【教皇、マルセイユ訪問】「教会、そして欧州には、”信仰の飛躍”が求められている」市内のスタジアムでのミサで

（2023.9.23　Vatican News 　By Christopher Wells）

　マルセイユ訪問中の教皇フランシスコは23日午後、市内のスタジアム「スタッド・ヴェロドローム」でミサを捧げられ、説教の中で、「信仰を持つ人は、主の臨在をはっきりと認め、ダビデが契約の箱の前でしたように”喜びに飛び跳ねる”が、 冷たく無関心な人は、あらゆるもの、すべての人に対して、そして悲劇的な形で人命が失われることに対してさえ、かたくなで鈍感になる」とされ、「今日、私たちが目の当たりにしている、非常に多くの移民・難民、数え切れないほどの胎児、そして見捨てられた高齢者を拒絶する姿勢」にそれが現れている、と警告された。

　教皇は前日、22日に、市内のノートルダム・ド・ラ・ガルド聖堂で、地元教区の教会関係者らと祈りの集いをなさったが、旧港の南の丘の上にそびえる聖堂は、聖母に捧げた古い礼拝堂があった場所に1864年に献堂され、鐘楼の上に荘厳な聖母子像が立ち、船員や、漁師、マルセイユ市民を見守る希望と保護のシンボルとして「ラ・ボンヌ・メール」（優しき御母）と呼ばれ愛されている。

　説教で、ご自身のマルセイユ訪問を印象付けた「ラ・ボンヌ・メール」、そしてミサの祭壇に置かれたマリア像を前に、教皇は、「聖母マリアこそ、真の契約の箱でです。 福音書に記されているマリアのエリザベト訪問は、神の人類への訪問－神は、私たちが喜びに沸くように、愛を持って私たちを探し求めておられることを、私たちに示しています」と語られ、マリアが、高齢なエリザベトが妊娠したことを知った時、すぐに助けに出かけたのと同じように、「真の信仰は、私たちに、隣人に向かって飛び跳ねるよう促します」と説かれた。

　そして、 教皇は、「神の訪問は、通常、私たちの兄弟姉妹との『出会いの単純さ』の中で経験されるもの、と指摘されるとともに、「教会において、私たちは他の人たちに対して心を開き、神を見ることを学ばねばなりません」と語られた。

　また教皇は、欧州の諸都市に見られる多元主義が「孤独と苦しみを生み出す、行き過ぎた個人主義、利己主義、拒絶」に対抗する強い力となりうる、と指摘され、「 今日、教会、フランス、そして欧州において必要とされているのは、前進する恵み、信仰、慈善、そして希望における新たな飛躍です」「私たちは『情熱を燃やし、友愛に徹したい』という願望を再び目覚めさせ、危険を冒しても家族を愛し、とくに最も弱い人々を愛し、人生を素晴らしいものにする福音を再発見する必要があります」と訴えられた。

　説教の最後に教皇は、マリアのエリザベト訪問で示された「信仰の動き」を体験するよう強く勧められ、神は私たちに”迷惑”をかけ、動かし、飛び跳ねさせる方であることを指摘された。そして、「私たちは祈りの中で神に出会い、愛の中で兄弟姉妹に出会うキリスト者になりましょう…　 地中海が挑戦を受けている課題、貧しい人々の叫び、そして『友愛と平和の聖なるユートピア』の実現が強く求められる時代を、私たちは生きているのです」と参加者たちに呼びかけられた。そして、ノートルダム・ド・ラ・ガルド聖堂の「ラ・ボンヌ・メール」への祈り―「私たちの暮らしを見守り、フランスと欧州全土を守り、私たちを聖霊へ飛び跳ねさせてください」と願われた。