(2021.9.24 バチカン放送)
教皇フランシスコは23日夕、創立50周年を迎えた欧州司教協議会理事会の総会の開会ミサを、バチカンの聖ペトロ大聖堂で捧げられ、各国の司教協議会から代表の司教たちが参加した。
ミサの説教で教皇は、欧州の司牧者のすべき行為として、「心に留める」「再構築する」「見る」という3つの動詞を示された。
教皇はまず、このミサの第一朗読のハガイ書の箇所ー「お前たちは自分の歩む道に心を留めよ… 今。お前たちは、この神殿を廃墟のままにしておきながら、自分たちは板ではった家に住んでいてよいのか」ーを引用。
「バビロン捕囚から帰還した人々が自分たちの住居のことで心配し、神殿の再建を考えなかったように、今日の欧州のキリスト者たちが、『自分の家や教会や、伝統の与える安心感、ある種の合意における満足感など、心地よいシステム』に留まろうとする誘惑にかられる中で、『神殿』の周りから人はいなくなり、イエスは忘れられかねない状態にあります」と警告された。
「食べても、満足することなく、飲んでも、酔うことがない。衣服を重ねても、温まることなく[…]」とハガイ書にあるが、「主が、預言者ハガイを通して『心に留めるように』と、ユダヤの人々に呼びかけるように、『今日の教会に何が欠けているのか』を考えねばなりません」とされたうえで、「私たちの不満の原因は『慈愛の欠如』にあります… 愛だけが心を満足させることができるのです」と強調。
「教会内の地位や議論、計画にとらわれている間に、私たちは、慈愛の業を深めることや、無償性への情熱といった、『福音』の真のプログラムを見失ってしまいます… 問題や閉鎖から抜け出す道は『無償で与える道』です」と説かれた。
また、ハガイ書では、「主は、神殿を建てよーご自身の家を再建するように、と、預言者ハガイを通して言われた」とあり、民は神殿を建て直した。教皇は、「欧州という『共通の家』を建て直すには、創建の父たちの先見的な、未来を見つめた視点に立ち帰ることが必要です」されるとともに、「神の家である教会を、より美しく受容的にするために必要なことは、過去を修復することでなく、未来を共に見つめ、福音の告知・寄り添い・証しという基礎の上に教会を再建していくことなのです」と訴えられた。
そして、「イスラエルの人々が自らの手で神殿を再建したように、欧州でも多くの聖人たちが、自分の小ささを自覚しつつ、神に信頼し、恵みを受け入れ、自分の生活を変えることから始めて、困難な時代の中に信仰を再構築していきました」と振り返られ、「今の欧州では、多くの人が『信仰は、すでに見たもの、過去のもの』と考えていますが、それは彼らが、自分の人生の中で働く『イエスの存在』を見ることができなかった、あるいは、私たちが『自分の生き方を通して、イエスを十分に証しできなかった』からなのです」と自省を込めて話された。
最後に教皇は、「慈しみ深い、驚くほどの神の愛こそ、福音の永遠の新しさ。言葉だけではなく、生き方を通し、祈りや清貧さや創造性をもって、疲労した欧州を助けて行きましょう」と司教たちに呼びかけられた。
(編集「カトリック・あい」)