Sr阿部のバンコク通信⑤ 敬いと温もりが水のように流れる年であれ!

  タイ国では一年に三度、お正月を祝います。元旦の正月と中国正月、そして一番暑い4月13~15日に水をかけて祝福し合い正月を祝います。

 水かけ正月には、どこでも水を浴びるので、外出時は着替持参。祝いが高じて粉入りの水をかれられたり。でも、嫌な顔して遮るのは、祝福を断ることになるので、思い留まります。この時期は海外からの観光客で賑わい、子供の様にびちゃびちゃになって楽しんでいる、羽目を外した大人の姿。ストレスの多い社会では、いいお祭りだな、と思います。私も、お隣の教会のイタリー人の主任司祭にホースで水を掛けられびしょ濡れになった事がありました。

 水はタイの文化の花型要素。神聖で母性的意味合いを持ち、水を使った熟語が多く、タイに来て最初に覚えた言葉は、ナム=水=の付く単語。

 正月の大切な儀式として、聖職者、年長者、両親、先生、先輩の手に、跪座して感謝の言葉を述べながら水を注ぎ、祝福を受けます。タイに来て間もない頃、聖堂の前に司祭や長老と一緒に並ばせられ、両手に花びらの入った水を注がれて、感謝と祈りの言葉を受けました。社会の関わりの中での人間の基本姿勢が、普段の営みの中にあり、とても素敵な儀式だなと思いました。

 2017年=タイ仏暦2560年=。揺れ動く世、人と人との間に、敬いと温もりの気持ちが水の様に流れる、良き年であります様に。謹賀新年。

 (阿部羊子=あべ・ようこ=バンコク在住、聖パウロ女子修道会会員)

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2016年12月26日 | カテゴリー :