(2024.3.1 Vatican News Lisa Zengarini)
教皇フランシスコは1日バチカンで始まった国際シンポジウム「男と女:神のイメージ。召命の人類学に向けて」の参加者へのあいさつで、いわゆる”ジェンダー・イデオロギー”を取り上げ、「男性と女性の間のあらゆる違いを消し去る、現代で最も醜い脅威」と強く批判。
「男女の違いを消し去ることは、人間性を消すことです。男女は、実りある『緊張』の中で存在しているのです」と強調された。
このシンポジウムは、バチカン司教省の前長官、マルク・ウエレット枢機卿と召命研究人類学センター(CRAV)が主催したもので、「司祭職の神学」をテーマにした前回2022年のシンポジウムに続くもの。
あいさつの冒頭で教皇は、「まだ風邪をひいており、あまり疲れることのないように、アシスタントのフィリッポ・チャンパネッリ修道士に代読をお願いせざるをえなくなりました」と語られた。
続いて代読されたあいさつの中で、教皇は、「あらゆる召命の人類学的側面を検討し、強化すること」を目的とするこのシンポジウムのテーマに注意を向けられ、「人間の人生は天職であり、 私たちは人生で、喜びと責任を持って具体的かつ個人的な使命を担うよう求められています… 私たち一人一人は、自分の存在と賜物を共通の利益のために他者と分かち合いながら、耳を傾けて応答することで、自分自身を実現する人間として召された自分を発見し、表現するのです」と語られた。
そして、「この基本的な人類学的真実は、人間が単なる物質的で主要なニーズに還元される傾向がある今日の文化的文脈では、しばしば見落とされています。 しかし、人間はそれ以上のもの、神がご自身の姿に似せて創造された男女は、永遠と幸福への願いを自分たちの中に抱いており、それは神ご自身が、それぞれの心の中に植え付けられ、与えられた使命を実現するよう求められているのです」と説かれた。
教皇はさらに、「私たちがこの世界に存在するのは、単なる偶然の産物ではありません。私たちは愛の計画の一部であり、自分自身と他の人のために、自分自身の外に出てそれを実現するよう招かれています…。私たちは幸福、人生の充実、そして神が私たちを運命づけた偉大な何かに、招かれています」とされ、聖ジョン・ヘンリー・ニューマン枢機卿の『瞑想と祈り』を引用する形で、「私たちは一つの同じ使命ではなく、一人ひとりがそれぞれの使命を持っているのです」と語られた。
このような視点から、今回のシンポジウムは、「人間が神によって召されている召命についての認識を広める」ものであり、「現在の人類学的危機、そして人間とキリスト教の使命を促進する必要性についての課題について考えることに役立つものです」と評価された。
また教皇は、信徒の役割、叙階された聖職者の奉仕、奉献生活など、教会におけるさまざまな種類の召命の「より効果的な循環」を促進することの重要性を強調し、それらが「死に圧倒された世界に希望を生み出すことに貢献できます」とされたうえで、「このような希望を生み出し、開かれた友愛の世界を築くために神の王国に奉仕することは、現代のすべての女性と男性に託された使命です」と強調された。
そして、あいさつの最後に、教皇はシンポジウムの参加者に対し、「自分の働きの中に神のご意思を求める際に、リスクを避けることのないように。生きた信仰は、博物館の中にある工芸品ではないことを思い起こすように」と求められ、「聖霊は私たちに忠誠を求めますが、忠誠は、私たちにしばしばリスクを冒させる… 神のご意思を識別し、探求することにリスクを冒しても、勇気をもって前進するように」と励まされた。