・新疆ウイグル自治区の病院はウイグル人妊婦に堕胎を強制している(LiCAS.news)

 (2020.8.19 LiCAS.news reporter)

  中国・新疆ウイグル自治区の病院と医療施設は、「家族計画で定めた制限を超す」出産を予定するウイグル人などの妊婦を堕胎させることで、家族計画を厳守するよう強制されている。

 Radio Free Asia(RFA=米国の「国際放送法」に基づき、米国議会の出資で設立された短波ラジオ放送局)が、新疆ウイグル自治区のいくつかの病院で15年間勤務しているウイグル人の女性産科医が語ったとして伝えたところによると、同自治区の病院では、中国政府の家族計画の実施が強制され、家族計画で定めた出産人数を超える胎児は妊娠中絶の措置がとられている。

 彼女がRFA に語ったところによれば、そのような家族計画の実施は、ウイグル人など少数民族にひと家族の子どもの数を郊外地域では3人、市街地域では2人に厳格に規制するのが狙い、といい、同自治区のどの病院も、女性たちに出産の間隔を少なくとも3年間開けること、それが守れない場合は、新生児も殺害することを求めている。どの病院も全ての妊婦の詳細な記録を保管しており、出産規制を守らせるために、子宮内避妊用具の装着も強制している。

 こうした発言は、中国政府が新疆ウイグル自治区でウイグル人など少数民族の人口削減の政策の一環として、出産率を引き下げようとしている、と報じられた後に、出された。この産科医によると、家族計画の出産制限を超えて生まれた来た新生児は、両親のもとに返されず、医療スタッフが殺害、処理されている。「それが上部からの命令、公式文書として印刷、配布された命令です。従わなければ、その病院は罰せられるので、命令に従っている」と語っている。

 米ワシントンに本部を置く「Victims of Communism Memorial Foundation(共産主義の犠牲者記念基金)」の中国問題上級研究員、アドリアン・ゼンツ氏は、 このような行為は、国連の定義では「大量虐殺」に当たる行為だ、と非難している。

 また、ニューヨークが本拠の人権団体「Human Rights Watch」のソフィー・リチャードソン中国担当課長は、新疆ウイグル自治区における家族計画は「集団的人権侵犯」である、と米政府は グローバル・マグニツキー人権問責法により、こうした行為に関わった医療専門家や他の高官に制裁措置を採らねばならない、と訴えている。そして、こうした行為を隠蔽している中国政府を非難するとともに、このような虐待行為の実態を調べる独立調査団を受け入れるよう中国政府に強く求めている。

 中国政府・共産党は2017年以来、新疆ウイグル自治区に設けた収容所にウイグル人を主体とした100万人を超える人々を留置しており、報道によると、イスラム教徒が大半を占める同自治区で、強制労働、監視、宗教や文化的な風習に対する厳重な規制が行われている、という。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年8月20日