「第二バチカン公会議の理念に忠実に、基礎を置くように」-神学者たちに(CRUX)

(2017.12.29 Crux  EDITOR John L. Allen Jr. )ローマ発―教皇フランシスコは29日、バチカンで、創設50周年を迎えたイタリア神学協会の会員たちと会見し、教会におけるカトリック神学の「自由と責任」をもった極めて重要な役割を確認したうえで、神学を学んだことのない一般の人々が直感や自分の関心を優先するように、神学者たちも、第二バチカン公会議の理念に忠実に、基礎を置くように、と求められた。

  出席した約100人の会員を前に、教皇は冒頭、「自らの神学の仕事を、個々の洞察の探求ではなく、広範な共同体社会に根を下ろしたものとして認識するよう」強く求め、「神学者のすることは、個人的な探求にならざるをえませんが、幅広い神学的な集まりの中に浸ることもできます」とし、それは、神学者たちの職務の飾り物ではない、と強調した。

 教皇はまた、特に、一般の信徒たちの洞察力-専門家がしばしば「大衆信心」と呼ぶもの―に深い注意を払うように求め、「それは、どの神学者も『浸りきっている』と感じるだろう聖なる神の民の生きた信仰の中にあり、それによって、彼らは、元気づけられ、喜びを得、受容されたと感じるに違いないのです」と述べた。

 さらに教皇は神学者たちに、教皇自身が「本質的な任務」とすることに努めるよう求めた。その任務とは、「福音の持つ本質を歪曲した理念を植え付ける」ような現在の文化の中に、キリスト教の信仰の本質を伝えることのできる方法を見つけること、と説明した。

 基本的な神学者のあり方について注文を付けたうえで、教皇は、1962年から1965にかけて開かれた第二バチカン公会議を取り上げ、公会議が求めていたのは、カトリック教会が「大きく異なる文化や社会と調和するような新しいやり方で、福音を告げ知らせる」ことであり、「教会は常にこの会議を思い起こさねばなりません」「そうした努力は、教会全体、特に神学者たちによって『創造的な忠誠』の精 神を持ってなされる必要があります」と力説した。

 そして、 「このような理由から、あなた方が神学の仕事を進める際にお願いしたいことがあります。それは、第二バチカン公会議 と、教会がこの公会議で示した『キリストの福音の絶えることのない新しさによって、自身が活性化される潜在的な力』に忠実に、強固な基礎を置くようにすることです」と訴えた。

 そして、神学者が取り組むべき具体的な課題について、自身が創造的な神学的思考が必要とされていると確信する分野として「生態系の危機」「人類を変えるような神経科学や技術の進歩」「拡大を続ける社会的不平等」「全体の人々の移動」「理論的相対主義とその実践」を挙げた。

 (翻訳「カトリック・あい」山田恵子・南條俊二)

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2018年1月11日