☩「どんな貧しい人にも顔を背けるな」-11月19日「第7回貧しい人のための世界祈願日」へ教皇メッセージ

教皇フランシスコ、「第7回貧しい人のための世界祈願日」に向けメッセージ教皇フランシスコ、「第7回貧しい人のための世界祈願日」に向けメッセージ  (AFP or licensors)

 教皇フランシスコは14日付けで、11月19日の2023年度「貧しい人のための世界祈願日」に向けたメッセージを発表された。

 2023年度の同祈願日は、11月19日(日)に記念される。今年のテーマは、旧約聖書の『トビト記』にある、信仰深いトビトが息子トビアに与えた言葉、「どんな貧しい人にも顔を背けてはならない」(4章7節)。

 教皇はメッセージで、「私たちが毎日貧しい人々を受け入れる一方で、貧しい人たちの群れは、大河のようにあふれんばかりです」と述べられた。

 そのうえで、「王であるキリスト」の祭日に先立つ日曜日、清貧を生き、貧しい人に仕える恵みと使命を改めて受け取るために、主の食卓のまわりに再び集う、この祈願日の意義を示された。

 「どんな貧しい人にも顔を背けてはならない」(4章7節)というトビト記の言葉は、信仰の人、良き父であるトビトが、息子トビアの旅立ちに際して与えた「霊的遺言」ともいえる教えであり、父は息子に、神を記念し祈ることはもとより、良き業を行い正義を生きるための具体的な態度が大切であることを諭している、と説明。

 教皇は、「貧しい人に憐み深いトビトは失明という試練を負うが、主は、トビトの息子トビアの旅を通して、再び彼の目に光と喜びを与え報いられる」という『トビト記』のストーリーを思い起こされ、「私たちは今、貧しい人への関心を育むことが困難な時代を生きていますが、幸福を求める人々の声が大きくなる一方で、貧困を生きる人々の声はかき消されている」と指摘。

 「貧しい人々のイメージは、わずかな間、心を動かすが、実際に街角で貧しい人たちに出会えば、それは迷惑で距離を置きたい存在に変わってしまいます」と述べ、他者のために立ち止まることができない、今日の社会の様相を見つめられた。

 そして、「新しい形の貧困の中で、特に子どもたちをはじめ紛争地に生きる、安定した現在と尊厳ある未来を奪われた人々」に思いを寄せられ、「誰もこのような状況に慣れっこになってはなりません。復活の主の賜物、正義と対話の努力の実りとしての平和が定着するまで、あらゆる取り組みを尽くすように」と願われた。

 また教皇は、物価高に苦しむ家族、不安定な条件下で働く労働者、進むべき道を見出せない若者たちにも、眼差しを向けられ、「貧しい人々について語ることは、ややもすると論理や数字・統計だけで終わりがちです。貧しい兄弟姉妹たちが、それぞれの顔や、ストーリー、心をもった存在であることを忘れず、これらの人たち、一人ひとりとの関係に入っていかねばなりません」と強調された。

 教皇は、「貧しい人々への関心は、単なる施しに留まらない、これらの人々との正しい人間関係の再構築へと、私たちを招くもの」とされ、「『どのように貧しい人にも顔を背けてはならない』という言葉は、こうした関係を築いてこそ、キリスト教生活全体に意味を与える慈しみと愛の恵みへと、私たちを導くことになるでしょう」と語られている。

(編集「カトリック・あい」)

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2023年6月14日