(2021.12.27 Crux Senior Correspondent Elise Ann Allen
ミャンマーのカヤー州のフルソ村の惨状。子供たち30人以上を含む38人が射殺され、遺体に火がつけられた (カレンニー族国防軍(KNDF)がAP経由で提供)
ローマ発–25日のクリスマス直前、ミャンマー東部カヤー州のフルソ村でで、国軍によって子供たち30人以上を含む38人が射殺されたうえ、切断、火をつけられる、という惨劇が起こされた。
同国のカトリック教会の指導者、チャールズ・ボー枢機卿は、犠牲者を悼むとともに「悲痛で恐ろしい残虐行為だ」と批判。ただちに暴力を止め、平和的な対話を始まるよう、政府と反政府勢力の双方リーダーたちに訴えた。
教皇フランシスコも25日のクリスマス・メッセージで、ミャンマー情勢について、「不寛容と暴力が、人々の平和な表情を曇らせている」と憂慮している。
ボー枢機卿は「”非人道的な蛮行”としか言いようのない卑劣な行為」とし、「殺され、焼かれ、そして切断された人々の遺体がクリスマスの日に発見された、という事実は、この惨劇をさらに痛烈で不快極まりないものにします」と強く批判した。
英国を拠点とする国際人道支援団体のSave the Childrenのスポークスマンは27日、同村での惨劇の後、人道支援中だった間ヤンマー人の現地スタッフ2人が行方不明になっている、と述べた。(28日付けの声明で、2人はこの惨劇で殺害された、と発表)
アウン・サン・スー・チー氏が率いる政党の議員たちが、軍事政権に対抗するために発足させた「国民統一政府」も声明を発表。
この惨劇を、世界が平和のメッセージであるクリスマスを祝おうとしている中で、国軍が起こした”クリスマスの大虐殺”として強く非難するとともに、「軍事政権の戦争犯罪とミャンマー国民に対する人道にもとる罪を断ち切るため、即座に、断固として行動する」ことを、世界各国の政府責任者たち、世界の人々に改めて訴えた。
ミャンマーでは、2月1日の軍事クーデター以後、国軍が樹立した政権とそれに抵抗する武装勢力の間で騒乱が続いており、人権団体「政治犯支援協会(ビルマ)」が27日発表したところでは、これまでに確認されただけで1377人の市民が国軍によって殺害され、拘束された人々は累計で1万1232人に上っている。
国連機関や国際人権団体などは、ミャンマー軍事政権に対し、国民に対する残虐行為をただちに中止し、騒乱で家を無くし窮状に陥っている人々への人道援助が円滑にできるよう求めているが、いまだに実現していない。
一方、ミャンマー国軍は声明で、「村の反対勢力に属する不特定多数の『武器を持ったテロリスト』を射殺した。彼らは7台の車両で移動しており、軍の命令を受けても停止しなかった」と攻撃を正当化している。
ボー枢機卿は声明で、フルソ村での惨劇だけでなく、「カレン州での空爆により、タイとの国境を越えて数千人が避難したアというニュースがクリスマスイブに届きました」と述べた。s
そして、「多くの周辺地域も砲撃、砲撃、大量破壊に晒されています。このような悲劇は、いつ終わるのでしょうか?ミャンマーでの数十年にわたる内戦はいつ終わるのでしょうか?正義と真の自由をもって、いつ真の平和を享受できるのでしょうか?いつお互いを殺し合うのをやめますか?」と問いかけ、「暴力は、私たちの問題の解決策になることは決してありません。銃や武器は答えにはなりません」と戦闘を続ける国軍と反対武装勢力双方に訴えた。
さらにミャンマー軍に「無実の人々への爆撃と砲撃をやめ、家や教会、学校や診療所の破壊をやめ、民主主義団体や民族集団との対話を始めるように」求め、反軍事政権武装グループに対しても、「銃は暴力を永続させ、より多くの死、より多くの飢餓を引き起こし、子供たちの教育、経済、健康に壊滅的な結果をもたらす」として自粛を訴えている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.