・教皇、バチカン社会科学アカデミーの新会員に「大学憲章から『思想の自由』を外し『共産党の指導に従う』と誓った中国・復旦大学」の教授を任命

(2023.6.5  カトリック・あい)

 バチカンが5日発表したところによると、教皇フランシスコは同日付で、社会科学アカデミーの会員として、新たに中国・復旦大学の白東東教授(中国哲学・政治哲学)と米国・エール大学環境大学院のジャスティン・ファレル教授(社会学)の二人を任命された。

 中国国籍の初の会員とされる白教授は、1970 年 6 月 4 日に中国・北京で生まれた。 2004 年に米国のボストン大学から哲学博士号を取得、米国オハイオ州にあるイエズス会経営のザビエル大学で教授を務めた。 現在は、復旦大学、ニューヨーク大学法学部、同大学上海校の教授を務めている。 中国哲学と政治哲学に関する多数の著書があるという。

 復旦大学は上海市に本部を置く中国を代表する総合大学で中国国家重点大学の一つだが、2019年に大学憲章から「思想の自由」への言及を削除し、「共産党の指導に従うことを誓う」「教職員に習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想を身につけさせ、教師と学生の心を武装させる」と付け加え、教員と学生に「社会主義の核心的価値観」の遵守を義務づけた。

 中国専門家からは、このような復旦大学の憲章の改定に、「若者が、共産党政権反対に傾く土壌を排除しようという思惑がある」との見方があり、中国政府・共産党が国内にとどまらず、海外にまで人権圧迫の動きを強めている中での、今回の復旦大学教授の任命の意図を測りかねるとする声も欧米関係者から出ている。

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2023年6月5日