(2023.11.10 バチカン放送)
教皇フランシスコは10日、パリで開催中の第6回パリ平和フォーラムに、パロリン国務長官を通してメッセージをおくられた。
教皇は、「国際協力を促進するために、大陸間の対話を強化するこの出会いが正義と連帯に満ちた平和な世界の構築に貢献できるように」と期待を述べられた。また、今回のフォーラムが非常に痛ましい世界情勢を背景に開かれたことに言及され、「武力紛争の拡大に伴い、人々の苦しみや、環境をも含めた被害が増す中、この集いが希望のしるしとなること、を願われた。
そして、このフォーラムを通して採択される取り組みが、テロリズムや、暴力、戦争に苦しむ人々の叫びへの傾聴を基礎とした、誠実な対話を育てることに役立つようにと希望され、「平和の構築は、時間のかかる忍耐強い仕事であり、恒久の平和は、毎日人間の尊厳の理解と尊重と促進を通して築いていくもの」と述べられた。
さらに、「世界人権宣言」が国連で採択されて75年が経つが、「そこで宣言された内容は、まだ現実には満たされていません… 子供たちを含めて、いったいどれだけの人が基本的人権を持たず、どれだけ多くの人が紛争のために、水や食料はもとより、信教の自由や、医療や住居、教育や労働の最も基本的権利さえ奪われているでしょうか。どれだけの子供たちが、直接、間接に戦闘に関わらざるを得ず、心と体に一生消えない傷を負っているのでしょうか」とフォーラム参加者たちに問い掛けられた。
教皇は、「譲ることのできない正当防衛の権利」を明言しつつ、「命が脅かされている人々を守る責任」を強調され、「戦争は常に人類の敗北と言わざるを得ません… 平和は、武器によってではなく、忍耐強い傾聴と対話と協力によって作り出すもの。武器を収め、死と破壊の道具の生産と取り引きを考え直し、平和の論理が勝る日まで、段階的かつ統合的な軍縮に向かって歩みだすように」と訴えられた。
(編集「カトリック・あい)