☩マフィアによるディアナ神父殺害から30年ー「彼と同じ希望をもって共に歩み、悪の支配に打ち勝ち、自由な世界を構築するように」

ジュセッペ・ディアナ神父ジュセッペ・ディアナ神父 

 イタリア南部カサル・ディ・プリンチペでジュセッペ・ディアナ神父がマフィアに殺されてから30年経った3月19日、教皇フランシスコは、アヴェルサ教区の司教に書簡を送り、「ディアナ神父と同じ希望をもって共に歩み、キリスト教的預言を実現しながら、悪の支配から自由な世界を構築するように」と呼びかけられた。。

 ディアナ神父(1958-1994)は、イタリア・カンパニア州カセルタ県のカサル・ディ・プリンチペの生まれで、1982年司祭に叙階。アヴェルサ教区の司祭として活動するかたわらボーイスカウトの顧問等を経て、1989年から故郷カサル・ディ・プリンチペのサン・ニコラ・ディ・バーリ小教区の主任司祭を務め、地元の高校で文学・宗教などの科目を教えた。

 「カモッラ」と呼ばれるマフィアが幅を利かせるこの地域社会で、ディアナ神父は福音の精神のもとに人々を導き、支えた。1991年の降誕祭には、「私の人々への愛のために」と題する書簡を発表し、犯罪組織がはびこる中で、キリスト者のとるべき態度と責任を示した。だが、1994年3月19日、自身の洗礼名の記念日でもある聖ヨセフの祭日の朝、香部屋でミサの準備中に、カモッラの一員にピストルで射殺された。

 教皇フランシスコは、書簡の中で30年前の悲劇的な出来事を振り返ると同時に、人々の生活の「荒れ野」に分け入り、自らの命を犠牲にするまでに人々を守り、民に尽くした神の「忠実な良い僕」(マタイ福音書25章21節など)だったディアナ神父を讃えられ、アヴェルサ教区の人々、中でもディアナ神父を親しみを込めて「ペッペ神父」と呼んだカサル・ディ・プリンチペのサン・ニコラ・ディ・バーリ教会の信者たちに、彼と同じように希望を持って共に歩み、悪に支配に打ち勝ち、自由な世界を構築するように、と呼びかけられた。

 また、ディアナ神父が開いた道を日常的な努力をもってたどり、正義の種と地元の人間的・社会的発展の夢を忍耐のうちに育て続けるすべての人々を勇気づけられ、「正義を否定し、人間の尊厳を無にする非道な暴力と横暴を前に、キリスト者は福音を告げ、キリストと共に、兄弟愛と交わりによって豊かにされた新しい人類のしるしとしての召命を生きるように呼ばれています」と説かれた。

 そして、「キリストにおいて洗礼を受けた信者、また司牧者として、神は私たちに預言者であるようにと望まれる。預言者は見張りとして、不正義を見、それを告発し、神が望まれる本来のご計画を思い出させなければならない」(書簡「私の人々への愛のために」)と訴えたディアナ神父の言葉を改めて示された。

 書簡の最後に教皇は、「師イエスの勇気ある弟子、ディアナ神父の死から30年が経った今、人々が御言葉を受け入れ、神の真理において信仰と希望を強め、悪の闇から清められた調和と兄弟愛あふれる未来を築く目標を保ち続けることができますように」と祈られた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年3月20日