☩「人への冒涜は神の御名に対する冒涜だ」-ブラチスラバのホロコースト追悼碑の前で

(2021.9.13 バチカン放送)

 スロバキアを訪問中の教皇フランシスコは13日午後、首都ブラチスラバ市内のホロコースト犠牲者追悼モニュメントの前で、ユダヤ人共同体との出会いを持たれた。

 モニュメントは、ホロコースト(ナチス・ドイツによるユダヤ人大虐殺)の犠牲となったスロバキア出身の10万5000人以上のユダヤ人たちを記憶にとどめるために、かつてのシナゴーグ(1969年、共産政権によって取り壊された)があった場所に建立された。ブラチスラバは世紀にわたりユダヤ人の生活の重要な中心地だったが、1940年の時点で同市に住んでいた約1万5000人のユダヤ人のうち、大虐殺を生き延びた人々はわずか約3500人だった。

 13日の集いでは、ホロコーストの一人の生存者が、家族と共に体験した恐ろしい悲劇を振り返ると同時に、当時、いかなる政治家でさえも政権に表立った批判ができなかった中で、教皇庁の外交官が反ユダヤ政策を止めようと尽力していたことを証言。また、聖ウルスラ修道会の修道女は、迫害のさなか、同修道会がユダヤ人の子どもたちをかくまい、国外に逃がしていたことが、生存者たちの証言によって明らかにされた、と語った。

 教皇は、「歴史と記憶の場所、苦しみの場所に触れるとともに、心に触れられるために、巡礼者として訪れました」とされ、「神の似姿に造られた人間の尊厳を冒涜することは、神の御名に対する冒涜です。すべての暴力とあらゆる形の反ユダヤ主義を非難し、人間において神が冒涜されることがないよう、一致して取り組みましょう」とと呼びかけられた。

 集いの終わりに、ユダヤ教の祈りが唱えられる中、ホロコーストの犠牲者を思い起こすために、ろうそくに火が灯された。

(編集「カトリック・あい」)

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2021年9月14日