・国内難民この一年で2倍、80万人にーUNHCRミャンマー報告(VN)

Myanmar refugess is a shelter on the Thai border. Myanmar refugess is a shelter on the Thai border.   (AFP or licensors)

(2022.2.12  Vatican News staff reporter

 UNHCR(国連高等弁務官事務所)の報告によると、ミャンマーの国内避難民(IDP)の数は、昨年2月の軍事クーデターによって引き起こされた危機の中で2倍、80万人を超えている。

*治安が急速に悪化している

 UNHCRの広報担当者によると、ミャンマー国内の国軍の民衆弾圧や反政府武装勢力との戦いが激しさを加えており、 「国内の抗争に鎮静の世敗はなく、治安が国中で急速に悪化している」という。

 同国では昨年2月1日の国軍による民主政府転覆を狙ったクーデターが起きる前に、すでに約37万人の国内避難民がいたが、その後も続く、国軍などによる民衆の武力弾圧によって、新たに約44万人が国内難民となっている。

 国軍の武力弾圧に対して、従来の反政府武装勢力に加えて、市民の自衛グループも新たに生まれており、せん滅を図ろうとする国軍によって1500人以上が殺害されている。こうした状況から、UNHCRは、「故郷を捨てざるを得ない人々は増え続けており、その動きは今後、数週間から数か月にわたって加速する」と懸念している。

 

*少数民族が多い地域に大きな被害

 UNHCRによると、カレン、カヤ、モン、シャン(南)の各州、およびバゴー(東)とタニンダーリの各地域で新たに国内難民となった44万人の住民の半数以上を占めている。さまざまな武装グループ間の敵対行為の高まりが大規模な国内難民の発生を引き起こし、カイン州とカヤ州の住民が最も影響を受けている。同国北西部のチン州、マグウェ州、サガイン州で約19万人が故郷を捨てるのを余儀なくされている。

 UNHCRの広報担当者は、「治安の悪化、交通・通信障害、通行証の交付の問題などから、国内難民に対する人道支援活動に大きな支障が生じており、改善が見られない。このため、現地の支援グループに大きく依存し、彼らの可能な範囲で連携を取っての支援に努めている」と説明している。

*多くの緊急人道支援が必要とされている

 UNHCRの人道支援は、他の国連機関や地元の支援団体などと協力して行われている。昨年は、9つの州と地域で約17万人に対して、防水シート、ロープ、毛布、食事セット、蚊帳、バケツ、就寝用マット、衛生キット、感染防護具、ソーラーランプ、防寒キットなどの救援物資を配布した。

 シャン州には、住民が激しい襲撃にさらされているカヤ州から多くの難民が流入を続けており、支援物資の配布調整のための拠点を現地にもうけている。同州の州都タウンジーとその周辺地域への救援物資の供給は1月中旬に始まり、近隣の町に拡大しており、これまで1か月に、シャン州で約1万人、カヤーで2000人の国内難民に物資供給をした。

 だが、ラカイン州の難民キャンプなどにいるロヒンギャ難民は約60万人にのぼり、なお多くの人道的支援を必要としている。

*政治的、社会経済的、保健衛生危機

 ミャンマーでは、治安上の問題の深刻化に加え、商品価格の上昇、雇用と所得の損失、基本的な生活サービスの中断などが続いている。国際労働機関(ILO)による最近の報告によると、2021年に約160万人の失業者が発生した。軍事クーデターは、新型コロナウイルスの大感染の影響ですでに弱体化していたミャンマーの雇用市場に打撃を与え、女性が最も深刻な影響を受けている。そうした中で、国内難民の大半は、人道支援で命を繋いでいる状況だ。

(編集「カトリック・あい」)

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2022年2月13日