☩「召命の減少は『屈辱を受けよ』との神のメッセージ」ギリシャのイエズス会士たちに

(2021.12.16 Vatican News Devin Watkins)

Pope Francis met with Jesuits in Athens on 4 DecemberPope Francis met with Jesuits in Athens on 4 December  (Vatican Medi

 教皇フランシスコは今月初めにギリシャを訪問された際、現地のイエズス会士たちと個人的な会見をされたが、その時のやり取りを、同会の有力雑誌Civiltà Cattolica が16日付けで掲載した。

 「The Logic of the Inexplicable」と題したこの記事によると、教皇は、召命が減り、使徒職が変化していることに込められた神のメッセージについて語られた。

 会見の中で、年配のイエズス会士がギリシャにおける会の衰退を取り上げ、「イエズス会士が減少しており、これまで会が行ってきた様々な使徒職をあきらめざるをえなくなっています」と危機感を表明した。

 これに対して教皇は、「私が、1958年にアルゼンチンのイエズス会の修練院にいた時、イエズス会には世界全体でに3万3000人を超える会員がいましたが、現在はそれが半減しています」と認めたうえで、こうした傾向が続いていることの意味を考える必要がある、とされ、「主が『修道生活への教え』をくださっているのだ、と私は信じています。私たちにとって、それは『屈辱』です」と語られた。

 そして、イエズス会の創立者である聖イグナチオ・ロヨラが「霊操」で常に「謙遜」と「屈辱」を指摘していた、とされ、「その中の“Third Degree of Humility”には、このように書かれています-『私は、富よりも、キリストの貧しさとともに貧困を、名誉よりも、キリストに満たされて汚名を望み、選ぶ』と。これが、イエズス会士の豊かさのすべて。私たちは屈辱に慣れねばなりません」と諭された。

 

*困難の中でも、微笑むこと

 別のイエズス会士が、「何年も前からギリシャのイエズス会は正教会との対話を希望してきましたが、今は、移民・難民支援に焦点が移っています」とし、ギリシャでのイエズス会の活動はこれからどうなるのか、教皇に聞いた。

 教皇は「イエズス会士は『キリストの十字架』に忠実でなければなりません。これからのことは、神だけがご存じです」とする一方、「カトリック教会と正教会の間のエキュメニカルな対話は今、よく育ってきています。あなたがたが祈り、希望、働きで種をまいたからです」と励ました。

 また、アテネに難民の子供たちのためのセンターを設立し、今は同センターでボランティアとして働いている韓国人イエズス会士に対しては、センターの創設者であるにもかかわらず、“長”のポストを降りたことを讃え、「すべてのイエズス会士は、同じようにすべきです。使徒職は、私たちのものではありません。主のものですから」と語られた。

 関連して、難民支援にあたっていたベルギー人のイエズス会士が”人身売買”をしていたと疑われ、逮捕されたことが最近あったが、教皇は、難民救済への必要に応える中でこのような事が起きたのは、「大きな屈辱だったに違いありません」と同情を示しつつ、そのようなことがあっても、「修道生活で重要なのは、“微笑み”をもって、歳を取り、疲れることです。誰かが、『疲れていても、辛いと思わない、微笑みを浮かべた老齢の修道士』に出会った時、あなたは、希望の歌になるのです」と激励された。

 

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2021年12月17日