♰「今が方向を変える時。若者たちの希望を奪わないように」教皇、「気候野心サミット」にメッセージ

File photo of Pope Francis recording a video messageFile photo of Pope Francis recording a video message  (ANSA)

(2020.12.12 Vatican News Devin Watkins)

 教皇フランシスコは、日本時間12日深夜オンライン形式で開幕した気候変動対策に関する各国首脳らによる「気候野心サミット」にビデオメッセージを寄せ、気候変動と戦うために「いたわりの文化(culture of care)」を促進するよう訴えられた。

 教皇は、「現在進行中の新形コロナウイルスの世界的大感染と気候変動ー環境だけでなく、倫理、社会、経済、政治の分野にも関連するものーは、貧しい人々や傷つきやすい人々の生活に最も大きな影響を及ぼしています」と、特に弱い人々への配慮を求めた。

 今回のサミットは、地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」の採択から12日で5年を迎えることを記念し、英国で来年開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向けて、CO2排出量を削減し、地球温暖化を抑える各国の努力を互いに促す狙いがある。 

*バチカン市国の取り組み

 教皇はビデオメッセージの中で、CO2排出量ゼロに向けた取り組みへの支持を確認し、この点に関して2つの異なるレベルで行われているバチカンの取り組みについて説明。「バチカン市国は、2050年までにゼロ排出量を達成することに取り組んでいる。水と電力の使用量を削減し、エネルギー効率、持続可能な輸送、森林再生、廃棄物のリサイクルを促進するための施策を通して、環境への配慮を追求しています。教育面でも、統合生態学による人々の育成をしようとしています」と述べた。

 そして、 「政治と技術は、友愛と人間と環境の間の同盟に焦点を合わせた『開発と持続可能性の文化的モデル』を作り上げる教育課程のもとで結束する必要がある」とし、 この目標を念頭に置いて、全世界で7000万人を超える学生たちがいるカトリック学校や大学が教育体制を整えるのを支援する「教育に関するグローバルコンパクトを設立した」ことを明らかにした。

*シェアリングエコノミー

 教皇のもう1つの取り組みは「フランシスコの経済(The Economy of Francesco)」。より良い未来の構築を助けるために、世界の若い経済学者、起業家、変革者を結集させ、「国内政治、国際政治の中心に共有物へのいたわりを置き、関連の先進技術を共有することで、低所得国を含めた世界の国々での持続可能な生産方法を普及させる」という新しいやり方を推進しようとしている、と強調した。

 より良い未来を願って

 メッセージの最後に教皇は、 「今や、私たちの進む方向を変える時が来ています。より良い未来に、若い世代の希望を奪わないようにしましょう」と首脳たちの呼び掛けた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年12月13日