・FABC総会第二週の討議テーマ「新たな現実」第4日ー対話、平和、そして和解

(2022.10.20 FABC news PRESS NOTE )

    FABC 総会の第2週、「新たな現実」の討議 4 日目は、バンコク大司教のランシス・ザビエル・クリエンサック・コーウィタワーニット枢機卿が冒頭、「対話、平和、和解」というこの日のトピックを紹介。教皇フランシスコの使徒的勧告「福音の喜び」をもとに、アジアに影響を与える地政学的および社会的変化と、対話を通じで宗教間に橋を架ける方策について考察した。

  FABCの会長であるチャールズ・マウン・ボー  枢機卿は、アジア教会の新しい道としての対話、平和、和解の使命について語り、「アジアを素晴らしい機会と楽観主義で生きている国」としつつ、戦争や武力抗争など平和への多くの脅威について説明したうえ、「教会は”平和の代理人”であり、対話に努め、平等を唱導し、”空の手”で権力に立ち向かう必要があります」と説いた。そして、 「教会は聖年のたびに、回心を求めている。- 平和を作ることが新しい福音宣教となるように、自分自身に挑戦しましょう。平和のために戦おう」と参加者たちに呼びかけて講演を締めくくった。

 次の講演者、メルボルンの Australian Catholic Universityの神学教授で宗教間対話の共同ディレクターであるエドムンド・チア 博士は、この総会が「アジア教会の対話の旅における重要な瞬間」であり、一連の討議から教訓を学び取るよう呼びかけ、「対話し、他宗教に感謝し、そして学習する教会」としてFABC をその実例として称賛した。

  シンガポール大司教区のシノドス委員会の共同司会者であり、宗教間対話に関する顧問と務めるローレンス・チョン氏は、特に「若者のための宗教内、宗教間対話」を取り上げ、これらに橋を架ける方法を提案した。そして、「教会の指導者は、若者に信頼されるようにし、若者の能力を育て、彼らとの関わりと対話の未来を作っていく必要がある。皆さんも若い人たちと、もっとうまく対話するように」と参加者たちに求めた。、

*以上のセッションに続いて、本会議のグループ・ ディスカッションと質疑が行わた。

 マラヤ大学経済・行政学部の政治経済学教授であるエドモンド・テレンス・ゴメス教授は、次のトピックである「今日のアジアを牽引する政治的および経済的傾向」について講演。アジアの政治史の包括的な見解を示し、さらに、現在の地政学的闘争が私たちに影響を与えているだけでなく、権威主義的支配、権力を求める運動、民主主義と高度工業化社会への腐敗の影響を詳説した。そして、参加者たちに、「国家とは誰のことですか?」と「権力はどこにあるののですか?」と問うことが、自分の国の地政学的構造を理解するための鍵であることを思い起させた。

 午後に入り、教皇庁立グレゴリアン大学の学部長であるブライアン・ ロボ 神父が、「福音を宣言するアジアの教会ー 福音の喜びに照らして、宗教間の対話の文脈に橋を架ける方法」というトピックについて詳述した。そのうえで、「私たちが共に旅する巡礼者であること」についての教皇のメッセージを取り上げ、「回心が、あらゆる取り組みを作るための文書の基本原則であり、他の文化や宗教との対話では、考えよりも現実を重視すべきこと」、そして「対話は、真実に心を開くことと愛によって特徴づけられねばならないこと」を強調した。

 またRiver Above Asia Oceania Ecclesial Networkの推進者であるペドロ・ワルポール神父 は「環境保全における組織の目的と取り組み」について説明し、食料を確保し、環境を保全し、生計を立てることの重要性を強調。参加者たちに、変化を引き起こすのを助ける人たちと連帯するよう促した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年10月24日