☩「他者のための小さな希望の松明となるように」-11月26日の「世界青年の日」へメッセージ

教皇フランシスコ ワールドユースデー・リスボン大会で 2023年8月6日教皇フランシスコ ワールドユースデー・リスボン大会で 2023年8月6日  (Vatican Media)

(2023.11.14 バチカン放送)

  教皇フランシスコは14日、11月26日に記念される「第38回世界青年の日(WYD)」に向けた若者たちへのメッセージを発表された。

  カトリック教会は26日、典礼暦年の最後の主日「王であるキリスト」の祭日に、WYDを世界各国の教区レベルで記念する。今回のテーマは「希望をもって喜びなさい」(新約聖書・ローマの信徒への手紙12章12節参照)だ。

 メッセージの冒頭で教皇は今年8月に行われたワールドユースデー・リスボン大会での若者たちとの出会いを、光と喜びあふれる体験として思い起こされた。

 そして、2025年の聖年を機会にローマで行われる「若者たちの聖年」行事を経て、2027年に韓国・ソウルで開催される次回WYD大会へと続く歩みを「希望の巡礼」として示され、「皆さんと共にこの希望の道を歩んでいきたい」と述べられた。

 今年のテーマである「希望をもって喜びなさい」という使徒聖パウロの言葉は、「当時、迫害の最中にあったローマの信徒たちを励ますものです」とされ、聖パウロがここで説く「喜び」は、実際には「希望に基づく喜び」とも言え、「それはキリストの復活の神秘とその復活の力から湧き出し、人間の努力の結果ではなく、キリストとの出会いから生まれる喜びです」と説かれた。

 そして、「あの喜びはどこから来るのでしょうか。どのように説明できるでしょうか。多くの要素が一緒になっていることは確かですが、その決定的な要素とは『私は望まれた存在だ。私にはこの歴史の中で果たすべきことがある。私は受け入れられ愛されている』という、信仰から来る確信です」という、ベネディクト16世が2011年のWYDマドリード大会を回顧して述べた言葉を振り返られた。

 教皇はさらに、「今日、多くの人が希望を持でずにいます。若者たちも戦争や暴力、いじめなどを経験し、失望や恐れを抱え苦しんでいます。無実の人の苦しみをはじめ、人類の悲劇を前に、私たちも、詩編作者のように『どうして?』と主に尋ねる」が、「私たち神の答えの一部となることができるのです。神の似姿として創造された私たちは、不可能と思われる場所に喜びと希望を生む、神の愛を表す存在となることができるのです」と強調。聖コルベ神父や、聖バキータ、福者ウルマ一家のように、人間の最も残酷な悪の中で希望を証しした、多くの聖人たちを思い起こすように、若者たちに勧められた。

 また、教皇はマリアを「希望の女性」とされ、「カルワリオの丘でマリアは『希望するすべもなかった時に、なおも望みを抱き』(ローマの信徒への手紙4章18節参照)、御子が告げた復活に対する確信を心から消し去ることがありませんでした」と語られ、「キリスト教的な希望は、安易な楽観主義ではなく、『神は私たちを見捨てることなく、約束を守られる』という愛と信仰に根差した確信です。また、キリスト教的な希望は、苦しみや死の否定ではなく、遠くにいると思われる時でも、いつも私たちと共におられる復活されたキリストの愛を記念することです」と説かれた。

 そして「希望の輝きが私たちの心に灯っても、それが心配や恐れによってかき消されてしまう時があります。希望の火を生き生きと保ち続けるには、聖霊の息吹きが必要です」と指摘され、聖霊と協力し、希望を育む方法として、「祈りによって希望の火を保つこと、また、例えばソーシャルメディアで希望の言葉を分かち合うなど、希望に基づいた生活スタイルを選ぶこと」を挙げられた。

 そして、「多くの困難の中でも、信仰に満ちた希望を持ち、自分自身が他者のための小さな希望の松明となるように」と若者たちを促され、「復活されたキリストに基づく希望と喜びをすべての人と分かち合うことを恐れてはなりません。自分たちの心に灯った火を守ると同時に、人に与えることで、それがさらに大きくなることに気づくでしょう」と励ましておられる。

(編集「カトリック・あい)

 

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2023年11月15日