(2024.3.9 Vatican News Devin Watkins)
教皇フランシスコは9日に一部が公開されたスイスの公共放送RTSのインタビューで、戦争のさまざまな側面とその壊滅的な影響について詳しく語り、現在ウクライナとガザで行われている戦争を早急に終わられるよう、関係国などの努力を改めて訴えられた。
インタビューは2月上旬に収録され、3月20日にRTSのテレビ番組で放映される予定だ。
その中で教皇は、地球を汚している戦争、特にロシアのウクライナ戦争とガザでのイスラエル・ハマス戦争について語られた。
「私は 毎日、午後7時に、600人が避難しているガザの聖家族教会に電話します。彼らは自分たちが目撃していることについて話してくれます」とされ、 「それはまさに戦争です。 戦争は一人ではなく二人いなければできない。責任は戦争をしている双方にあります」と述べられた。
そして、「(戦争を停止するための)交渉は、決して降伏ではありません。どのような戦争でも、当事者双方が和平交渉のテーブルに着くべきです。 交渉は、国を”自殺”に追い込まない勇気です」と言明され、ウクライナ戦争の両当事国に対し「事態がこれ以上悪化する前に交渉することを恥じてはなりません。交渉は『国際勢力』の助けを得て行うこともできる」と訴えられた。
さらに、「自分が敗北したり、物事がうまくいっていないと分かった時こそ、交渉する勇気を持つことが必要です。 恥ずかしいと思うかも知れません。では、何人亡くなれば戦争が終わるのでしょうか? 早く交渉してください。 仲介してくれる国を探してください。調停役を希望する人は多い。 トルコは調停役を申し出ました。 これ以上、 事態が悪化する前に、恥ずかしがらずに交渉してください」と繰り返された。
インタビューの後半で、「戦争は狂気です。戦争は狂気です。戦争は狂気です」と繰り返し述べられた教皇は、 平和の象徴としてのハトのイメージについての質問に、2014年1月26日の主日の正午の祈りの際に出来事を思い起こされた。それは、教皇が正午の祈りの説教で平和を呼びかけたのを受けて、同席した子供たちが一対の白いハトを空に向かって放したところ、カラスとカモメに襲われた思い出だ。
「聖ペトロ広場にいた一羽のカラスがすぐに飛び立ち、ハトを捕まえて飛んで行ってしまったのです。厳しい。でも、これは戦争で起こることと似ています。 多くの罪のない人たち、多くの子供たちに未来がありません。私のところにあいさつに来たウクライナの子供たちには笑顔がない。笑い方を知らない子供には未来がないように思えます」と語られた。
さらに「戦争は常に敗北です。地理的な敗北ではなく、人類の敗北です。戦争は闇の力だ」 と強調され、武器造業者が戦争に与える影響に関連して、「『自分たちを守らなければならない…』と(武器製造を)正当化する人もいますが、そのような人は自分たちが他の人を爆撃するための飛行機を製造する工場を持っていることに気づくことになる」と指摘。 「自分たちを守れ、いいえ。 破壊する… それでは、死、破壊、そして親のいない子供たちとともに、どうやって戦争が終わるのでしょうか?」と問いかけられた。
そして最後に、「私は、戦争が実利的な動機に基づいているように見える、という結論に達しました。あらゆる戦争の背後には軍需産業があり、これは金銭を意味します。戦争は闇、闇の力です」と繰り返された。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)