◎教皇連続講話「使徒的熱意について」㉑聖ダニエル・コンボー二はアフリカへの熱意に満ちていた

(2023.9.20 Vatican News  By Deborah Castellano Lubov) 

   教皇フランシスコは20日、水曜恒例の一般謁見で、「使徒的熱意について」の連続講話をお続けになり、今回は聖ダニエル・コンボニを取り上げ、福音の喜びに力を得た聖人のアフリカへの強い熱意と愛を称賛された。

 アフリカでの宣教に身を捧げたイタリア人司教の聖コンボーニは、1996年に聖ペトロ大聖堂で列福され、2003年に列聖された。 ウェブサイトによると、 Comboni Missionaries of the Heart of Jesusを含めた”コンボニ・ファミリー”は現在、3000人の宣教師を数えている。St. Daniel Comboni

 教皇は講話で、アフリカに大きな遺産を残した聖コンボーニの宣教の熱意を讃え、「彼は行方不明になった人を探しに行き、群れのために命を捧げる善き羊飼いの愛を証ししました… その熱意は無関心や排除に対抗する精力的かつ預言的なものでした」とされ、聖人が手紙で「アフリカを長い間忘れていた愛する教会に、真剣に呼びかけた」ことを強調した。

 また聖人は、アフリカ大陸の人々に関する著書で、「アフリカの人たちは、彼らのためだけに生きる私の心を手に入れました。私はアフリカを唇に当てて死ぬつもりです」と語っているが、教皇は「これは神を愛し、宣教に従事する兄弟姉妹たちを愛する人の言葉です」と述べられた。

 関連して教皇は、聖コンボーニが奴隷制度の「恐怖」を目の当たりにし、それを「悪」と認識していたことを回想され、「奴隷制度は、人間を客体化し、「その人の価値を他者の誰かの役に立つことに還元されてしまう」と非難したうえで、「いわゆる奴隷制度は、心の奴隷制、罪の奴隷制に根差しており、主が私たちをそこから解放してくださることを、聖人は理解していました」と指摘。そして、「残念ながら、奴隷制度は過去のものではありません。聖コンボニに倣って、私たちも、あらゆる形態の奴隷制度と戦うように求められているのです」と強調された。

 続けて教皇は、聖人が愛したアフリカの各地で紛争が続いていること、その背景に、あらゆる形の「政治的搾取」と「経済的植民地主義」があることを非難され、「この悲劇に対して、世界の国々、人々が目、耳、口を閉ざしている」と嘆かれ、「アフリカを窒息させるのはやめてください。アフリカは搾取されるべき鉱山でも、略奪されるべき大地でもありません」と訴えられた。そして、聖コンボーニはじめアフリカ宣教師たちが直面した困難と、彼らの偉大な信仰と忍耐を思い起こされ、 「他の人々はアフリカを見捨てたが、聖コンボニはそうしなかった」と語られた。

 また教皇は、聖コンボーニが識別を経て、主が福音宣教の新たな道に沿って鼓舞してくださっている、と感じたことを思い起こされ、そのことを「アフリカと共にアフリカを救おう」という言葉に要約された。そして「これは力強い識別。彼が宣教活動を新たにするのに役立ちました。人々は福音宣教の『対象』であるだけでなく、宣教の『主体』でもあったのです… 聖人はすべてのキリスト教徒が福音宣教活動に参加することを望み、彼の取り組みに現地の聖職者を巻き込み、一般信徒のカテキスタとしての奉仕を促進しました。カテキスタは教会の宝です」と語られた。

 聖人が芸術と専門職を育て、文化と社会の変革における家族と女性の役割を促進したことにも、教皇は注目され、 「外部のモデルを移植したり、不毛な福祉主義に限定したりするのではなく、『使命』という文脈の中で信仰と人類の発展を前進させることが、今日においても極めて重要」と指摘。

 さらに、「聖コンボーニの偉大な宣教への情熱は、主として、人間の努力の成果ではなく、キリストによって動かされた力でした」とされ、「彼の熱意は、福音の喜びから来ており、キリストの愛から引き出され、それがキリストの愛につながったのです と強調。慈善活動に触発され、他者の苦しみを自分のものとした聖コンボーニの宣教能力を称賛された。

 最後に教皇は、一般謁見参加者たちに、「今日、不当な扱いを受けて十字架につけられている人々のこと」を考えるよう求め、彼らのために祈るよう勧められ、さらに、貧しい人々のことを忘れないよう求められた。「貧しい人たちのことを忘れないでください。彼らは私たちのために天国の扉を開いてくれるのですから」と語られた。

(翻訳・編集「かとりっく・あい」南條俊二)

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年9月20日