・”コロナ禍”で、中国当局がプロテスタント教会も数多く閉鎖(BW)

 中国では、新型コロナの世界的大感染の中で、感染防止を名目とした、教会の閉鎖、破壊が、政府・共産党の管理・統制を受け入れたプロテスタント教会でも、広範に進んでいる。

*安徽省の4つの都市で100以上の会場が閉鎖

    ある調査によると、中国の安徽省東部の4つの県レベルの都市で、プロテスタントの三自教会と家庭教会の100以上の聖堂や集会所が閉鎖された。内訳は蘇州で43、淮北で24、阜陽で20、宣城で16、などだ。(*注:三自愛国教会=中国共産党の主導によって設立されたプロテスタントの合同教会。自養、自治、自伝から「三自」の名称が付けられた。世界教会協議会(WCC)に加盟)

Over 100 venues were shut down in four Anhui Province cities.

Over 100 venues were shut down in four Anhui Province cities.

 今年8月7日、阜陽の臨泉県政府は、管内の三自教会を「政府に従わない」「学校に近すぎる」「建物が老朽化した」などの理由で別の教会と統合し、建物、42万人民元(約6万ドル)の献金、そして教会の備品をすべて押収した。

 信徒たちは、「教会が宗教活動場所の登録証明書を持っている。当局が没収したお金は教会のものだ」と当局に抗議した。彼らは、BitterWinterの取材に対して、「私たちの抗議に対して、当局は『証明書を発行した地方政府には無効にすることもできる。中国に住んでいる限り、すべては中国共産党に属するのだ』と答え、さらに『我々は、中央から、できるだけ多くの教会を統合するように指示されている』と言いました」と語った。The Xihuang Three-Self venue in Changfeng county was demolished.破壊された.長豊県の三自教会

 臨泉県にある別の三自教会も、今年9月、「免許がない」と言う理由で閉鎖された。また合肥市の長豊県政府は、「免許がない」として・三自教会を取り壊した。

 江蘇省でも徐州市の県級市である邳州市(ひしゅう-し)で今年春、「新型コロナ感染防止」の名目で、いくつかの情報を合わせると、三自教会の聖堂や家庭教会の集会所が111も閉鎖され、宗教的な像や絵画などが撤去された。ある地元の人は「聖像を破壊し、聖書を没収することと、新型コロナ感染防止はどうつながりがあるでしょう」と皮肉を込めて語っているが、当局は「建物を閉鎖するのでなく、多くの人が集まることで感染するのを防ぐためだ」と説明したという。A shut-down Three-Self venue in Gangshang town.

A shut-down Three-Self venue in Gangshang town.A house church was shut down in Linyi city’s Lanshan district.A house church was shut down in Linyi city’s Lanshan district.

 浙江省の温州市では、8月に多くの家庭教会が閉鎖された。 「南匯区だけでも12を超える家の教会が封鎖されています」と、関係者がBitterWinterに語った。温州の県級市である楽清の柳市町政府は、2000人の信者を収容できる大規模な家庭教会の集会所を閉鎖した。昨年6月以来、当局は、「政府は、教会員が外国の教会と団結して対抗し、国の安定を危険にさらすのを懸念している」として、信徒たちに集会をやめるよう命令を繰り返していた。

 広東省の河源市政府は今年2月、家庭教会の集会所を取り壊した後、高齢の信徒たちが近くの山の洞窟に集まり、祈祷などをしていたが、地元当局は、信徒たちが洞窟に入らないように壁を作り、その上にガラスの破片を置くことまでした。これに対して信徒たちは、洞窟の外に小屋を設置したが、当局は、あらゆる場所での集会、祈祷を禁止してしまった。

 河源市では、別の家庭教会の集会所も5月に取り壊された。同じ広東省の東莞では20以上の教会が閉鎖された、とある牧師は語っている。

Elderly believers gathering in a cave.
Elderly believers gathering in a cave.  
Another house church meeting venue in Heyuan city was demolished in May.

貧困緩和の名の下に調査、閉鎖

 陝西省では、漢中市の南鄭区にある家庭教会に5月、貧困緩和担当の役人が来て、16人の信徒たちがいることを確認して、警察に通報。警察は会場を閉鎖するよう命じ、「あくまで信仰を実践し続けるなら、”社会的利益”を奪う」と脅した、という。

 同様に、山東省の臨沂市の県政府当局者が6月、貧困緩和政策の一環として管内視察中に、家庭教会の集会場を見つけ、会場の十字架を取り壊し、すべての集会をやめるように命じた。

 今年7月には、河南省中央部の周口市の貧困緩和当局者が、「住民の携帯電話番号を登録するため」という名目で家庭教会の集会場に立ち入り、十字架やその他の貴重品を没収し、教会員に集会の取りやめ約束する声明を書くように強制。 100人以上の信徒が集まっていた集会場は閉鎖された。信徒たちは「集会施設は大半が地方政府に登録されており、証明書も持っている」と訴えたが、「発行者の地方政府には、それを無効にする権限もある」として聞き入れなかった。

 江蘇省の連雲港市と宿遷市では昨年、約70のプロテスタント教会と祈りの場が、地方当局により閉鎖された。さらに、集会が再開されないように、聖堂や会場を取り壊す、ないしは他の目的に転用する方針を決めた。

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 中国におけるキリスト教徒に対する取り締まりは広範囲に及んでおり、習近平主席の統治下で、激しさを増している。習主席は、「宗教の中国化」というよく練られた政策推進のために宗教を標的にした最初の中国の指導者、見なされている。

 『中国における宗教の中国化』の著者、トーマス・ハーベイによれば、この政策は中国の文化と社会における宗教的信仰、慣習、儀式の土着化を目的としている。宗教の中国化は、イデオロギー的、法的、官僚的な意味合いを持っており、国内の宗教組織とその指導者は、国家が義務付けた社会主義と中国共産党の指導を受け入れることが求められているのだ。

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2020年12月12日