(2021.4.8 カトリック・あい)
世界主要国の財務相、中央銀行総裁が参加するIMF(国際通貨基金)・世界銀行の春の一連の会合が7日から9日にかけて開かれているが、教皇フランシスコは8日、参加者にあてた書簡をピーター・タークソン人間開発省長官を通じて送られた。
その中で教皇は、新型コロナウイルスの大感染が世界の政治、経済、社会、環境にもたらした危機に対して、一連の会合が普遍的な善の促進を目指し、受容的で持続可能な新しい解決を生み出す復興モデル創出に寄与することを願われた。
そして、コロナ禍からの「復興」が「ごく一部の人が世界の半分の豊かさを所有している、不平等で持続不可能な経済・社会生活に戻ること」であってはならない、と訴え、「現在の危機から脱し、より人間的で連帯に満ちた世界を築くには、貧しい人の声に耳を傾け、未来の構築においてすべての人を考慮する、新しく創造的な形の社会・政治・経済的参与が必要です」と強調。
さらに、全地球的な連帯精神のもとに、とくに最貧国など脆弱な国々に対する債務削減やワクチン接種など医療支援、教育や雇用確保などの援助を訴え、「もう一つの債務問題」として、「環境に対する債務」についても、先進国や新興国が再生不能エネルギー消費を制限するだけでなく、貧しい国々の持続可能な発展プログラムの支援、環境問題対応のためのコスト負担等に寄与できるような、創造的な体制の考案・構築を呼びかけた。
・・・・・・・・・・・・・
世界の財務相、中央銀行総裁が参加する一連の会議は、7日に主要20か国による会合が開かれ、新型コロナウイルス危機への対応に関連して、財政が悪化する途上国の債務返済を猶予する期限を今年末までさらに半年間延長することで合意。途上国が新型コロナ対応を拡充させるためにIMF=国際通貨基金が資金を引き出せる枠をさらに6500億ドル拡大することに賛成することで一致した。
また8日の国際通貨基金(IMF)加盟の財務相らによる会合後の声明では、新型コロナウイルスの影響で財政が悪化する途上国の支援で、特別引き出し権(SDR)を使った支援策などで「危機からの持続的回復に向けたIMFの取り組みを歓迎する」と表明。 世界経済の現状について「予想よりも早く危機から回復しつつある」とする一方で、ワクチンの普及が国ごとにばらついていることを問題視し「長引く傷痕をもたらし、貧困や不平等を悪化させる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。