・ミャンマー・ロイコーで避難民200人収容の大聖堂も攻撃に巻き込まれる

(2022.1.14 Crux Senior Correspondent  Elise Ann Allen)

 ローマ発–ミャンマー北部のロイコーの町で200人近くの避難民を収容・保護しているカトリックの大聖堂が、空爆と迫撃砲攻撃に巻き込まれ、避難民はもちろん聖職者たちも危機的な状況に追い込まれている。

 カトリック・ロイコー教区の管理者、フランシス・ソエ・ナイン神父が11日の時点の状況としてイタリア司教団の公式報道機関SIRに語ったところによると、攻撃を受けたのはロイコーの「王たるキリスト」の大聖堂。大半が女性、子供、高齢者、体の弱い人からなる200人近くの避難民を収容・保護していたが、大聖堂を含むロイコーの街全体が戦闘に巻き込まれた。

 「迫撃砲など重火器だけでなく、飛行機やヘリコプターでも攻撃されています。避難民たちをここにとどめていることはできないので、別の場所に移動中。これまでのところ、私たちは皆、神のご加護で無事でいますが、予断は許しません」と危機を訴えている。

 近くのドゥクにある聖心教会の鐘楼の1つが迫撃砲の攻撃によって既に破壊されており、「危険は非常に大きい。私たちは戦場の真っただ中にいます。ロイコーはほぼ毎日、武器、空爆、ヘリコプターに攻撃されている。

 ロイコーの9万人の住民のうち5万人は安全な場所を求めて自宅などから脱出している。市街に残っている人はほとんどいない」とナイン神父。ロイコーに7つあるカトリック教会の聖職者や避難民など信徒は安全な場所を求めて移動しているが、「教区の数人の司祭や修道女さえ、どこが安全な場所か分からない状態」という。

 UNICEFは声明で、ミャンマーでの戦闘の激化に「深く懸念している」と述べ、「民間地域での空爆と重火器の使用が報告されている」と非難。「特に子供たちへの攻撃に特に憤慨している。子供たちの保護を『絶対的な優先事項』とし、子供たちを戦闘地域から遠ざけ、彼らのいる地域を攻撃の標的としないよう」国軍や反政府勢力の指導者に求めている。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)は、先月まとめた「UN Humanitarian Needs Overview」で、ミャンマーの現在の混乱により、今年初めの段階で全人口のほぼ半数が貧困に追いやられる、と予想している

 昨年2月のクーデターで、国軍が民主政府の指導者たちを追放し、権力を掌握して以来、ミャンマーは市民による大規模な抗議デモが続き、武装集団も国軍に対する攻撃姿勢を強め、これを力で抑え込もうとする国軍も空陸から重火器による無差別攻撃で対抗。

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 政治囚支援協会(ビルマ)によると、14日現在で、昨年2月のクーデターから同日までには、国軍によって殺害された民間人は少なくとも1469人、逮捕・拘束者は累計で1万1554人に達している。(「カトリック・あい」)

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年1月16日