☩「被造物の苦い叫びを聞く私たちは個人として、共同体として回診が必要」ー9月1日の「被造物を大切にする世界祈願日」に向けて

教皇フランシスコ、9月1日の「被造物を大切にする世界祈願日」に向けメッセージ  (AFP or licensors)

(2022.7.21 バチカン放送)

 教皇フランシスコが21日、9月1日のカトリック教会の「被造物を大切にする世界祈願日」に向けたメッセージを発表された。

 カトリック教会は、毎年9月1日に「被造物を大切にする世界祈願日」を記念し、また同祈願日から、アッシジの聖フランシスコの日である10 月 4 日まで、約1ヵ月間を被造物の保護のために祈り行動する期間である「被造物の季節」(Season of Creation) とし、多くのキリスト者が参加する。

 今年のテーマは「被造物の声に耳を傾けよう」で、教皇はメッセージでまず、このテーマを取り上げ、「被造物の声に耳を傾けるなら、私たちは創造主である神を称える甘美な歌を聞く一方で、人間の酷い仕打ちを嘆く、苦い叫びを聞くでしょう」とされた。

 そして、「被造物が上げる苦い叫びは、母なる大地の叫びであり、生態系から消えゆく多くの生物の叫び、また、気候危機の影響を最も強く受けている貧しい人々の叫び、先祖からの土地を経済的利益のために搾取される先住民たちの叫び、そして地球のエコシステムの崩壊を食い止めるために可能な限りの努力を望む若者たちの叫びでもあります」と指摘。

 「これらの叫びを聞く私たちは、自らを深く反省し、被造物にダメージを与える生活様式や習慣を変えなくてはなりません。そのためには個人的な回心だけでなく、共同体的な回心が必要です」と説かれた。

 さらに、今年11月にエジプトで開かれる「国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議」(COP27)、そして、同じく12月にカナダで開かれる「国連生物多様性条約第15回締約国会議」(COP15)にも言及され、「被造物の季節」を記念する間、「COP27、COP15の二つの会議が、気候変動と生物多様性の減少という二重の危機に立ち向かうため、人類を一致させることができるよう祈りましょう」と呼びかけられた。

 そして、これらの一連の会議の機会に、鉱山・石油・森林・不動産・農業・食料に関わる大企業に対し、「森林・湿地帯・山々の破壊や、海や河川の汚染、住民や食料への有毒な影響を引き起こすことをやめるように」と改めて求められるとともに、「過去に環境をより汚染した経済的に豊かな国々の”環境負債”の存在を認めざるを得ない」として、「COP27、COP15会議がこれらの国々にいっそう高い目標への一歩を促すとともに、こうした国々が気候危機の重荷を最も負う経済的に恵まれない国々の財務的・技術的支援を支援する約束を守るように」と願われた。

 最後に教皇は、「喜ぶ人々とともに喜び、泣く人とともに泣く」ようにと促す聖パウロの言葉(ローマの信徒への手紙12章15節)を思い出すように求めつつ、「被造物の苦い叫びを聞いて共に泣き、それに実際の行いをもって応えるなら、私たちと未来の世代は、これからも被造物の命と希望の甘美な歌を耳にして、ともに喜ぶことができるでしょう」と希望を述べられた。

(編集「カトリック・あい」)

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2022年7月22日