持たず、“nati liquidi”(液状の状態に生まれあわせた)「捨てられる者の階級に属する」ことを保証されているようだ、との指摘もあった。現代の若者たちは不確実で脆弱、しばしば策略によって動かされ、未来を奪われるが、その一方でなお、「自分たちが一員として扱われ、歴史の主役、権力ではなく奉仕のための創作者となることを許される世界」を夢見ている、との訴え、カトリック教会が信頼を高めるために、人々が性的虐待に反対する断固とした姿勢をとり、公明正大であることを強く求める声もあった。

 そして聴講生たちは最後に、教会生活で女性の果たす役割をもっと高く評価することが不可欠であり、それによって、女性たちはイエスを信じることの自由の中で成長するように励まされていると感じることができるようになる、と強調した。

(編集・翻訳「カトリック・あい」)

2018年10月6日

・シノドス2日目:全体会議で「現実に耳を傾ける教会」など意見交換開始(バチカン放送)

(2018.10.5 バチカン放送)

 バチカンで10月3日開幕した「若者、信仰そして召命の識別」をテーマにした世界代表司教会議(シノドス)は、2日目の4日から、全体会議での本格的な発表と討議に入った。

午前中の全体会議は、シノドスに傍聴者として参加している一人の発言に耳を傾けることからスタートし、「若者たちは今、本質的に対話、正真性、参加を求め、自分自身をより理解するために、話を聞き、指導してくれる人々を必要としている」という証言があった。

さらに、「教会が若者を受け入れる時、互いの豊かさによって、教会自体も変わり、成長することができる」「若者の司牧を考える上で、愛や信頼、対話を教える家庭の大切さや、移民の若者たちを司牧者たちが父として助ける必要」などの意見も出た。

午前の全体会議の終わりに、各大陸から一人ずつ、「情報委員会」のメンバーが選任された。

 午後の全体会議の発表では、「新しい世代が世のパン種、光となり、平和と愛の文明の担い手」となれるように、「教会の宣教の刷新」が取り上げられた。

そして、まず、教会は「母」「家」として、声なき人の声を聞くように召されているように、「元子供兵士や、崩壊家庭の出身者、依存症、失業者、人身取引の犠牲者、職を求めての移民など、様々な状況に置かれた若者に寄り添う必要」が指摘され、「夢も信仰もなく、消費主義や、ジェンダーなどの新しい思想、極端な自由主義などによって、方向性を失った若者たちの現状」を挙げるとともに、「性的なテーマについて、キリスト教的観点から、率直に話すことが求められている」との意見も出た。

さらに、司教たちから、多くの若者は「堅信」の秘跡を受けた後に、小教区の共同体から遠ざかってしまうが、この問題に対し、「司牧の刷新」を強調する声も。「若者たちは、大人たちを現在の膠着した状態から助け、分裂し傷ついた世界で、預言的な交わりのしるしを教会が示すことを求めている」との指摘も出、青少年を「宣教の心臓部」とする声も出た。

未成年の虐待問題などで教会の信頼性が揺らぐ現在、「若い人々に司祭たちへの信頼を取り戻させることが急務」との認識も示され、カテキズムや典礼、信心業の重要さを再認識することの勧めや、活動主義だけにとらわれないように、「若者たちに祈りの重要さを教え、教会自体も若者たちのため、また召命のために祈ることが大切」との異見、若者たちの成長に応じた霊的指導の必要性が説かれるとともに、「霊的教育の上でも、多くの聖人たちの生涯は、今日も教会の模範であり続ける」との意見もあった。

(編集「カトリック・あい」)

2018年10月6日

・「シノドスは”店じまい”するか”現実的になるか”いずれかを選んで」‐被害者グループ訴え(Crux)

  (写真は、「若者シノドス」が開会した3日、バチカンの聖ペトロ広場前で抗議する女性たち=Credit: Claire Giangravè)

Groups feeling excluded tell Synod of Bishops to ‘close shop or get real’

 ローマ発=1か月にわたる「若者シノドス」が3日始まり、会場の扉が締められると、会議から排除されたように感じている女性や性的虐待被害者の複数のグループが、会場外の聖ぺトロ広場で集会を開き、店じまいするか、それとも現実的になるのか」と声を上げて訴えた。

 「この役に立たないシノドスを閉めるか、さもなければ現実に合わせて変えてもらいたい。性的虐待を隠ぺいしている司教たち。私たちはそれが誰だか知っています。辞任すべきだ」。2011年に司祭に性的虐待を受けたというアレッサンドロ・バッタグリアはCruxにこう語った。

 彼は、シノドスの会場となっている聖ペトロ大聖堂から石を投げれば届く距離にあるサンタンジェロ城で開かれたイタリアの性的虐待被害者ネットワーク「Rete L’Abuso」の座り込み集会に参加していた。集会は、世界中から高位聖職者たちが集まるシノドスの開催日の3日に会わせて開かれた。

 この日はシノドスの会場の外でも、別のグループが集会を開いたが、こちらは教会における女性の地位向上を求める女性たちの集まり。司教たちや教皇の名指しで、女性の声に扉を開くように、と求め、「ノック、ノック!そこには誰がいるの?教会の(信徒の)半分以上(は女性なのに)!」と繰り返し歌った。

 シノドスに出席する全アイルランド代表のイーモン・マーチン=アーマー大司教と北アイルランドのドナル・マッケオウン=デリー司教は、会場に入る前に、彼女たちに挨拶して、短時間、集会に加わった。

 シノドスは総じて、会場の内外での喧騒の中で始まった、と言っていいだろう。

 バッタグリアによると、彼は15歳の時に、ミラノ郊外のロザーノの教会でマウロ・ガリ神父から性的虐待を受けた。彼の家族と教会の司祭たちがミラノ教区事務総長だったマリオ・デルピニ師(現ミラノ大司教)にこのことを知らせたが、ガリはわずか12マイル離れた教会に異動させられ、そこでも自由に若者たちに接することができた。「これが犯罪行為でないなら、そう言ってもらいたい。僕は性的虐待の犠牲者なのです」と訴える。

 結局、ガリはイタリアの裁判所で禁固6年4か月の有罪判決を受け、服役することになったが、バッタグリアの怒りは収まらない。ガリの性的虐待を事実上、隠蔽し、他の教会へ移動させることで済まそうとしたデルピニ師は、責任を取ることもせずにミラノ大司教に昇進している。「僕にしてみれば、これは全く馬鹿げた話です。どのような勇気があって、このようなことをしているのでしょう?」「僕たちが今日、ここに来たのは、『言ったことは守ってください、zero tolerance(違反は厳正に裁く)と言われたことを実行してください』と教皇フランシスコにお願いするためなのです」。

 現在22歳のバッタグリアは毎日曜にミサに出て育ち、性的虐待に遭うまで、侍者を務め、聖歌隊に属し、教会と密接に関係を持つボーイ・スカウトの隊員としても活動していた。だが「彼らは僕をひどく傷つけました。司祭など誰も信じない」「このようなカトリック教会を信じません。教会はあまりにも長い間、変わることがない。僕が目にしているのは犯罪的でマフィアのような結束の固い集団でしかないのです」と嘆いた。「僕たちの命は大切ではないのでしょうか?はっきり言って僕の命は大切ではありません」。彼は4回も自殺しようとした、という。

 もう一人の性的虐待の被害者、アルトゥーロ・ボレリは、被害者たちが連帯しで声を上げるように呼びかけている。正義が”万能の薬”だーと。彼は、ナポリのシルベリオ・ムラ神父から他の子どもたちとともに性的虐待を受けた。「この運動を僕たちは教会のためにやっているのです。教会に逆らっているのではない」とCruxに語り、シノドスに集まった司教たちに、行動する、と言ってくれるよう、強く求めている。

 イタリアの性的虐待被害者ネットワーク「Rete L’Abuso」は3日朝、ローマの Radical Party 本部で会議を開き、イタリア政府に、聖職者による性的虐待で政府も共犯関係にあると訴えるとともに、性的虐待と隠ぺいについて徹底的に捜査するよう要求することを決めた。同ネットワークの代表は「これは最終段階です。イタリア政府が土壌を作った犯罪を検証するのは裁判官の判断に掛かっているのです」「私たちは、その対象に、小児性愛者、司祭、司祭以外すべてを含むよう求めます」と訴えた。

 イタリアと異動先のアルゼンチンで聾学校生たち性的虐待をしたとして告訴されているニコラ・コラッディ神父の被害者たちも、イタリア以外の性的被害者のグループの代表と共に、この会議に参加した。会議の主宰者は、教皇フランシスコに口先だけではなく、現実の事態を改めるよう主張した。「教皇のプロパガンダは、単なるプロパガンダです」とイタリアでの性的虐待被害者に強い関心を持つ弁護士のマルコ・ベラジーニは語っている。「教皇は一方で約束をし、また一方で他のことをしている」。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

 

2018年10月5日

・シノドス初日:「家庭シノドス」と使徒的勧告の延長上で、と事務局長強調

(2018.10.4 バチカン放送)

 「若者」をテーマとしたシノドス初日、

 バチカンで10月3日から「若者、信仰そして召命の識別」をテーマに「世界代表司教会議(シノドス)第15回通常総会」が始まり、初日は午前の開会ミサに続き、午後からシノドス・ホールで司教たちの最初の全体会議が行われた。

 全体会議では、教皇は参加者らをシノドスを始める祈りに招かれ、次いで開会の挨拶を述べられた。続いて、シノドス事務局長のロレンツォ・バルディッセーリ枢機卿が今回のシノドスの概要等について説明した。

 事務局長は、「若者」をテーマにしたこのシノドスは「『家庭』をテーマにした前回の2つのシノドス、およびその後の教皇の使徒的勧告『(家庭における)愛の喜び』の延長線上」にあり、「教会の刷新と社会との関係」を考える上で、「最も本質的なカテゴリーとして『家庭』と『若者』があります」と説明した。

 そして、今回のシノドスの新しい点として、教皇フランシスコが先日発表した、シノドスをめぐる使徒憲章「エピスコパリス・コムニオ」に沿って行われることを指摘。シノドスに出席した267人の司教は、東方典礼カトリック教会、各国司教協議会、教皇庁、シノドス事務局、修道会総長連盟からの代表に加え、教皇が指名したメンバーで構成されている、とし、この他に協力者としての専門家、世界各国からの傍聴者、中でも34人の若者の存在を挙げた。

 また事務局長は、今回のシノドス開催までの長い準備の過程を振り返り、特にインターネットで若者たちの意見を集め、ローマに世界から若者たちを集めて”プレ・シノドス”を開くなど、今回のテーマの当事者である若者たちから聴くことに力を入れたことを挙げ、その結果として「若者たちは、司牧者や大人たちとともに、より福音的で勇気ある、参加型で宣教的な教会の構築を目指し、教会の刷新の主役となることを望んでいる」ことが明らかになったことを強調した。

 事務局長の説明に続いて、シノドスの議長を務めるセルジオ・ローシャ枢機卿から先に発表、通知している「討議要綱」に関する説明があった。

(編集「カトリック・あい」)

2018年10月5日

・「シノドスは分かち合いの時」-教皇、開会あいさつで強調

(2018.10.3 VaticanNews Christopher Wells )

 「若者、信仰、召命の識別」をテーマとするシノドス(全世界代表司教会議)第15回通常総会が3日始まり、教皇フランシスコは冒頭のあいさつで、「私たちが今いるシノドスは分かち合いの時です」‐分かち合いでは、勇気と率直さをもって語り、謙遜の心をもって聴くことが、ともになされねばならない。そして、このシノドスは‐特にこの集まりに直接参加する人たちにとって-「対話を鍛えられるものでなければなりません」と参加者の努力を求められた。

 冒頭あいさつで教皇は、このシノドスは「識別を教会としての鍛錬」「信仰の業に根差した内面の姿勢」を示す場であることを強調。それに関連して、この総会での革新的なことの一つは、「発言が5つ終わるごとに-参加者が自分の聴いたことを識別するためにー沈黙の時をもつこと」とされた。

 そして、聴くことの重要性は、教皇の話の中にある重要なテーマにあった。教皇は、「聴き、旅する」教会であるために、私たちは「偏見と月並みな考え方」を「後に残して」行かねばならない、とし、特に「聖職者主義の蔓延」と「自己満足のウイルス」に警鐘を鳴らすとともに、教会は今、数々のトラブルに直面しているが、「私たちの信仰は、今はthe Kairos-神の時-でもある、と私たちに告げている-私たちを愛し、豊かな命に招くために、神は私たちに会いに来られるのです」と励まされた。

 最後に、教皇は「このシノドスが私たちの心を目覚めさせてくれるように!」と願われ、「いくつもの世代の交わり」が「希望をもたらす素晴らしい果実を生む」ように、と期待を表明した。さらに、このシノドスの間、「会議から得るものが、単なる文書-少数の人に読まれ、多数の人に批判されるもの-ではなく、何よりも、シノドスの目的を達成するのを可能にする具体的な司牧上の諸提案を引き出すことを目指し、「未来と共に時を過ごしましょう」と呼び掛けた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2018年10月4日

・シノドス始まる-教皇、開会ミサで司教と若者たちに「ともに夢と希望」と呼びかけ(Crux)

(2018.10.3 CRUX 

 ローマ発-若い人たちと司教たちが、この一か月で、ともに『夢と希望』をいだくことができるように期待する-輝くような10月の空の下で、教皇フランシスコが3日、世界中の司教たちを集め、約一か月にわたるシノドス(全世界代表司教会議)の幕を切って落とした。

 「希望が私たちに挑み、私たちを動かし、そして 『それはいつもこのようになされている』という慣れを打ち砕きます」。教皇は「若者たち、信仰、召命の識別」をテーマとする今回のシノドスに参加した300人を超える代表たちに語りかけた。

 「私たちは知っています。若者たちが、既に成人しあるいは年配となった私たちが夢を見ることが出来るほどに、預言し展望し、そうして私たちが心に抱いている夢と希望を分かち合えるであろうことを」。そして、聖霊に「夢を見、希望を持つ恵みで聖別されたシノドスの司教たちとなる恩寵を与えてくださいますように」と願い、「そうしていただけば、私たちも、預言と展望の恵みで、若者たちを聖別することができるのです」と祈った。

 新たな着想の見本として、そして恐らく、物事が変えられるという証しとして、教皇は、先月末の中国政府との司教任命に関する暫定合意を受けて、シノドスに初参加することになった中国の2人の司教について、特に言及。「聖霊の声に素直に耳を傾ける態度をもって、私たちは世界のすべての地域から集まりました」と述べたうえで、「今日、私たちは中国本土からも2人の司教を迎えました。私たちは彼らを暖かく歓迎します。ペトロの後継者と司教たち全員がともにミサを捧げることは、彼らが参加することができたことへの、目に見えるより大きな感謝となります」とその意義を強調された。

 教皇はミサ中の説教で、シノドス参加者がこれからの数週間を希望をもって進むように激励し、同時に、カトリック教会の若者たちが、そのことを渇望している、と語り、「私たちの地平を広げ、心を大きくし、『麻痺させ、若者たちから切り離し、彼らを荒れた海に晒し、支えられるべき信仰共同体を持たない孤児に、人生の方向と意味についての意識を欠いた孤児』にしている私たちの心の持ちようを変容させることができる」という「希望」を強調。さらに「この同じ『希望』が私たちに、若者たちが晒されている『不安と排除、暴力に満ちた状況』を覆すよう努めることを、私たちに求めているのです」と指摘された。

 さらに、聖職者による性的虐待が引き起こしている危機、LGBT(同性愛者など性的少数者)、女性の指導的役割など、今後一か月の間に確実に協議の対象となる極めて困難な課題を前にして、教皇は出席者たちに気を抜かず、福音を拠り所とするように、強く求めるとともに、「福音と私たちに信を置いてくれている人々への愛が、私たちの地平を広げ、私たちが求められている使命を見失わないようにする気を起こさせます。このようにして、私たちは、私たちすべてに益をもたらす、より大きな善を目指すのです。この気概がなければ、私たちの努力はすべて無駄になるでしょう」と警告した。

 そして、より大きな善を成し遂げるために、シノドス出席者は他者の声を聴く姿勢を持つことから始めねばならない、とし、「真剣に、信心深い心をもって、偏見や条件付けを可能な限りせずに、聴く能力の恵みは、神の民が経験する環境の一部となるように、私たちを助けてくれるでしょう」と語られた。「神に聴くこと、そうして神ととともに、私たちは人々の叫びを聞くとことができる。そうして、私たちは、彼らとともに、神が私たちに求められている熱意を吸い込むことが可能になるのです」、さらに「こうした姿勢は、私たちを、善悪について厳しく狭い考え方やエリート主義に落ち込む誘惑から守り、私たちの民の現実に決して触れることのない抽象的なイデオロギーのおとりに掛かることから守ります」と諭された。

 このような多様な教会の現実は、今回のシノドスで、50人の枢機卿、44人の大司教、101人の司教、37人の補佐司教、23人の専門家、49人の監査役、そして34人の若者代表、さらに14の異なる言語グループによって提起されることになるだろう。

 シノドスは3日からはじまり、28日まで続けられる予定だ。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

上記の教皇の説教のバチカン公式発表による英語版全文は以下の通り。

2018年10月3日

・”性的虐待”など非公式議題にウエイトがかかる「若者シノドス」(Crux評論)

(2018.10.1 Crux Rome Bureau Chief   Inés San Martín)

 ローマ発―教皇が世界中から司教の代表たちをローマに集めて行う「シノドス」と呼ばれるサミットでは、いつも、公式の議題と非公式の議題の対比が話題になる。だが、「若者たち、信仰、そして召命の識別」をテーマに3日から28日にかけて開かれる今回のシノドスほど、その対比が際立つであろう会議はまれだ。

 公式の議題はその事前のテーマ通りの「若者たち、信仰、そして召命の識別」だ。しかし、ローマに集まる多くの司教たちにとって、特に聖職者による性的虐待のスキャンダルで大きな打撃を受けている国々から来る司教たちにとって、これまで「見てみぬふりをしてきた問題」について語らずに、シノドスの3週間を過ごすことは考えられないだろう。

 まして、教皇フランシスコが来年2月に性的虐待と未成年者保護についての各国司教協議会のトップを集めた会議を開くことを考えれば、今回のシノドスを、その問題についての協議開始の場にしたい、と多くの出席者が思わないとは、想像しがたい。

 イエズス会士のトム・リーズ神父がCruxに語っているように、最も控えに見ても、「今回のシノドスは、(聖職者による性的虐待と隠ぺいが引き起こしている)危機のさなかにある司教たちにとって『同じ過ちをしないように。手遅れになる前に今、家を掃除しなさい』と(まだ危機に遭っていない)仲間の司教たちに忠告する機会」になるだろう。

 米国やチリ、ポーランド(聖ヨハネ・パウロ2世を生んだこの国で最近までタブー視されていたこのスキャンダルが、ようやく公けに話されるようになった)など、危機の絶頂にある国々からくる司教たちにとって、ローマへの旅は聖座にいくつかの問いの答えをもらう唯一の機会になるかもしれない。

 米国からくる高位聖職者たちは、未成年者と神学生に対する性的虐待で更迭された前枢機卿セオドール・マカリックの問題を(更迭のずっと前に)誰が知っていたのか、答えを聞き出したいだろう。

 チリの代表者たちは、首都サンチャゴの大司教、リカルド・エザッティ枢機卿が性的虐待隠ぺいの疑いで検事局から召喚された8人のうちの1人に入るなど”壊滅的”な状態にある自国の教会をどうすべきかについて、教皇の考えを聞きたいだろう。

*「現実の世界」への適合を迫られる重要課題は

 非公式の議題は当然のことながら、公式議題と関係の無いものではない-召命の問題と同様に、若者にとって、司教たちに対する現実の挑戦となる問題だからだ。

 ブラジルの信徒、フィリペ・ドミンゲスは会議の特別秘書団の協力者としてシノドスへの参加を求められた一人だが、Cruxのインタビューに、シノドスに期待するのは「若い人々の声を聴く作業を続けること」であり、それを「カトリック教会の恒久的な作業」とすることだ、と語った。

 「それは、若者たちが希望することを何でも教会にさせるということでも、これまでずっと教えてきたことを全部変えることでもありません。シノドスの批評家が言うように『現実の世界に適合させる』ことなのです」「『シノドス』と言う言葉が意味するように、共に歩むことです。若者たちについて考えることは、教会全体について考えることなのです。なぜなら、若者たちは年上の人たちが残していくものを財産として受け継ぐでしょうから。そして、どのような財産もうまく引き継がれ、管理されなければ、失われてしまいます」。

 ドミンゲスは、3月にローマで開かれた世界の若者たちによる”プレ・シノドス”に参加し、現在は、教皇庁立グレゴリアン大学で博士論文の仕上げに入っている。論文のテーマは、特に若者に影響を与えるソーシャル・メディアの道徳的側面の研究だ。彼は、若者がしばしば「教会は自分たちの生きている現実から、かけ離れている、あるいは、教会に属する人々は好ましい模範ではない」と感じている、と言う。

 それは「ただ無視されるべき現実ではない。問題は『それについて何ができるか』ということ」であり、「もし私たちが、すべての人に福音を説くことになっているとしたら、こうしたことは極めて重要な課題です」と語る。

 300人以上の若者たちにフェイスブックを使ったオンライン参加も加わった3月の”プレ・シノドス”では、最終文書で、教会内だけでなく社会における重要な決定に積極的な役割を果たすことへの希望、共に歩む歩むことへの希望が示された。「彼らは『自分のことは自分でやれるとか、全部自分でやりたい』とかは決して言わなかった」とドミンゲス。「彼らはリーダーになりたいが、助言も欲しいのです。教会の伝統と財産の良さを分かっているし、年長者たちからそれを学びたいと思っていますが、そうした『手本とすべき人物』に信頼、共感、権威、謙虚、慈しみを求めてもいるのです」。

*避妊、堕胎、同性愛、同棲、結婚、司祭職の在り方ー若者たちは率直が議論を望んでいる

 また、若者たちは、教会の教えを理解し、タブー無しに、率直に話すことができることを希望している。

 関係筋によると、”プレ・シノドス”に参加した若者たちは、使用言語ごとに分かれたどの分科会でも共通した意見だったという。それには、手本にできる人物が、特に女性にとって、教会の内外に必要なことや、多くのところで宗教が、家庭の重要性が副次的なものになっているとの指摘も含まれていた。

 だが激しい争点となる問題での意見の食い違いも、最終文書の少なくとも一か所で明確にされている-「今日特に議論を呼んでいる教会の教えのいくつか-避妊、堕胎、同性愛、同棲、結婚、そして教会での異なる現実の中で司祭職をどのように理解したらいいのか、など-について、教会内でも、幅広い世界でも、若者たちの間で大きな意見の違いがしばしばみられる」と。

 この個所ではさらに、カトリックの若者たちの多くは、こうした問題についての教会の教えをはっきりとは理解してはおらず、理解していていても同意しない者もいる、と指摘。「結果として、彼らが希望しているのは、教会が教えを変えること、あるいは少なくとも、こうした問題にもっと適切な説明と組み立てをすることだと言えます」と関係筋は言い、そのことは彼らが逃げ道が求めているのを意味せず、「内部に議論があるにしても、公式の教会の教えと矛盾する確信を持つ若い信徒たちは、それでも教会に属していたい、と強く望んでいるのです」と彼らの立場を説明している。

 ”プレ・シノドス”の最終文書は、シノドスの準備書面の基本の一つになっており、若者たちの現在の状況についての見方がシノドスでなされる議論の基礎になることを意味している。準備書面は、性、死、腐敗、麻薬取引、ポルノ、ビデオゲーム、移民、戦争、友情、障碍者などについて触れ、「若い人々は、(これらの問題について)教会としっくりいっていないように感じている」「私たちは、彼らの使っている言葉を、したがって彼らの求めていることを、分かっていないように思われる」と指摘している。

 

 *聖職者による性的虐待スキャンダルによる教会の信頼失墜の深刻さを見逃すな

 多くの参加者は、カトリック教会が性や他の問題で信頼を得るために、聖職者による性的虐待スキャンダルでどれほど信頼が損なわれているのか、を見過ごすことがあってはならない、と確信している。

 教皇フランシスコは、先日のバルト三国訪問でこの点を苦し気に認めた。若者たちの集会での講話で、彼は「若い人々は、教会で起きている明確な有罪を宣告されない性的、経済的な数々のスキャンダルに当惑しています。そのようなスキャンダルは、若い人々の生きざまとと感受性を本当に理解する用意ができていなかったことによる、そして単純に受け身的な態度をとったことによるものです。それは、あなた方が問題にしていることのほんのわずかなものでしかありません」と。

 そして、教皇は言明した。「私たちは応えたいと思います。あなた方自身が言われたように、私たちは(教会が)『隠し立てなく、歓迎し、正直で、魅力的で、話がしやすく、近づきやすく、心愉しく、互いに助け合う共同体』となることを希望しているのです」。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2018年10月2日

・3日から「若者シノドス」-”性的虐待”も協議へ、中国から司教2人が初参加

(2018.10.1 VaticanNews Linda Bordoni)

 「若者たち、信仰、召命の識別」をテーマとする全世界代表司教会議(シノドス)通常総会が3日、サンピエトロ大聖堂で教皇フランシスコ司式のミサで、約一か月にわたる会議の幕を開ける。

 シノドス開催を前に、その進め方や狙いについて、シノドス事務局長のロレンツォ・バルディッセーリ枢機卿が1日の記者会見で説明した。

*若者代表39人が”監査役”として出席

 会見でバルディッセーリ事務局長はまず、先に教皇が出された使徒憲章「司教の一致」-”神の民”の関与と司教同士、司教と教皇の間での対話と協力のさらなる促進の必要を強調している-で示された会議の手順について説明したうえ、「この憲章は、司教たちと世界の5大陸の若者代表39人を含む49人の”監査役”の議論を聞いたうえで、参加司教たちが取りまとめる最終文書に、大きな影響を与えることになるでしょう」と述べた。

 今回のシノドスには、枢機卿、司教、司祭、修道会聖職者、一般信徒の専門家など約300人が参加するが、注目されるのは、パウロ6世が1965年にシノドスを始めて以来初めて、中国から二人の司教が参加することだ。これは、先に、バチカンと中国が中国国内の司教任命について暫定合意したのを受けて、バチカンからの招待受諾が可能になったものだ。

*各種メディア活用し、情報公開を積極化

 また、今回は会議の内容の公開にも従来よりも前向きで、日々の報道、ビデオ放映、多言語による毎日の記者会見、#synod2018 によるツイッターやさまざまなソーシャル・メディアを通じての情報公開を予定している、という。

 この記者会見で、「現在世界中で問題になっている聖職者による性的虐待が、若者たちの不信と怒りを引き起こし、教会との意思疎通を壊す恐れが出ている。この問題も取り上げる必要があるのではないか」という質問に対しては、事務局長は「シノドスは、そうした重要問題についても意見を交換する絶好の機会になると確信しています」と答え、議題として取り上げられる見通しを示した。

*夕べの音楽の集いに多くの若者参加を期待「心を開いて若者たちの声を聴く」

 事務局長によると、教皇は、約一か月にわたるシノドスの会議のほぼ全日程に出席の見通しで、特別招待者の秘密のイベントと見られるようなことはしたくないと考えておられ、バチカンの謁見会場で土曜日に予定する夕べの音楽と歓談の集いにも、教皇や他のシノドス出席者とともに、多くの若者たちも参加してくれるよう願っている、という。

 事務局長はさらに、カトリック教会が信徒たちとともに歩むことでその役割を果たす必要があり、今回のシノドスで希望しているのは「目と耳を開くだけでなく、心と頭を開き」、「若者たちの動揺」を通して教会に寄せられた課題を受け取ることだ、と繰り返し強調した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2018年10月2日

・ 「家庭司牧の視野をもっと広げよう、”未婚の夫婦”も対象に」と教皇

(2018.9.28 VaticanNews Giada Aquilino)

 教皇フランシスコは27日、ローマのラテラノ大聖堂で行われた「結婚と家庭の形成」についての講座参加者と会い、夫婦が「終わりの日まで求道の道を歩む」よう。期待を表明された。また、困難な結婚生活を送っている人々が婚姻の秘跡の恵みを改めて見出すのを助けるように、強く求め、 婚姻無効の手続きの始めることに対して、いくつかの考えを示された。

 この講座はローマ教区とバチカン最高裁判所の共催によるもので、約850人が参加し、教皇は初めに、キリスト教徒の夫婦が「寄り添う」必要があること、婚姻の秘跡が-新生活の「準備、祝福、そして始まりの時」を含めた「終わりの日まで求道の道を歩む」のを可能にすることについて話され、司祭、司牧従事者、信徒夫婦による「分かち合いの旅」を提唱された。

講座は、家庭を「家庭内教会、生活の聖域」とし、共通善にとって「決定的で他に替えることのできない」ものである家族の課題と司牧的な計画ついて、深く考えることを狙いとしていたが、教皇は、これに関連して、家庭の「幅広く、複雑で、傷つき壊れやすい使徒的領域」について言及し、次のように語られた。

 「私はこのテーマに関連して、特に使徒的勧告『(家庭における)愛の喜び』の中で、信徒の結婚に真摯な準備の過程が必要であることを強く訴えました。このテーマを数回の議論で終わらせるべきではありません。結婚生活は『社会的』な出来事であるだけでなく、十分な準備と理解に基づいた真の『秘跡』なのです。結婚の絆は、婚約した2人にその意味を理解したうえで選択するよう求めますが、決して裏切ったり見捨てたりできないものを築き上げよう、という意思がそのポイントになっています」。

 また、教皇は 「家族の現状に対応する形で、もっと受け入れられるような司牧的活動」を進めている教区があることを指摘し、具体的な活動として、結婚生活を長く続けている人、心理学の専門家も加わってのセミナーや黙想会などを挙げた。

 そうした活動の中で、婚姻の秘跡を受けた後で表面化するさまざまな問題の原因が 、隠れていた未成熟さだけでなく、信仰の弱さの中に、信徒の寄り添いの欠如の中に、披露宴の後で新婚夫婦が置かれた孤独の中に、いくつも明らかにされている、とし、「夫婦は互いに自分を与え、犠牲にする、という旅の過程で成長を求められるのですが、後になって、自分たちが何をしようとしているのか、十分に分かっていなかったことに気づく場合があるのです」とも指摘した。

 教皇は「準備の旅を深く掘り下げ、時間をかけるほど、若い夫婦は、より多く神の恵みと力に近づくことを学び、結婚と家庭生活で起きる困難と疲労、という避けられない事態に直面する際に求められる『抗体』を強くする」が、それだけでは十分でなく、「夫婦に対する司牧的ケアの効果を大きくするには、(司牧者が)結婚式の披露宴でそばにいるのをおしまいにせず、少なくとも新婚生活の最初の数年はそばにいる必要がある。個々の夫婦との対話や共同体全体との交わりが、結婚という召命に必要な手立てと支えを、若い夫婦が得る助けとなるのです」と強調された。

 また「深刻な夫婦関係の問題を抱え、危機的状況に気づいた夫婦」の問題にも触れ、「 彼らが信仰を取り戻し 、秘跡の恵みを再び見出すように手助けする必要があります。ケースによっては、正義と内的な自由によって判断すべきですが、婚姻無効訴訟の手続きが必要な場合には、適切な指示を提供する必要があります」と語った。

 そして「自分たちの結婚が真実の秘跡による婚姻ではなく、この状況から脱出したい、と明確に理解している場合には、司教、司祭、司牧者に必要な支援を得ることができます。彼らは関係する法規についての情報だけでなく、特に、話をよく聞き、理解する形での支援をしてくれます」。さらに「再婚の手続きについての法律は有効な手段であり 、あらゆる人に具体的に公平に適用されねばなりません。なぜなら、その最終的な拠り所は、魂の救い(salus animarum)にあるからです。 多くの司教や教区の法務担当者によって、再婚の手続きが実行に移され、良心の平安の慰め、特に教会の共同体から最も離れた、最も貧しい人たちの慰めになっていることを知って、嬉しく思っています」と述べた。

 最後に教皇は、永遠の魂の救いの大切さを念頭に置いて、福音の「固有」の形をとり、「教区の家庭に対する司牧活動の視野が、従来よりも、もっと幅広いものになること」を願うとし、これには「結婚せずに共に暮らすことを選ぶ若者たちとも、出会い、迎え入れる」ことも含まれる、なぜなら、彼らもまた「自分たちを認めてくれる婚姻のすばらしさを得ることを求めているからです」と締めくくった。

(翻訳「カトリック・あい」田中典子・編集・南條俊二)

2018年10月1日

・10月は聖母マリアの月、ロザリオの祈りを-教皇フランシスコが全世界の信徒たちに

 

(2018.9.29 VaticanNews)

 教皇フランシスコは29日、聖母マリアの月である10月を通して「ロザリオの祈りを毎日捧げる」ように全世界の信徒に勧める声明を発表した。

 声明で教皇は、毎日のロザリオの祈りを、神の民として共に、痛悔を込めて捧げ、聖母マリアと大天使聖ミカエルに、私たちを常に神と互いを引き離すように試みる邪悪な者から教会を守ってくださるように、祈ることを勧めている。

 教皇は先日のバルト三国訪問に先立って、 World Network of Prayer for the Popeの国際部長、フレデリック・フォルノス神父に会い、この勧めを世界中の信徒たちに広げてくれるように、そして、聖母マリアに捧げる最古の祈りである「SUB TUUM PRAESIDIUM( ラテン語の「あなたの 庇護のもとに」)」と、邪悪な者との戦いで私たちを守り、助けてくださる大天使聖ミカエル(ヨハネの黙示録12章7∼12節参照)への祈りをもって、ロザリオの連祷の締めくくりとするように勧めてくれるように、求めた。

 この祈りは、教皇が9月11日のサンタ・マルタの家でのミサ説教で、旧約聖書・ヨブ記第一章の箇所をもとに、を取り上げて、示されたもので、「世界中を巡って(ヨブを)非難し続ける強大な告発者(サタン)に対する武器」となる。祈りだけが邪悪なものを打ち負かすことが出来る。ロシアの神秘家と伝説的な偉大な聖人たちは、霊的に揺り動かされる時に、SUB TUUM PRAESIDIUMを唱え、神の聖母マリアの庇護のもとに入るように勧めている。

 Sub Tuum Praesidiumは次のように唱える。

 「Sub tuum praesidium confugimus Sancta Dei Genitrix. Nostras deprecationes ne despicias in necessitatibus, sed a periculis cunctis libera nos semper, Virgo Gloriosa et Benedicta」(公式英語訳・We fly to Thy protection, O Holy Mother of God. Do not despise our petitions in our necessities, but deliver us always from all dangers, O Glorious and Blessed Virgin・・バチカン放送日本語訳「あなたの庇護のもとに、わたしたちは身を寄せます、神の聖なる御母よ。試練にあるわたしたちの願いを、さげすまないでください。わたしたちをすべての危険から、お救いください、栄光ある、祝福されたおとめよ」)

 教皇は、全世界の信徒たちが、この取り次ぎの願いをもって、神の聖母が教会をその庇護のもとにおいてくださるように、祈ることを願われた。ー教会を、強大な告発者である悪魔の攻撃から守り、それとともに、教会が、自身の過ち、失敗、そして過去と現在において犯している性的虐待をより深く認識し、教会が悪魔に覆われることのないよう、いかなるためらいも捨てて、決然としてそれらの撲滅に戦うことができるように-と祈るように求められた。

 また、教皇は10月を通してのロザリオの祈りで、連祷を教皇レオ13世が書かれた、次の大天使聖ミカエルへの祈りで締めくくるように願われた。

 「Sancte Michael Archangele, defende nos in proelio; contra nequitiam et insidias diaboli esto praesidium. Imperet illi Deus, supplices deprecamur: tuque, Princeps militiae caelestis, Satanam aliosque spiritus malignos, qui ad perditionem animarum pervagantur in mundo, divina virtute, in infernum detrude. Amen」(英語公式訳「Saint Michael Archangel, defend us in battle, be our protection against the wickedness and snares of the devil; may God rebuke him, we humbly pray; and do thou, O Prince of the heavenly host, by the power of God, cast into hell Satan and all the evil spirits who prowl through the world seeking the ruin of souls. Amen」・・バチカン放送日本語訳「大天使聖ミカエルよ、わたしたちを闘いにおいてお守りください。よこしまな者たちと悪魔の罠から、われらを守る砦となってください。天使たちの長よ、魂たちの破滅をもくろみ、世をうつろう悪魔と悪霊たちを、神の御力をもって、地獄に落としてください。アーメン」

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2018年10月1日

・「若者シノドス」を前に-若者たちの”プレ・シノドス”で「人生が変わるような経験」をした

(2018.9.27 VaticanNews Sr Bernadette Mary Reis, fsp)

   「若者たち、信仰、そして召命の識別」をテーマとするシノドス(全世界代表司教会議)が10月3日から始まるが、その準備として3月にローマで開かれた若者たちによる”プレ・シノドス”に、米国司教協議会から選ばれて参加したケイティ・プレジャン・マクグラディに会議での経験とシノドスへの期待を聞いた。

*聴くことが重要だと分かった

 ケイティは、まずこの会議を「人生を変えるもの」で、「教皇が若者たちの声がどういうものかをお知りになるのは、どれほど重要か」と言うことが分かった、と評価。「プレ・シノドスに、誇りをもって、たくさんのことを知っていると思って」参加した。自分の経歴と米国司教協議会から受けた説明をもって、分かち合おうとするものをたくさん持って会議に臨んだが、「私たちが発言したり、提案したりすることは大したことがない、とすぐに分かりました。私たちに取って、聴くことのほうがずっと重要だったのです」と経験を語る。

 *経験を分かち合う

 そして、世界中からやって来た他の参加者たちとの話し合いは「私たちが米国で直面している機会と課題に光を当ててくれました」。エジプトから来た青年は、米国での若者たちの会議の経験、会議の組み立て方、祈り、仲間意識の育て方について学びたいと考えていたが、彼女は「そのような重要な事業につぎ込むべき資源の重要性を実感した」という。

*教会弾圧が続く中国から来た同室者の力強い信仰告白に感動

 ケイティのルームメイトは中国からの参加者だった。「彼女からは、カトリックが圧迫され、挫かれ、政府の支配下におかれた共産主義の国で何が起きつつあるかについて、たくさんの識見をもらいました」。そして「信仰を表す行為が禁じられている」ので、人々に聖体の秘跡を受けるように準備させるのが、どれほど難しいことなのか、という説明も受けたという。彼女が「中国の教会のためにお祈りをして。私たちは、キリストの十字架を担う機会をいただいている、聖人になろうとしているのよ」と語った時、「彼女の力強い信仰告白に強く心を打たれ、涙が出ました」と当時を振り返った。

 彼女との会話から、ケイティは「あざけり、非難、誤解に対して、堅固さを保ち続ける」ために、米国の教会にとって必要なことを改めて認識して米国に持ち帰った。また、「信仰をしっかりと実践し、信じることを守ることに勇気を持つように、若者たちを励ますことが必要だ、ということも分かった、と言う。

*成果を「若者シノドス」に参加する司教たちが生かしてくれるように

プレ・シノドスの最終文書のとりまとめには彼女も参加したが、「(会議の内外での)対話の成果として私たちがまとめた要約文書を読むのは、本当に素晴らしいことでした…『若者シノドス』に参加される司教さまたちに知っていただきたい、若者たちの暮らしの実態、現在の若者たちについて、幅広く、世界中のことについて触れ、包括的な見方が盛り込まれています」と、「若者シノドス」にプレ・シノドスの成果が生かされるよう、強く希望した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2018年9月29日

・教皇、チリの性的虐待問題の中心人物の司祭職をはく奪する異例の決定

(2018.9.28 Crux  

 ローマ発 – チリの教会を混乱に陥れている聖職者虐待問題の発端となったフェルナンド・カラディマ神父のバチカンの有罪判決から7年、教皇フランシスコは28日、彼の司祭職をはく奪する「異例」の決定を下した。

 バチカンが28日発表した声明は、この決定は「道義に適った形で、教会のために」なされた、としている。カラディマ前神父が有罪判決を受けたのは2011年で、その刑は、一生を痛悔と祈りで送ること、だった。

 カラディマの未成年者性的虐待は、チリの法律では時効が成立していたため、チリの裁判所で裁かれることはなかった。現在に至るまで、この男によって何人が性的虐待の被害に遭ったのか、精神的な虐待に合ったのか、暴行を受けたのか、あるいは心理的な操作をうけたのかも、解明されていない。

 1980年代から1990年代にかけて、カラディマは自分が担当していたチリのエリボスクの教会で、40人の青年を司祭に叙階させるという成果を上げた信徒運動で注目を浴びたが、その時の4人が後に司教となり「鉄の結束」と形作った。彼らは、長きにわたって、カラディマに虐待を受けた被害者たちから訴えを受けていたが、隠ぺいを続けていた。教皇はこれまでに、そのうちの司教2人の辞表を受理して事実上更迭し、うち1人、ホアン・バロスは隠ぺいの容疑で検事局から召喚されている。

 被害者の1人ホアン・カルロス・クルス氏はカラディマの司祭職はく奪の決定について、ツイッターに「この日が来るとは考えもしませんでした。虐待によって多くの人を破滅させた犯罪者です」と書き込んだ。「教皇フランシスコの判断に感謝します。何千人もいる被害者たちが、私のように少しはほっとすることを期待します」。

 バチカンは声明で、教会法331条に基づいて、教皇フランシスコは「彼の、至高の、完全な、速やかで、普遍的な権能を行使した」と説明した。

 カラディマの司祭職はく奪決定の翌日、性的虐待で2017年まで6年間の司祭としての業務停止の判決をバチカンから受けていたクリスチャン・プレチトに対しても、司祭職はく奪の決定が下された。カラディマが保守的な立場だったのに比べ、プレチトは左翼の人々のヒーローとされ、2人ともチリのエリートの仲間だった。プレチトは「誰とも友好的な、愛らしい熊」と言われたが、カラディマはそれとは正反対だった。これまでにバチカンの裁判所から下されていた刑の内容が、なぜ2人で異なっていたのかは、明らかでない。

 (翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

2018年9月29日