(2024.2.14 Vatican News Joseph Tulloch)
教皇フランシスコは14日、水曜恒例の一般謁見の終わりに、アルバニアの共産党政権によって28年間投獄されたエルネスト・シモーニ枢機卿を讃えられた。
教皇は、古代ローマにおけるキリスト教の殉教の歴史について語られた後、「今日も世界中で多くの殉教者が出ています」とされたうえで、現在95歳のシモーニ枢機卿に言及。「あなたは、生ける殉教者です」と讃えられた。
シモーニ枢機卿は、 1928 年にアルバニア北部のトロシャニ村に生まれ、10 歳でフランシスコ会の聖職者になるための勉強を始めた。 1948年、彼がいたフランシスコ会の修道院は共産党政権の工作員に襲撃され、多くの修道士たちが殺害された。殺害を免れたシモーニは秘密裏に神学の勉強を続け、1956年に極秘に司祭に叙階されたが、7年後の降誕ミサの後、逮捕され、1990年代に釈放されるまで、28年にわたる獄中生活を送った。
教皇は、2014年9月にアルバニアを訪問した際、シモーニ神父と面会し、苦難の経験を聴いて強く心を打たれ、帰国後、彼を枢機卿に任命することに決められた。
14日の一般謁見の終わりに、教皇は、シモーニ枢機卿に讃辞を送る前に、バチカンに埋葬された多くの殉教者たちに言及され、 「私たちは皆、初期教会の殉教者の物語を読んだり、聞いたりしたことがあります。そして、今バチカンがあるここにも墓地があり、多くの人がここで処刑されました。しかし、それで終わったわけではない。今日も世界中で多くの殉教者が出ています。その数は、初期教会よりも多いかもしれません」と語られた。
そのうえで、シモーニ枢機卿について、「アルバニアでのカトリック教会に対する共産党政権によるおそらく最も残酷な迫害の結果、28年間も刑務所で暮らしました」とされ、「あなたは今も証し続けています。95歳になっていますが、教会のために働き続けています」と讃えられた。
1990年代に刑務所から釈放された後、シモーニ枢機卿は看守たちを許し、共産党政権崩壊後のアルバニアにおける和解促進に特に焦点を当てた司祭としての奉仕活動を再開してきた。
教皇は、「親愛なる兄弟、あなたの証しに感謝します」と締めくくられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)