☩「正義を行うには、勇気の美徳が必要」教皇、バチカンの裁判所の年度始めのあいさつで

Pope Francis at the inauguration of the 95th Judicial Year in the VaticanPope Francis at the inauguration of the 95th Judicial Year in the Vatican  (Vatican Media)

  教皇フランシスコは2日、新たなバチカンの裁判所の年度初めにあたってのバチカンの関係者たちとの会合であいさつされ、「司法の運営にあたって、真実を追求し、批判に直面する際にも、正義を行うために、勇気と謙虚さの美徳をもって対応する必要」を強調された。

*”自己宣伝”を目的としない「健全な大胆さ」が必要

 

  あいさつで教皇はまず、「正義を行うための勇気と謙虚さの美徳は、英雄的な人に特有の特質」ではなく、「聖霊の働きの成果として、キリストとの出会いによって与えられ強化されるキリスト教徒としての特質。私たちが呼び求めれば誰でも受け取ることができるものです」と指摘。

  その美徳は、特に「善の達成を妨げる内外の圧力を拒否し、忍耐を持って行動する能力に表れます」とされ、「健全な大胆さ、つまり『社会の弱者との、自己宣伝ではなく、連帯を目的とする姿勢』を欠けば、大小さまざまな不正を見過ごす危険がある」と注意された。

 

 

*正義とは常に慈善行為である

 

  迫害されている多くのキリスト教徒を含め、世界中で戦争や人権侵害に苦しむすべての男女の勇気に敬意されたうえで、教皇は「私たち皆が、子供たちの将来のために全力を尽くし、共通の社会を守るために召されています… 『裁く』という仕事には、慎重さ、慈善心、節制に加えて、不屈の精神と勇気という美徳が必要であり、それがなければ知恵は不毛なままになる危険があります」と繰り返された。

 

 

*真実を徹底的に追求する勇気

 

  続けて、司法権の機能について、「まず第一に、『真実を徹底的に追求する勇気』が必要。その際、頭に入れておくべきは、正義を行うことは常に慈善の行為であり、過ちを認めるのを助けるための、『友愛的な矯正』の機会となる、ということです」とされ、特に、深刻でスキャンダラスな行為が明らかになり、制裁が求められるとき、特にそれが教会共同体内部で起きたときには、なおさら必要になります」と強調された。

*適正な手続きを確保する勇気

 また教皇は、「訴訟の適切な進行を確保するよう努力し、批判に直面して勇気を持つことが必要です。 外部から批判に対する最善の対応は、勤勉な沈黙と真剣に仕事に取り組むことであり、それによってバチカンの法廷が権威と公平性をもって司法を執行し、バチカンの法制度の特殊性を尊重しながら適正手続きを確保できるようになります。制度の強靭さと司法行政の堅固さは、司法プロセスのさまざまな段階での裁判官の冷静な判断、独立性、公平性によって証明されるのです」と語られた。

*正義を行う上での識別力を求める「祈りの勇気」

 あいさつの最後に教皇は、「聖霊の光は、常に公正な判決に至るために必要な識別の道を照らしてくれます。 皆さんの仕事にとって、祈りは『時間の無駄』だと考えるべきではありません」「識別は『ひざまずき』の中で行われ、聖霊の賜物を懇願し、個人と教会共同体全体の利益につながる決定を下される。 そのためにも勇気と精神力が必要です」と説かれた。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南条俊二)

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2024年3月3日