【教皇ポルトガル訪問2日目】「神はあなたがた一人ひとりを愛し、名前でお呼びになる」WYD参加者による教皇歓迎式典で

 (2023.8.3 Vatican News  By Christopher Wells)

  ポルトガル訪問中の教皇フランシスコは3日夕、首都リスボンのエドゥアルド7世公園で世界青年の日(WYD)大会に参加中の若者たちによって行われた教皇歓迎式典に出席され、「神はすべての人を愛しており、私たち一人一人を名前で呼びかけておられること」を強調された。

 歓迎式典には、数十万人の若者たちが集まり、21カ国から約50人が壇上で歓迎のパーフォマンスを、WYDの聖歌隊、オーケストラ、その他多数の楽器の演奏者たちが、歌や音楽、踊りなどで会場を盛り上げた。聴覚障害者のために、手話で歌の歌詞を振りつけるなどの工夫もされた。

 教皇が会場に到着された後、若者たちのグループが、教皇が毎日受け取られる何千もの手紙の中からいくつかを朗読した。手紙では、世界中の若者が抱いている疑問や懸念が率直に語られ、家庭や国、地元の教会に対するアドバイスや祈りを教皇に求めるものも目立った。

 歓迎式典は、ポルトガルの作曲家がこの日のために作ったオリジナル曲「Um Dia de Sol」(「晴れた日」)が伴奏される中を、大会に参加するすべての国の国旗の行列の後、式典のハイライトである、ルカ福音書のイエスが72人の弟子を送り出された箇所に焦点を当てた「御言葉の典礼」が行われた。

 典礼の中の説教で、教皇は、その福音の箇所を振り返り、大会に参加している若者たちに歓迎の言葉を述べるとともに、「神はあなたがた若者たち一人一人を愛しており、あなたがたを名前で読んでおられます。この事実を、このWYD大会で認識するように、互いに助け合いましょう。大会の日々が、神の愛の呼びかけの活気に満ちた響きとなりますように」と祈られた。

 そして、「キリスト教会は『呼ばれた者の共同体』であり、『最も優れた人々の共同体』ではありません。優れた人どころか、私たちは皆、罪人であり、『問題と限界を抱えたありのままの私たち』が呼ばれているのです」とされたうえで、「私たちは、イエスの兄弟姉妹、同じ御父の息子と娘の共同体です。このことを、皆さんにはっきり申し上げたいのです」と言明された。

 さらに、「教会には、すべての人のためのスペースがあります。イエスは、福音書のいくつものたとえ話で、老いも若きも、健康な人も病気の人も、正しい人も罪人も、すべての人が呼ばれていることを明言されています。皆、皆、皆、です」と説かれ、式典に参加したすべての若者たちに、ご自分に続いて「皆、皆、皆!」と繰り返すように促された。

 教皇は、神が若者たちを愛しておられる、と繰り返し強調され、「神に問いを投げかけるのに、決して飽きてしまわないように。問いを投げかけるのはいいことです。答えることよりも良い場合がよくあります。なぜなら、質問する人は、一か所に落ち着くことがない。落ち着かないことは、魂を麻痺させてしまう惰性の病に最もよく効く治療法だからです」と説かれた。

 また、教皇は、「神が私たちを愛してくださっていることが、どれほど素晴らしいことなのか」を考えるように促され、 「神はありのままの私たちを、愛してくださっているのです。私たちが、社会が、こうありたい、と望んでいる姿ではありません。 私たちは、欠点や限界を抱えながらも、前を向いて人生を歩もうとする、そのありのままの姿で呼ばれ、愛されているのです」と改めて強調。

 「これが私があなたに言いたかったことです。恐れることはありません。勇気を持って、私たちが、神に愛されていることを知って、前進してください…」と説教を締めくくられ、若者たちに「神は、私たちを愛してくださいます」と繰り返すよう呼び掛けられた。

 教皇の説教に続き、聖ヨハネ・パウロ二世、聖ヨハネ・ボスコ、ピエール・ジョルジョ・フラッサティ神父、カルロス・アクティス神父などWYDの後援者たちと、聖アントニオなどポルトガルの聖人や福者たちを呼び起こす連祷がされ、主の祈りと教皇の閉幕の祝福で式典は終了した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年8月4日