「自分の世界に閉じこもれば、自己崩壊を免れない」教皇、バチカン高位聖職者に警告

教皇フランシスコ、バチカンの高位聖職者らに降誕祭前の挨拶 – AP

(2017.12.21 バチカン放送)教皇フランシスコが21日、バチカンの高位聖職者たちと降誕祭前のあいさつを交換された。バチカン宮殿のクレメンスの間で行われた年末恒例のこの出会いには、教皇庁の諸機関の責任者や、日頃教皇の協力者として働く枢機卿や司教たちが集った。

 教皇は挨拶で、「進行中の教皇庁の改革に照らし、今回は特に、教皇庁の外に対する関係、すなわち教皇庁と世界の国々、また地方教会や東方教会、キリスト教諸教会や諸宗教など、外部の世界との関係」について考察された。

 まず、バチカンの改革について、「ローマで改革を行なうことは、エジプトのスフィンクスを歯ブラシで磨くようなもの」というフレドリック・フランソワ・グザヴィエ・ドゥ・メロード大司教(ブリュッセル1820-ローマ1874)の言葉を引用し、「教皇庁は古い歴史を持つ、複雑で、異なる様々な文化・言語・考え方を持つ人々からなる組織。改革の目標に到達するには、多くの忍耐と、努力、繊細さを必要とします」と話された。

 さらに、「教皇庁は教皇と結びつきながら、福音を述べ伝える使命を持ち、その意味で外に開いたものであり、自分の世界だけに閉じこもるならば、自己崩壊を免れることができません」警告し、教皇庁関係者は、善と教会への奉仕を求められており、「司教の耳と口、心と魂」としての助祭的精神を持って、「教皇の権威のもと、教会に奉仕するとともに、外部の世界にも関心を持っていかなければならない」と強調された。

 教皇庁の諸機関は、「感度の高いアンテナ」でなければならない、とし、「教皇や責任者たちの意図を忠実に伝えると同時に、教会や世界の声を集め、教皇に伝える役割も担っているのです」と語られ、外交の面でも、「誠実で絶え間ない研究をもって、 教皇庁を『橋を築く者、平和と対話の構築者』としていくことが、バチカン外交の本質的役割」と指摘し、「バチカン外交で唯一大切なのは、あらゆる世俗的・物質的関心から自由であること」と話された。

 また、教皇庁と各教区や地方教会との関係を重視し、「各教区や地方教会との関係で、協力と信頼を育む」ように、「東方典礼の教会とローマとの関係が相互の霊的・典礼的豊かさをもたらすものとなる」ように、と願われた。

 来年10月にバチカンで開かれる若者と召命をテーマにした全世界司教会議(シノドス)についても言及し、「この機会を通して、若者たちはもとより、世代、家族、社会間の複雑な関係にも目を向けるように」と希望を述べられた。

  キリスト教諸教会との対話については「キリスト者の一致は共に歩みながら作り出していくもの」とし、「キリスト者を分け隔てている神学的・教会的な違いは、共に歩むことを通してのみ、克服することができます」と話された。

 また、バチカンと諸宗教との関係については、「対立の非文明」ではなく、「出会いの文明」の必要を説かれた。

 最後に、「危機感の無い信仰は、危機にある信仰」とし、「頭だけの信仰、生ぬるい信仰」は、まぐさ桶の中に置かれた神を迎えることによってのみ、心も魂も精神をも巻き込んだ(危機を克服する心からの=「カトリック・あい」注釈)信仰となる、と確信を語られた。

(バチカン放送とバチカン広報をもとに、「カトリック・あい」が編集しました)

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2017年12月22日