♰「キリストが与えられる慰めは、単なる心の安らぎではない」第14主日・正午の祈りで

 

2020.07.05 AngelusPope Francis greets the faithful during the Sunday Angelus  (Vatican Media)

(2020.7.5  Vatican News)

 教皇フランシスコは5日、年間第14主日の正午の祈りの説教で、キリストが、疲れ果て、虐げられた人に与えられる慰めは、単なる心の安らぎや施しではない、と指摘された。

 説教で教皇は、この日のミサで朗読された福音書の箇所(マタイ11章25-30節)は、三つの部分に分かれている、とされた。

 そして最初の部分で、イエスは「天の父に祝福と感謝の祈りを捧げます。父が、貧しい人、単純素朴な人に、天の国の神秘を明かされたからです」と教皇は述べ、イエスは「父との親密でユニークな関係を明らかにし… 私たちに、安らぎを得られるように、ご自分のもとに来て、付き従うように、お招きになります」と語られた。

 *感謝

 イエスは、父への感謝で、ご自身が「知恵のある者や賢い者」(11章25節)と皮肉を込めて呼ぶ者たちに、父が王国の秘密を隠されたことを、ほめたたえる。

 教皇は、「イエスが彼らのことを皮肉のベールをかけて、そう呼ぶのは、彼らは、そうであろう(注:知恵があり、賢いだろう)し、それゆえに、心を閉じているからです」とし、イエスは、父の神秘が明かされたのは「幼子たち」、つまり、救いの御言葉に確信を持って心を開く者たち、イエスを必要だと思い、イエスがもたらされる全てを期待する者たちだった、と語られた。

 

*完全な相互関係

 さらに教皇「イエスは『父からすべてを受け取った』と説きます… その方を『私の父』と呼び、ご自身と父の関係が、他にはない特別なものであることを公言されます」としたうえで、「この『子』と『父』だけに、完全な相互関係がある… それぞれが相手を知り、それぞれが相手の中に生きているのです」と説かれた。

 そして、イエスの招きに命を与えるのは、この他にない特別の交わりー「私のもとに来なさい…」、それは『子』がご自分が『父』から受けたものを与えたい、と望まれるからだ、と指摘された。

*幼子たちを好まれる

 「父」が「幼子たち」を好まれるように、イエスは「重荷を負って苦労している者」を招かれる…

 教皇は、「イエスの父への完全な献身」を強調するとともに、(注:イエスがご自分について言われる)「柔和と謙虚」は忍従の手本を示している訳ではないし、イエスは「単なる犠牲者」ではない、父の愛、つまり聖霊に対し完全に心を開いて、与えられた環境を生きること、と指摘され、「イエスは、『霊において貧しい人』、その他の福音書にある『祝福された』全ての人-神の意志を行い、神の国を証しする人-の手本です」と説かれた

 説教の締めくくりに教皇は、キリストが疲れ果て、虐げられた人にお与えになる「慰め」は、単に心の安らぎや施しではなく、福音と告げ知らされ、新しい人類を作り上げる者となる貧しい人々の喜び、とされ、「それはすべての善意の人々へのメッセージなのです… どのようなやり方であろうと人間を、そして男女の尊厳を踏みにじる、富んで、権力のある者たちを誉めそやす世界にあって、イエスは、このメッセージを今も伝えておられるのです」とされ、教会-慈しみの業を生き、貧しい人々に福音を伝えるよう求められている教会-へのメッセージでもある、と強調された。

 最後に教皇は、聖母マリアに、「私たちが日々の生活の中であなたの『しるし』を識別し、高慢な人々に隠され、謙虚な人々に明かされた神秘を共有する者となれますように」と取次ぎを祈られた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2020年7月6日