(2023.10.11 Vatican News Deborah Castellano Lubov)
教皇フランシスコは11日、水曜恒例の一般謁見で「使徒的熱意について」の講話を続けられた。
今回は、アフリカ・スーダン出身の修道女で同国の守護の聖人、ジュゼッピーナ・バキタ (Giuseppina Bakhita= 1869年 – 1947年)を取り上げ、「彼女は使徒的熱意の私たちの模範であるとともに、奴隷の状態と恐怖から自由になる方法、偽善と利己主義を明らかにする方法、憤りや対立を克服する方法、人と和解する方法、自分自身を救い、家族や地域社会に平和を見出す方法を、私たちに示しています」と語られた。
そして、「他者への不信に満ちた今、私たちに希望の光を与えてくれます」とされ、アフリカ大陸に目を向け、特に今回は 「スーダンの人々のために祈ること」を次のように、勧められた。
「悲しいことに、スーダンはここ何か月もの間、ひどい武力紛争によって引き裂かれてきましたが、今日ではそのことについて、世界ではほとんど語られていません。スーダン国民が平和に暮らせるよう、彼らのために祈りましょう!」
また、苦しんでいるスーダンが、今、世界からほとんど忘れられているにもかかわらず、 「聖バキタの名声は、あらゆる国境を越え、自己の主体性と尊厳を否定されているすべての人々に届いています」とされ、聖バキタの「力強い証し」と彼女の証言に刺激を受けるよう信者たちに求められた。
聖バキタは、幼い時に誘拐され、奴隷として売られ、言葉では言い表せないような苦しみ、暴力を受けたが、「彼女は決して絶望することがなかった」と語られた教皇は、十字架が彼女をどのように支えたかを振り返られ、「ある日、彼女を守っていた人から小さなキリストの十字架をもらい、それを”宝”」として大事にしていました… その十字架の中に、彼女は、神の子としての私たちの生来の尊厳を大切にする、神の慈悲深い愛の源を見出し、真の自由を受け、自分を不当に扱った人々を赦し、本当に愛するが可能になったのです」と説かれた。
そして、「このような、 神の慈悲と赦しの経験が、彼女を修道者としてキリストに献身し、イタリアで謙虚に、私利私欲なく他者に奉仕するようにさせました。その生涯は、人生を変え、紛争を解決し、現代に強く求められている正義、和解、平和をもたらす神の恵みの力を明らかにしています」と振り返られた。
教皇は最後に、「赦しは、何も奪わず、人に尊厳を与えます。私たちを自分から他人に目を向けさせ、彼らも私たちと同じように弱い存在であることを認識させ、いつも世界の兄弟姉妹であると見なします… 主の赦しは、慈悲となり、聖バキタのような謙虚で喜びに満ちた聖性を呼び起こす熱意の源なのです」と強調されて、講話を閉じられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)