・神さまからの贈り物 ⑤「 『思いやり』のプレゼントは、何よりも嬉しい」

 12月で思い出すのは、学校でクリスマスの準備をしたことです。クリスマスを「ケーキを食べる日」だと勘違いしていた私が、その前から心や行動を捧げる期間として過ごす体験ができたのは、学校での行事があったからでした。それ以外にも、聖劇を演じる生徒がいたり、『しずけき』を全校生徒で歌ったり、とミッション系の学校ならではの懐かしい思い出がいっぱいです。

  もうすぐクリスマスという頃、私は生徒会の仕事として下校ギリギリまで校内冊子の編集をしていました。当時、生徒会の副会長だったので、前期も経験のある自分がいろんな責任を負わなければならないと気負いすぎていました。その頃の私は体調を崩していて、授業はほぼすべて欠席していました。けれども、「生徒会の仕事には穴を開けられない」と感じ、役員たちには相談していませんでした。

  校内冊子の原稿締め切り日当日、連絡がうまくいかず、同学年の他の役員の私以外の全員が現場にいませんでした。想定外のトラブルも多発し、私はひとりでみじめな気持ちで原稿を集めていました。下校時間を過ぎてしまうと、私の学校はその日の放課後の活動をするための書類を出す必要がありましたが、それを書く余裕もありませんでした。

  巡回に来た先生が、私の様子を見て優しく声をかけました。「こんなに遅くまで、ひとりでどうしましたか?」 私はその時、涙を目にいっぱいためて堪えようとしたのは覚えていますが、耐えられたかどうかまでは覚えていません。

 その時の私は、欠席した他の役員たちとはもう一緒に仕事をしたくない、と思いました。けれども、後日、思わぬことが起きました。役員の中の1人が、わざわざ私のクラスまでやって来て、ドアの向こうから「まいちゃーん!」と私を呼びました。うっすらアイラインを引いた彼女でした。「クラスのみんなから聞いた。ずっと体調不良で授業休んでるって。どうしたの?大丈夫?」

 まさか心配してくれるとは、と驚きと安堵でいっぱいでした。 彼女は外見も内面も華やかで明るく、私とは違うタイプの人だと思っていました。だから、仲良くなれるかずっと不安に思っていました。でも仲良くなりたい気持ちはありました。私の方が彼女たちに対して小さな偏見を持ち、自分から壁を作っていたと気づきました。

  それをきっかけに、ゆっくりと変化が生まれました。透明のマスカラをつけた役員は、勉強の遅れた私に化学のノートを貸してくれました。色つきのリップをしていた役員は、最も大変な作業の切手の貼り直しの作業を私の分までやってくれました。とても嬉しい「思いやり」のクリスマスプレゼントでした。

 「彼女たちに、お化粧を教わりたかったなぁ」と、今の私なら言えるけれども、当時の私には難しかったです。でも、そうやって、年を重ねるごとに素直に自由になっていきたいです。

 Merry Christmas!そして、よい年の瀬をお過ごしください。

(東京教区信徒・三品麻衣)

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2023年11月28日