(2022.3.21 Vatican News Andrea Tornielli)
「福音宣教」と「一般信徒の役割」の強化は、教皇庁改革に関する使徒憲章「Praedicate evangelium(Preach the Gospel・仮訳=福音を宣教せよ)」と第二バチカン公会議の精神を結びつける主要な二つの柱だ。
新憲章は、2013年に教皇フランシスコが選出される以前から議論され、過去9年間に、かなりの部分が実行に移されてきたが、それを含めて、教皇庁改革の道筋を体系的に示している。
第二バチカン公会議で合意された指針を深化し、効果的に実現していこうとするものでもあり、教皇フランシスコがしばしば強調されている「時代の変化」に対応して、いかに福音を宣教していくかか、という課題への回答とも言えるものだ。
*「福音宣教の部署」は現代社会における宣教の使命を体現する
新憲章が新たな改革の目玉として打ち出した、福音宣教省と新福音化推進評議会を統合し、教皇直轄の「福音宣教の部署」とすることになったが、これは憲章のタイトル「Praedicate evangelium(Preach the Gospel・仮訳=福音を宣教せよ)」を体現するものだ。
新しいこの部署の課題は、「古い言葉」を話さない、あるいは理解しない新しい世代に、キリスト教の信仰の素晴らしさを、どのように証ししていけるか。そして「かつてキリスト教を信奉していた社会」と「まだイエス・キリストを知らない社会」という二つの”パン生地”を、福音というイーストで再び発酵させることをどのように確かなものにしていけるか、だ。
「福音を宣教するために対話する教会」は、現代の司教職の基本思想であり、今、この側面は教皇庁の組織において一段と強まっている。
また、教皇庁は、独立して活動する生命体ではなく、世界の現地で活動する教会を統治する”権力”でもなく、ローマ司教(教皇)の職務に奉仕するー教皇の名において、教皇の指示のもとに、キリストの代理人の職務を”身代わり”となって執行するー組織であることを、新憲章は明確にしている。