☩「諸宗教は、世界平和と相互理解のカギを握っている」第7回世界伝統宗教指導者会議で

(2022.9.14  Vatican News staff reporter)

    カザフスタン訪問中の教皇フランシスコは14日午前、首都ヌルスルタンの独立宮殿で始まった「第7回世界伝統宗教指導者会議」で演説され、世界平和への渇望、私たち一人一人の心に宿る計り知れない神秘への渇望に応えるため、友情を育てることが諸宗教に求められていることを強調された。

 3年ごとに開催される2日間のこの会議には、世界の50カ国から100以上の伝統宗教代表などが出席。新型コロナウイルスの世界提大感染後の世界において、いかに精神的、社会的発展を促進することができるか、が大きなテーマとされている。Religious leaders together in Nur-Sultan

 教皇は演説を、会議出席者すべてに対する「兄弟姉妹の皆さん… 同じ天の子供たちとして私たちを結びつける友愛の名において」の呼びかけで始められた。

 そして、「私たちを超越し、私たちを魅了する計り知れない神秘を前にして、自分たちが被造物であり… 全知全能ではなく… 同じ天なる目的地に向かって旅していることを、諸宗教は私たちに思い起こさせます」とされ、この共通の人間としての本質は「共通の絆、真の友愛」を生み出すもの、と語られた。

 また、会議の主催国であるこのカザフスタンが、中央アジアの古代の絹のルートであったように、思想、信仰、そして貿易を含む歴史的な「出会いの地」であったことを思い起され、諸宗教の出会いが、常に「互いの尊敬、誠実な対話、それぞれの人に対する冒すべからざる尊厳の尊重、そして相互協力」で特徴づけられた人間関係に基づくものでよう、希望を表明された。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(2022.9.14 バチカン放送)

 首都ヌルスルタンの独立宮殿で、9月14日と15日の両日開かれる今回の会議には、世界のおよそ50か国から、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教、仏教などの指導者ら81名が参加。教皇フランシスコは、同会議にローマ教皇として初めて出席した。

 教皇はカザフスタン到着後の各界代表との13日の会見で、同国の伝統楽器「ドンブラ」をモチーフに挨拶をおくられたが、この会議の演説では、同国で深く尊敬される詩人・作曲家・哲学者・教育者で、しばしばドンブラと共に描かれる、アバイ・クナンバイウル(1845-1904)の言葉を豊かに引用しつつ、スピーチを行われた。

 カザフスタンの人々から「アバイ」と呼ばれ親しまれるこの国民的詩人をめぐり、教皇はその作品にしみわたる宗教性と民族性、調和のとれた賢明さ、平和への思い、自己の洞察、人間としての叡智の探求の姿勢を見つめられた。

 「命の美しさとは何であろう。もしその深きを探らないなら」という、アバイの言葉を引きながら、教皇は、人間は究極の問いに意味を見出し、霊性を育むことを必要とする存在である、と述べられた。

 また、「目覚めた魂、澄んだ精神」の必要をアバイが語るように、「世界は私たちから、目覚めた魂と澄んだ精神の模範、真の宗教性を待ち望んでいます」と話された。

 そして、教皇は、「今こそ、あらゆる信仰を汚し、腐敗させる原理主義から目を覚まし、心を清めて憐み深くする時です」と呼びかけられた。

 かつてこの地域が数十年にわたり無神論的国家の影響を受け、「宗教」という言葉さえ使うことが困難であった時代を振り返られ教皇は、「実際には、宗教は問題ではなく、むしろ、それは、より調和した共存のための解決を形作る要素です」と指摘。「宗教がすべての人が心に抱える世界平和への切なる願い、無限の存在への渇きに答えるものであるように」と説かれた。

 教皇は「信仰の自由」を「人類の統合的発展に不可欠な条件、本質的で譲ることのできない権利」として示し、「他者に強制することなしに、自分の信仰を公に証しすることは、すべての人の権利です」と強調された。

 また、教皇は今日の世界におけるグローバルな課題として、「人間の脆さを知り、いたわる”パンデミック対応”」「平和への挑戦」「兄弟的な受け入れ」「環境保護」を挙げられ、「諸宗教が各自のアイデンティティーを守りながら、友好と兄弟愛のうちに共に歩み、暗い現代を創造主の光で照らすことができるように」と願われた。

(編集「かとりっく・あい」)

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2022年9月14日