・ミャンマー、国軍クーデターから間もなく2年、死者は3000人近く、教会も破壊ーボー枢機卿”平和の巡礼”開始を訴え

The ruins of the Church of the Assumption in Chan Tar, which was burnt to the ground by Burmese soldiers.ミャンマー北西部、チャンターの聖母被昇天教会が国軍の攻撃で町と共に破壊された 

(2023.1.21 Vatican News  Christopher Wells)

 ロシアによる理不尽極まる攻撃が一年近く続くウクライナに世界の注目が集まっているが、東南アジアでは軍事クーデターから間もなく2年となるミャンマーでも国軍による武力弾圧が止まない。

 ミャンマーの人権団体AAPPの発表によると1月20日現在で市民の死者は累計で2796人、逮捕者は1万7404人内拘留中が1万3619人にのぼり、なお増え続けている。14日には、北西部チャンターの129年の歴史を持つ聖母被昇天教会の聖堂と司祭館、修道院など関連施設が、周辺の少なくとも120軒の商店、住宅とともに、国軍によって放火、破壊された。

 このような事態を受けて、アジア司教協議会連盟会長でミャンマー司教協議会会長でもあるヤンゴンのチャールズ・ボ―枢機卿が20日、マンダレーのマルコ・ティン・ワン大司教、タウンジーのバシリオ・アタイ大司教と連名で声明を発表。「私たち全員で平和の巡礼に着手する必要がある」と訴えた。

 声明は「多くの資源に恵まれた偉大なこの国で、人々の命が奪われ続けている。胸が張り裂けるような悲劇です」とし、「ハーグ条約など国際的な取り決めでは、礼拝の場、学習の場、癒しの場の保護が定められています」と指摘。「痛みと苦悩をもって皆さんにお尋ねしたい。なぜこれらの神聖な場所が攻撃され、破壊されたのでしょうか」と問い掛けた。

 そして、礼拝の場は、「国が癒されるために必要な相互依存と相互関係の感覚を促進する場」であるとし、「このような場が容赦なく焼かれることで、社会を正常に戻すことが極めて困難になる」と警告した。

 さらに声明は、「私たちは人間として、これまで十分に苦しんできました」としたうえで、「さまざまな信仰の伝統の指導者として、ミャンマーのすべての利害関係者に次のように嘆願しますー国として、国民として団結して平和への神聖な巡礼を始めましょう。平和は可能です。平和こそ唯一の道です」とすべてのミャンマー国民に訴えた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年1月22日