♰「広島、長崎の被爆者たちは核の悲劇を繰り返させない、と訴える『生きたともし火』」-在バチカン外交団への新年挨拶 (2020.1.9 バチカン放送) 教皇フランシスコが9日、恒例の駐バチカン外交団と新年の会合を持たれ、バチカンと外交関係を持つ183カ国にマルタ騎士団と欧州連合を加えた185の国・組織の代表に新年の言葉をおくられた。 この挨拶の中で、教皇は、昨年行われた海外司牧訪問や教会の行事を振り返りつつ、各地の紛争や緊張状態、未成年者の虐待、環境保全、核兵器非保有など、今日の世界と教会が抱える現状と課題を浮きぼりにされたうえで、「平和と人類の統合的発展のため、世界の人々に対話を促し、希望を抱くように励ます」バチカンの外交方針を示された。 まず、教皇は、昨年初めにパナマで開かれた「世界青年の日(ワールドユースデー)」の「社会の未来と希望である若者たち」との出会いを、喜びをもって思い起こす一方、「聖職者を含む多くの大人たちによって、若者や子どもたちの尊厳に対する重大な犯罪が行われている」ことに遺憾を表され、昨年2月に全世界の司教協議会会長を招集して開いた未成年者の保護をめぐる会議に触れ、「様々な角度からの規則をもってこの問題に対処していく」決意を新たにされた。 さらに、若者たちによって積極的に提起されている環境問題について、昨秋のアマゾン地域シノドス(代表司教会議)でも、環境問題が重要な議題となったことを指摘したうえで、統合的な「エコロジー的回心」が急務になっている、と強調。「地球温暖化防止への国際社会の賢明な取り組み」を呼びかけられた。 また教皇は、昨年の海外司牧訪問の中で、アラブ首長国連邦訪問の際、アル=アズハルのグランド・イマーム、アフマド・アル・タイーブ師と、共同文書「世界平和のための人類の兄弟愛」に署名したことに言及。「この文書が宗教の自由と新しい世代の諸宗教対話を促進するもの」となるよう願われた。 今日の世界情勢の中については、特に「シリアの平和と再興のための解決策」を緊急課題として示されるとともに、イランと米国の間で危機的事態が続いていることを深く憂慮され、「対立を回避し、国際法の尊重のうちに、対話と自制を保つ」ことを関係者に強く訴えられた。 さらに、昨年11月に日本訪問にも言及、特に世界唯一の原爆被爆国で広島、長崎の現地を訪れ、「人類が体験しうる限りの苦しみと恐怖にじかに触れました… 広島、長崎の被爆者の証言に耳を傾け、『核兵器による人類絶滅の脅威の上に真の平和を築くことはできない』との思いを強くしました」と話された。 そして、「被爆者たちは、1945年8月に起きた恐怖と、今日まで続く筆舌に尽くしがたい苦しみ、後世に決して繰り返させないとの共通の思いを、『生きたともし火』として保ち続けています」とされたうえで、「核兵器のような、高度な破壊力を持った兵器による支配と破壊へのあらゆる願望を前に、人類の良心がより強まるよう、被爆者たちの証言は、犠牲者たちの記憶を呼び覚まし、保っているのです… 核兵器は、恐怖や、不信、敵意を広めるだけでなく、希望を破壊します。核兵器の使用は、倫理に反するものであり、人類とその尊厳に対するだけでなく、私たちの共通の家のあらゆる未来に対する犯罪です」と強調。 ともしび 「核兵器のない世界は可能であり、必要です」と述べた教皇は、「大量破壊兵器の保有が世界を安全にするわけではないことを十分に意識する」ように世界の政治指導者たちに訴えられた。 (編集「カトリック・あい」) ツイート
(2020.1.9 バチカン放送) 教皇フランシスコが9日、恒例の駐バチカン外交団と新年の会合を持たれ、バチカンと外交関係を持つ183カ国にマルタ騎士団と欧州連合を加えた185の国・組織の代表に新年の言葉をおくられた。 この挨拶の中で、教皇は、昨年行われた海外司牧訪問や教会の行事を振り返りつつ、各地の紛争や緊張状態、未成年者の虐待、環境保全、核兵器非保有など、今日の世界と教会が抱える現状と課題を浮きぼりにされたうえで、「平和と人類の統合的発展のため、世界の人々に対話を促し、希望を抱くように励ます」バチカンの外交方針を示された。 まず、教皇は、昨年初めにパナマで開かれた「世界青年の日(ワールドユースデー)」の「社会の未来と希望である若者たち」との出会いを、喜びをもって思い起こす一方、「聖職者を含む多くの大人たちによって、若者や子どもたちの尊厳に対する重大な犯罪が行われている」ことに遺憾を表され、昨年2月に全世界の司教協議会会長を招集して開いた未成年者の保護をめぐる会議に触れ、「様々な角度からの規則をもってこの問題に対処していく」決意を新たにされた。 さらに、若者たちによって積極的に提起されている環境問題について、昨秋のアマゾン地域シノドス(代表司教会議)でも、環境問題が重要な議題となったことを指摘したうえで、統合的な「エコロジー的回心」が急務になっている、と強調。「地球温暖化防止への国際社会の賢明な取り組み」を呼びかけられた。 また教皇は、昨年の海外司牧訪問の中で、アラブ首長国連邦訪問の際、アル=アズハルのグランド・イマーム、アフマド・アル・タイーブ師と、共同文書「世界平和のための人類の兄弟愛」に署名したことに言及。「この文書が宗教の自由と新しい世代の諸宗教対話を促進するもの」となるよう願われた。 今日の世界情勢の中については、特に「シリアの平和と再興のための解決策」を緊急課題として示されるとともに、イランと米国の間で危機的事態が続いていることを深く憂慮され、「対立を回避し、国際法の尊重のうちに、対話と自制を保つ」ことを関係者に強く訴えられた。 さらに、昨年11月に日本訪問にも言及、特に世界唯一の原爆被爆国で広島、長崎の現地を訪れ、「人類が体験しうる限りの苦しみと恐怖にじかに触れました… 広島、長崎の被爆者の証言に耳を傾け、『核兵器による人類絶滅の脅威の上に真の平和を築くことはできない』との思いを強くしました」と話された。 そして、「被爆者たちは、1945年8月に起きた恐怖と、今日まで続く筆舌に尽くしがたい苦しみ、後世に決して繰り返させないとの共通の思いを、『生きたともし火』として保ち続けています」とされたうえで、「核兵器のような、高度な破壊力を持った兵器による支配と破壊へのあらゆる願望を前に、人類の良心がより強まるよう、被爆者たちの証言は、犠牲者たちの記憶を呼び覚まし、保っているのです… 核兵器は、恐怖や、不信、敵意を広めるだけでなく、希望を破壊します。核兵器の使用は、倫理に反するものであり、人類とその尊厳に対するだけでなく、私たちの共通の家のあらゆる未来に対する犯罪です」と強調。 ともしび 「核兵器のない世界は可能であり、必要です」と述べた教皇は、「大量破壊兵器の保有が世界を安全にするわけではないことを十分に意識する」ように世界の政治指導者たちに訴えられた。 (編集「カトリック・あい」)