アメリカの大統領選挙、現職のトランプ対バイデン。バイデン氏はカトリック。カトリックが大統領になれば、アメリカの民主主義はバチカンのコントロールでゆがめられる、というWASP(White AngloSaxon, Protestant)支配下のアメリカに妄信があった。カトリック信徒J.F.ケネディーによってその迷妄は破られた。バチカンが変わったというより、社会一般が世俗化したためだろう。
バイデン氏の方が数ポイントだけトランプ氏より世論調査の支持率が高いそうだ。アメリカ人の信奉する宗教による色分けは、メルティング・ポット的でなく、サラダボールだと言われてきたが、今やそんな事を言う者さえいない。
”Black Lives Matter””と人種差別問題が表面化している。しかし一昔前に比べれば、変化はポシティブな方向で進んできていると言えるだろう。アメリカ文明はその点で進歩してきているのではなかろうか。
(三輪公忠=みわ・きみただ=上智大学名誉教授、元上智大学国際関係研究所長、プリンストン大博士)