(読者投稿)柔らかな春の陽の中で…

 命の育み

  今 木々は若葉を芽生えさせている

  柔らかく緑鮮やかな 小さな葉が みるみるうちに伸び開いていく

  庭の紅葉は 紅二本の間に緑が一本あり

  それが調和し何とも美しい 丸い小さな房の花がいくつもぶらさがり 可愛い

  ハナミズキも白い花がたくさん 葉と一緒に開き始めた

  この季節は どこを見ても植物が輝いて見える

  人の子も動物の子も 生まれてすぐは 特に愛らしい

  柔らかな肌 つぶらな瞳 あどけないしぐさ すべてが愛らしい

  母親の乳を探し懸命に飲む それが「生きる」ということだ と知っているかのように

  神様は 生きるすべてのものの誕生と育みを

  私たちに楽しませてくださっているかのようだ

  動物の成長は早く 愛らしいしぐさのときは  じきに過ぎてしまう

  それは  動物にとっては生きるための掟のように

  そして人も 動物も 大人を見ながら 教えられながら成長していく

  すべての生きものを創られた神様は 人の知恵を はるかに はるかに超え

  命の循環を綿密に創られた

  生きることの素晴らしさも苦しさもほんのひととき すべてを味わって全うして、「生きよ」と言われているようだ

 

 老女と息子

  眼医者に来ていた老女とその息子

  老女は呼ばれて両手を引かれ 腰を曲げて歩く

  検査の椅子に座り 椅子が上がる 足が床から離れる

  耳が遠いので 大きな声で看護師が説明する

  片方の目は ほとんど見えない様子

  診察を待つ間 隣に座った息子が 補聴器を老女に付けて話す

  「これから薬を注すから見えにくくなるよ」「今日はここだけだよ」

  この二人に 私の目は潤む

  何でだろう 母とわたしを思い出したのか

  母も少し腰が曲がっていた 耳も少し遠かった 一緒に医者にも行った

  何でだろう 優しい息子だなあ 私はどうだった?

  ふと 母の世話ができてよかった あのような時を過ごせてよかった

  幸せだった と思った

  こういうことって ずっと後になって感じるのだろうか?

  息子さん おばあちゃん 幸せですね 私も幸せでしたよ

 

(カトリック東京・小金井教会 Y.W.)

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年4月30日