☩「荒れ野は私たちを成熟させる場。回心の勇気、隷属から抜け出す勇気を持つように」四旬節メッセージ

教皇フランシスコ、2024年度「四旬節」に向けメッセージ
(2024.2.1 バチカン放送)
 教皇フランシスコが1日、14日に始まる今年の「四旬節」に向けメッセージを発表された。

 カトリック教会の典礼暦は、2月14日の「灰の水曜日」に復活祭の準備期間「四旬節」を迎える。 

 四旬節に向け、教皇は「荒れ野を通して神は私たちを自由へ導かれる(仮訳)」というタイトルのメッセージを発表された。

 「私は主、あなたの神、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出した者である」(出エジプト記20章2節)。

 四旬節メッセージで教皇は、シナイ山に登ったモーセに十戒を授けた時に言われた、この神の言葉を思い起こされた。

 この時、神の民にとってエジプトでの隷属の記憶はまだ生々しく刻まれていた。「神は、彼らに十戒を与えることで、ご自分の愛を強調されると共に、民を教育されました」とされ、「四旬節は恵みの時」と強調。「四旬節には、預言者ホセアが言うように(参照 ホセア書2章16-17節)、荒れ野は、最初の愛の場所に戻ります。神はご自身の民に、奴隷の状態から脱し、死から命へと移ることができるよう教えられます」と語られた。

 そして、「隷属から自由への脱出は、抽象的な歩みではありません。私たちの四旬節が具体的であるためには、現実を見ようとすることが最初の一歩です」とされ、出エジプト記を引用された―「私は、エジプトにおける私の民の苦しみをつぶさに見、追い使う者の前で叫ぶ声を聞いて、その痛みを確かに知った。それで、私は下って行って、私の民をエジプト人の手から救い出し、その地から、豊かで広い地、乳と蜜の流れる地… に導き上る」(3章7-8節)。

 「神がこのように燃える柴の間からモーセに話されたように、今日も虐げられた多くの兄弟姉妹の叫びが天に届いています」と述べられた教皇は、「その声が私たちのもとにも届いているのか、その声が心を揺さぶっているのか、自問するように」と勧められた。

 そのうえで教皇は、「今日も私たちは”ファラオ”の支配下にいます。その支配は、私たちを疲弊させ、無感覚にさせます。人を分裂させ、未来を奪う成長モデルです。大地と空気と水は汚され、魂までもが汚染されています」と警告された。

 その一方で、教皇は「私たちの解放が、洗礼と共に始まったにもかかわわらず、私たちの中には、奴隷だった時への説明しがたい郷愁があります」と指摘。「それは自由を犠牲にしてまでも、すでに体験したことの確かさの方に惹かれるようなもの」とされた。

 そして、「エジプトへの郷愁が、荒れ野の中でイスラエルの民の歩みを妨げたように、私たちの解放の旅も中断されかねません」と注意を喚起され、「そのように解釈しないと、普遍的兄弟愛と、すべての人の尊厳を保証できるレベルの科学的・技術的・文化的・法的な発展に近づいた人類が、不平等と紛争の闇の中で未だ迷っていることを、説明することはできないでしょう」と説かれた。

 教皇は、「神は、私たちをあきらめることはありません」とされた教皇は、「神の御言葉に改めて耳を傾けながら、この四旬節を、回心の時、自由の時とするように」と信者たちを促され、「”ファラオ”と違い、神が望まれるのは、隷属する民ではなく、子たち。荒れ野は、二度と奴隷状態に陥らないように、私たちの自由を成熟させる場なのです」と強調。

 「この四旬節が回心の時であるなら、道に迷った人類は、創造性のおののき、新しい希望の光のひらめきを感じるでしょう… 回心の勇気、隷属から抜け出す勇気を持つように」と信者たちに呼びかけられた。

(編集「カトリック・あい」=聖書の引用は「聖書協会・共同訳」を使用)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2024年2月2日