・9月1日から日本のカトリック教会の「すべての命を守るための月間」 ー「正義と平和を大河のように」 

(2023.8.16 カトリック中央協議会ニュース)

2023年すべての命を守るための月間 「ラウダート・シ」デスク 責任司教談話
「正義と平和を大河のように」

 日本のカトリック教会は、2019年に教皇フランシスコが来日して呼びかけられた「すべての命を守るため」というメッセージの実践の一環として、毎年9月1日の「被造物を大切にする世界祈願日」から、10月4日のアッシジの聖フランシスコの記念日までを「すべての命を守るための月間」として定め、2020年からこれを実施しています。これは同時に、世界規模のエキュメニカル行事「被造物の季節(Season of Creation)」に加わるもので、キリスト教諸教派が垣根を越えて共に祝い、活動を行っています。

 今年の「被造物の季節」のテーマ「正義と平和を大河のように」は、アモス書5章24節の「正義を洪水のように、恵みの業を大河のように、尽きることなく流れさせよ」から取られています。教皇フランシスコは、今年の「被造物を大切にする世界祈願日」メッセージで、環境に関するさまざまな不正義、たとえば化石燃料の無節操な消費と森林伐採が温暖化や水不足を引き起こしていることに触れたうえで、「貧しい人や次世代の子らに対するこの不正義を止めるために声を上げましょう」、「無数の細流や渓流のように、私たちもいずれは合流して一つの大河に流れ込み、この驚くべき地球の命と人類家族の命を、これから先何世代にもわたって潤せるのか――。手を取り合って、正義と平和の流れが地球全体を巡るよう、果敢に歩んで行きましょう」と呼びかけています。

 昨年の10月、司教団は日本の教会が「総合的な環境保全」を進める歩みを共にするのを支援・推進するために、「ラウダート・シ」デスクを設置しました。これに伴い、今年から「すべての命を守るための月間」をより豊かに過ごすための呼びかけを「ラウダート・シ」デスクが行っていきます。毎年共通して呼びかける行動は、以下の通りです。

  • 毎年9月第一日曜日(被造物を大切にする世界祈願日)に、全国で「すべての命を守るためのキリスト者の祈り」(2020年5月8日 日本カトリック司教協議会認可)等、環境を大切にする回心を促す祈りをささげる。

  • 期間中、月間の趣旨を心に留め、他教派・他宗教との連携も視野に入れて、祈りと行動のうちに「総合的な環境保全」の実践に取り組む。

  • 「総合的な環境保全」についての理解を育み、環境を守り育てる教育を推進する。特に子供や青年が、楽しく主体的に取り組めるよう工夫する。

  • 行政、自治体、環境保護に取り組む諸団体と連携して活動する。

 今年は、皆様が生きるそれぞれの場での「総合的な環境保全」に配慮した生き方について振り返り、行動するお手伝いとして、パンフレットを作成しました。神が極めて良いものとしてお造りになったこの世界において、私の生活は調和のうちにあるでしょうか。神が造られた全てのものはつながっていて、互いを必要とします。そのつながり、その循環を紡ぐ一人として、私の生き方はどのような影響を与えているでしょうか。自分の視点で考えてみてください。

 もう一つ、カトリック中学校や高校における環境に関わる取り組み紹介を共有することを企画しています。SDGsやラウダート・シ・ゴールズ(LSGs)に関連する活動を短いビデオで紹介してくださっていますので、ぜひ「ラウダート・シ」デスクのウェブサイトからご覧ください。互いの活動から励ましと学びを得る機会になればと願っています。

 「傷つきやすいものへの気遣いの最良の手本であり、喜びと真心をもって生きた、総合的な環境保全の最高の模範である」(LS10)アッシジの聖フランシスコの取り次ぎがありますように。

2023年7月18日 「ラウダート・シ」デスク 責任司教 成井大介

 

(編集「カトリック・あい」=表記は原則として当用漢字表記に改めました。なぜかカトリック教会では「ひらがな」表記が多用されています(その一方で、一般には使われることがあまりない、難しい漢字を使用することがある)が、漢字も歴史的に日本社会に定着した立派な日本語であり、文化です。例えば、「命」をひらがな表記にするのを好む教会関係者が多いようですが、命は「祈りを捧げる人に神から与えられるもの」という深い意味を含んだ会意文字です。ひらがな表記では、そうした意味が伝わりません。一方で、英語の言葉をそのままカタカナ表記にした言葉が氾濫しており、それを教会関係者も安易に取り入れる傾向が強まっています(「インテグラルなエコロジーの歩み」などがその例です)。カトリックを日本文化に土着させようという意識があるなら、その文化の基本にある日本語に敏感であるべきだ、と「カトリック・あい」は考えています。)

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2023年8月17日