「自分自身の小さな世界に閉じこもらないで」教皇、アジア2カ国訪問終える

教皇とバングラデシュの若者たち – AP

(2017.2.2 バチカン放送)バングラデシュを訪れていた教皇フランシスコは2日のカトリック教会関係者との交流を最後に、11月27日からのミャンマー、バングラデシュ2カ国訪問を終えた。

 教皇は2日午前、首都ダッカのテジャオン地区の「マザー・テレサの家」を訪問。関係者に案内され、施設を見学された。同所は、ダッカで神の愛の宣教者会が運営する施設の中で最も小さいもので、マザー・テレサは、ダッカを訪れる際に滞在していた。教皇はこの「家」で支援を受けているお年寄りや子どもたちとお会いになり、子どもたちのコーラスに耳を傾けられた。

 続いて、近接の聖ロザリオ教会で、バングラデシュの司祭、修道者、神学生らとの出会いを持たれた。教皇はまた、聖ロザリオ教会に付属する墓地を訪れ、ここに眠る多くの修道者たちのために祈られた。

 同日午後、ダッカ市内のノートルダム・カレッジに向かわれ、カレッジの運動場で、歌やダンスを交えた若い信者たち歓迎を受けた。教皇はこの集いで、バングラデシュの青少年たちが生きる現実や、希望、信仰の証しに耳を傾けられ、バングラデシュの未来を担う若者たちに、次のような励ましの言葉を贈られた。

 「親愛なる若者の皆さん、私はあなたたちと会うたびにますます若返るのを感じます。皆さんはいつも熱意に燃え絶えずチャレンジ精神に満ち溢れています。恐れることなく絶えず前進しなさい。特に多くの問題や悲しみに押しつぶされそうなとき、神の助けや導きがないように思われるときでも。常に前向きに進んで行きなさい。

 目的なしに、さ迷うことがあってはなりません。 かえって正しい道をいつも選び取りなさい。そのためには信仰から生まれる、あの叡智が役立ちます。 あたかも神は私たちがいつもその聖なるプログラムを見分けることが出来るように私たちの中に特別なソフトを仕込んでくれたかのようです。神の声に耳を傾けながらこのソフトを絶えず更新していかければなりません。

 人生は神が私たちに託した一つの方向性を持っています。それは神に信頼を置いたわたしたちの両親や祖父母たちの残してくれた叡智でもあります。これを得るためには、わたしたちも世界に目を向け、その現状や問題を神の目をもって見なければなりません。また他人の声に神の耳をもって聞き入る必要もあります。それだけではなく、さらに全ての人々を神の心をもって愛し、物事を神の価値観をもって判断しなければなりません。神の叡智はただ利己主義にもたらすだけの幸福への偽の約束を払い去ってくれます。そしてわたしたちとは異なる考えや異なる行動の人々をも受け入れよう助けてくれるのです。

 決して自分自身の小さな世界の中に閉じこもってはなりません。自分の小さな世界に閉じこもり自分自身だけに身をかがめ、自分と同じ考えのものだけを受け入れるとするなら、いかなる民族も宗教も社会も、いずれは『自分たちだけが正しく、他の人々は間違っている』とする傲慢な思いに落ち込んでいきます。神の叡智は常に自分自身を他者に向けて開いていくということです。

 今日この集いにカトリックの若者たちばかりではなく他の宗教の若者たちも来てくれていることをわたしは大変嬉しく思います。これはたとえ宗教が異なっていてもお互いに手を差し伸べ合い、一致と和合の精神を促進しようとの皆さんの堅い決心を如実に表しています。たとえそれぞれが異なっていても、共に共通善のために一致して働くこと、わたしは皆さんこれを心からお勧めし励ましたいと思います」。

 教皇は、この若者たちとの出会いでバングラデシュでの行事を締めくくられ、現地時間2日夕方、ダッカを発ち、ローマへの帰途につかれた。

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2017年12月3日