Sr阿部のバンコク通信 ⑦タイの「子供天国」、日本では・・

   日本には以前、『子供天国』という言葉がありましたが、久しく聞いていません。明るく賑やかで、いのちの躍動を感じた子どもの頃を思い出します。タイに来てうれしい気持ちになったことの一つに、社会のただ中に子供達が喜々としていて、大事にされていることでした。家庭、社会、街のどこでも、子供は花形、特に小さい子供は注目の的です。

    雑踏の中で子供に微笑みかけ、心を配る大人たち。電車やバスの中では誰もが障害者、妊婦、老人には勿論ですが、子供にも席を譲るのです。内心、「小さい子供にならともかく・・」と思うこともありましたが、それほど子供が中心の社会で、雑踏で押し潰されたり、邪魔扱いになることはまず無い。ぐずついた子供を抱え、母親が気まずい肩身の狭い思いも無用です。

   子供連れの日本人のお母さんも、バンコクでは、「どこでも本当に可愛がってくれますね、うれしいです」と、子供を暖かく見守る微笑ましいタイ社会の良さを実感しています。安心して妊娠、子育出来る環境にほっとする日本人、私も、何よりのことと喜んでいます。

   小さき者に心を配り、いたわる社会は、神様の思いを反映しているな、と感じます。見えない世界をとらえる感性が豊かで、人間同士の心の通い合いも素直だな、と思います。小さな子がうるさいから、と言って追い払おうとする弟子たちを諌めたイエスさまのお姿が、マルコ福音書にありますが、この点ではイエスさまに喜ばれるタイ社会の今です。

   子供や、老人、病人、障害者を足手まといにしない社会には、神も仏も生き生きして、人もホッとする環境が生まれるのだと、改めて考えさせられる日々です。

 

(阿部羊子=あべ・ようこ=バンコク在住、聖パウロ女子修道会会員)

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2017年2月28日 | カテゴリー :