☩「アフガン難民の人々を受け入れ、守ろう」教皇、5日正午の祈りで

A group of Afghan citizens being evacuated from the countryA group of Afghan citizens being evacuated from the country  (AFP or licensors)

(2021.9.5 Vatican News By Linda Bordoni & Nathan Morley)

   教皇フランシスコは5日、年間第23主日の正午の祈りの中で、タリバンによく抑圧を恐れてアフガニスタンの故郷から避難しようとする若者を含む人々の尊厳が守られ、未来が開けるように祈られるとともに、世界の国々に対して、彼らを積極的に受け入れ、守るように訴えられた。

*”弱い人々”、若者たちが守られるように、と教皇

 「アフガニスタンの多くの人々が避難と保護を切望している今、私は特に彼らの中でも最も立場の弱い人々のために祈ります。世界のたくさんの国が、新たな生活を求める人々を心から受け入れ、守ることを祈ります」と語られた教皇は、また、アフガニスタンの国内難民が「必要としている援助、保護を受けることができるように、祈っています」と述べられた。

 さらに教皇は、「アフガニスタンの若者たちが人間として立派に育つような教育を受けられるように。国に留まる人、国外に避難途上の人、そして避難先の国の人、皆、例外なく尊厳を持って、周りの人々と平和に、友愛をもって生きることができますように」と願われた。

*だが対タリバンで中国やロシアの思惑…遠い危機克服

 教皇は、これまでもアフガニスタン危機に強い危機を表明され、タリバンが首都カブールの支配権を握った8月15日には、タリバンを含む関係者全員に対して、武器を置き、対話のテーブルに就いて解決策を話し合うように、平和の神に祈るように求めておられた。

 だが、その後も関係者の対話は実現せず、多くの国民が不安と恐怖の日々を送っており、米軍の8月末撤退で、武力による支配を強めるタリバンは、カブールで行われた女性の権利を求める女性たちのデモを催涙ガスなどを使用して強制的に解散させるなどの事態が起きている。5日に現地から伝えられたところでは、デモの女性たちに負傷者も出ており、ソーシャルメディアで配信された写真には、額から血を流す女性の姿が映っている。

 そうした一方で、タリバンのアフガン全土支配は確立せず、反タリバン軍事勢力約20万人がパンジシール渓谷など山岳地帯におり、戦闘が続いているという。

 このような事態の深刻化に対して、国連のグティエレス事務総長が13日にジュネーブで国際援助会議を招集する一方、米国のブリンケン米国務長官がカタール入りする予定だが、タリバン側に対話の意思は見られない。隣国パキスタンの情報機関のトップ、ハミード将軍がカブール入りしたが、その意図は明確にしていない。その一方で、タリバンとの関係を結ぶことでこの地域への影響力を強めようとする中国、タリバンとの敵対を避けたいロシアなど、アフガン危機克服へのカギを握る主要国が足並みをそろえるには程遠い状態が続いている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

(参考・読売新聞9月6日朝刊「命の心配せず生きたい」アフガン難民の女子中学生、収容所で恐怖の毎日

→https://www.yomiuri.co.jp/world/20210905-OYT1T50328/

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2021年9月6日