【教皇ポルトガル訪問最終日】「大地が雨を求めるように、教会と世界はあなたがた若者を必要としている」WYD大会閉幕ミサ で

Concluding Mass for World Youth Day 2023Concluding Mass for World Youth Day 2023

 ポルトガル訪問最終日の6日朝、教皇フランシスコはリスボン市内のテージョ公園で、「世界青年の日(WYD)」大会の締めくくりのミサを、大会参加者たちと共に捧げられた。そして、説教の中で、若者たちに「輝き、耳を傾け、恐れない」ことを説かれた。

 

*「三つの動詞」を持ち帰ろう

 

 「主の変容」の主日に当たるこの日のミサでは、福音朗読でマタイ17章のイエスの変容の箇所が読まれたが、教皇は、変容を目の当たりにしたペトロの言葉を引用され、「私たちが、ここ(このミサの会場)にいるのは素晴らしいことです!」と参加者たちに呼びかけて、説教を始められた。

 そして、彼らに、「私たちは、”日常生活の谷間”に何を持って帰るのか」自問するように促され、福音の朗読箇所から引用する形で「輝く」「聴く」「恐れない」の三つの動詞を持ち帰ることを提案された。

 

*「輝く」

 福音で読まれたイエスの変容の箇所で、イエスは、ゲツセマネとカルワリオで弟子たちが直面することになる辛い時に備えるために、ご自身の顔を太陽のように顔を輝かせ、衣服を光のように白くさせて、最も親しくしていた三人の弟子たちの前に現れた、と書かれている。

 教皇は、「私たちも光を必要としています。私たちの人生を襲う多くの闇に立ち向かう希望となる、一筋の光が必要です。そして、 その光とは、イエスです。イエスは消えない光、夜の中でも輝く光だからです」とされ、「主の光で、いつも私たちの目を、心を、思いを照らし、人生で何かしたいという私たちの願望を照らしてくれるのは、イエスです」と強調。

 「しかし、自分自身にスポットライトを当てても、私たちは明るくなるわけではありません。イエスを心から受け入れ、イエスのように愛することを学ぶとき、私たちは明るくなり、輝くのです。イエスのように愛すること-それが私たちを明るくし、愛の業を行うように導くのです」と説かれた。

*「聴く」

 続いて、教皇は、主の変容の際に、父なる神が弟子たちに語られた「これは私の愛する子… これに聞け」に注意を向けられて、「私たちが人生ですべきことは、すべてここにあります―イエスの言うことを聞くように、すべての秘密を解くカギがそこにある」とされ、「もし 神が自分に何を言っておられるのか、分からない場合は、福音書を読んで、イエスが語られることを知り、心でイエスが語られることを聞くことです。なぜなら、神は、私たちに対する永遠の命の言葉を持っているからです。神は、ご自分が父であり、愛であることを明らかにしておられ、私たちに愛への道を教えてくださいます」と語られた。

*「恐れない 」

 最後に、教皇は三つ目の動詞、変容の際にイエスが弟子たちに語られた最後の言葉、「立ち上がりなさい。恐れることはない!」に言及。

 

 「あなたがたは、素晴らしい夢を持っていても、それが実現しないのではないか、と恐れたり、悲観、落胆する誘惑に引かれたり、自分の努力が十分ではないと感じたりすることがあるかも知れません」とされたうえで、「世界を変えたいと願い、正義と平和のために戦おうとするのは、良いこと。大地が雨を必要としているように、世界はあなたがたを必要としているのです」と強調された。

 そして、「イエスが私たち一人ひとり言われている『恐れるな』を、心の中で静かに繰り返しましょう。愛する若者の皆さん、皆さん一人ひとりの目を見て申し上げたい。恐れることはありません」と若者たちを激励。 「さらに、とても素晴らしいことを申し上げましょう。今のこの瞬間、あなた方を見ているのは、私ではなく、イエスご自身なのです。イエスが私たちを見ておられるのです…  神はあなたがたを知っておられます。あなたがた一人ひとりの心を、人生を、喜びを、そして悲しみ、成功、失敗を知っておられます」と語られ、次のように締めくくられた。

 「神は、今日、ここリスボンで開かれている世界青年の日(WYD)大会で、あなたがたに呼びかけておられます―『恐れるな。恐れるな。勇気を出せ。恐れるな』と」。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年8月6日