(2024.1.30 Crux Senior Correspondent Elise Ann Allen) ローマ発 – この一週間、中国のカトリック教会にとって、毛沢東の共産主義革命以来初めての新司教の任命や本土での新設など、いくつかの重要な進展があった。だが、教皇の対中国の新たな動きは、中国における宗教的少数派に対する扱いなど人権問題に関する世界的な議論が再び高まっている時期に発表された、という問題もある。
教皇は2013年に着座して以来、中国当局との架け橋を築くために多大な努力を払っており、昨年2023年は関係強化を目的としたいくつかの重要な行動をとった。
中国側が一方的に行った 沈斌司教の上海教区長への異動を最終的には承認し、教皇は昨年9月にモンゴルを訪問した際、「気高い中国人民」に特別なエールを送り、同月下旬には香港のStephen Chow司教に赤い帽子を与えた。 教皇と同じイエズス会士であるは「香港教区の自分の仕事はバチカンと中国の”架け橋”となること」と繰り返し述べ、中国当局らからは「友好的人物」とみなされている。
Chow司教は昨年4月に北京を訪問し、返礼として、11月に北京の李山・司教を香港に招いた。 中国政府・共産党承認の司教2人が、10月に開かれたシノダリティ(共働性)に関する世界代表司教会議(シノドス)第1会期に一定期間、出席し、今年10月の第2会期にも参加すると見られている。
そうした中で、先週の新司教叙階式は、バチカン当局の長年の願望であった「中国との完全な和解」に向けたさらなる一歩を示している。 教皇が昨年、沈斌司教の上海への異動を受け入れた後、バチカンのピエトロ・パロリン国務長官はVatican Newsとのインタビューで、「北京に常駐の教皇代理が間もなく指名されるだろう」と述べていた。
だが、教皇の対中国の新たな動きは、中国における宗教的少数派に対する扱いが再び世界的な議論の種となっている時期に発表された、という問題もある。
1月23日、国連人権理事会はジュネーブで会合を開き、ウイグル人、チベット人、香港の民主派反体制派に対する扱いを巡り米国を含む西側民主主義国から批判されている中国の現状について話し合い、英国代表は、中国に対し、「ウイグル人とチベット人の迫害と恣意的拘束を停止し、監視、拷問、強制労働、性暴力を恐れることなく宗教や信仰、文化表現の真の自由を認める」よう要求した。
同理事会はまた、中国政府が香港に課した国家安全維持法を廃止するよう勧告し、”外国勢力との共謀”の罪で逮捕、起訴され、2020年から投獄されたままの香港のメディア王、カトリックの民主活動家のジミー・ライ氏の釈放を求めた。
米国も同様に、中国は「恣意的に拘束されたすべての人物を釈放」し、「チベットと新疆の寄宿学校を含む強制同化政策」を中止すべきだ、と主張した。
これらの勧告は、193の加盟国が5年ごとに互いの人権記録を審査する国連人権理事会による定期審査の一環として行われた。 2018年の中国による前回の見直し以来、香港では大規模な民主化運動が起きたが、鎮圧され、国家安全維持法で徹底的な取り締まりが行われており、新疆ウイグル自治区の状況についても国際的な監視の目が一段と強まっている。
だが、 中国側は、陳徐・国連大使が1月23日、人権委の報告は「誤解や誤った情報」に基づいていると述べるなど、これを否定、無視する立場を続けている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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