◎教皇連続講話「祈りについて」㉑「聖人たちと交わり、取り次ぎを願う」

教皇フランシスコ 2021年4月7日の一般謁見教皇フランシスコ 2021年4月7日の一般謁見  (Vatican Media2021.4.7 バチカン放送)

 (2021.4.7 バチカン放送)

 教皇フランシスコ7日、水曜恒例の一般謁見をバチカン宮殿からビデオ中継で行われ、この中で聖週間中休止されていた「祈りについて」の講話を再開された。

 今回は、特に「聖人たちとの交わりの中の祈り」について考察され、まず、「私たちが祈る時、決して一人で祈っているわけではありません。私たちは『自分に先立つ、あるいは自分の後に続く、滔々たる祈りの大河』の中にいるのです」と語られた。

 そして、「私たちが祈るたびに、知っている聖人、知らない聖人たちが、人間生活の先輩、兄弟姉妹として、私たちと共に祈り、私たちの祈りを取り次いでくださる」とされ、「教会には、孤独な喪や忘れられた涙は存在しません… 古い教会に、聖堂を囲むように庭に人々の墓があったように、あらゆるミサに先人たちの群れも何らかの形で参加しています」と説かれた。

 さらに、「聖人たちはここに、私たちの近くに、います…。彼らの存在は教会において『多くの証人の雲のように』(ヘブライ人への手紙12章1節)なって、私たちを常に囲み、唯一の主であり、神と人間の仲介者である、イエス・キリストから、私たちが離れることがないように、様々な方法で働きかけているのです」と述べ、「聖人たちは、神を直観し、神をたたえ、この世に残る人々のことをたえず配慮しています…。聖人たちの執り成しというのは、神の計画をお手伝いするための、もっとも崇高な行為です。私たちは、聖人たちが自分や全世界のための執り成しをしてくださるように、と祈ることができ、またそう祈らなければなりません」(「カトリック教会のカテキズム」 2683)と強調された。

 そのうえで、教皇は、「キリストにおいて新たな命へと移った人々と地上の巡礼を続ける人々の間に存在する神秘的な絆」を指摘され、「亡くなった愛する人々は、天から私たちを見守り、私たちのために祈り、私たちもまた彼らと共に祈ります」とされ、「互いに祈りを交換したり、他者のために祈りを捧げるなど、こうした祈りの絆は、既に私たちの地上の生活から始まっているのです… 誰かのために祈る最良の方法は、神に、これらの人々のことを話すことであり、他者のために祈ることは、他者を愛し具体的に寄り添うための一番の方法です」と述べられた。

 また、「不安な時代に立ち向かう最良の方法は、兄弟たち、特に聖人たちに、私たちのために祈ってください、と願うことです… 聖母や聖人の名にちなむ洗礼名は飾りではなく、意味を持っている。聖人たちは、私たちの必要のために、快く神に取り次いでくれるでしょう」と話された。

 最後に教皇は、「私たちの人生で、試練が最悪を極めることなく、私たちがまだ忍耐や信頼を保っているなら、それは私たちの手柄ではなく、おそらく、多くの天上と地上の聖人たちの取り次ぎのお陰かもしれません」と語り、「聖人は地上にもいますが、ただ本人も、私たちも、それを知りません」とされ、私たちと共に生き働く「身近な聖人」、「日常の中の隠れた聖人」たちの存在を示された。

(編集「カトリック・あい」)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年4月8日