・中国共産党大会へ、プロテスタント「三自教会」が”中国化”推進の報告書提出(BW) (2022.10.15 Bitter Winter Zhang Chunhua) 中国共産党の第20回大会が16日、北京の人民大会堂で開幕したが、中国政府・共産党の管理下にあるプロテスタント教会の集合体「三自教会」が同大会に「キリスト教の”中国化”」についての報告書を提出する。 この報告書は8日に、「三自愛国運動委員会」の委員長、つまり三自教会の代表、徐蕭紅・牧師(左写真)の名でまとめらている。中国のプロテスタント教会の”中国化”達成のためのこれまでの努力を振り返り、将来の道筋について提案。理論的なポイントは、中華人民共和国の歴史の中で、”中国化”の概念がどのように”進化”してきたかを説明することにある。 ここ数年、三自教会は中国化の教義の主な創始者として、神学者の趙子辰(写真=T.C. Chao、1888–1979)を高く評価しています。浙江省徳清県にある趙の展示ホールには今年、三自教会の主要指導者が訪問し、信徒たちの巡礼も継続的に計画さ れている。 趙に対する評価は「反宣教」と「反米」の姿勢によるもの。今日のプロテスタントの中国化の教義は、その著作をもとに進化したと言われ、「中国のキリスト教は、外国や西洋の影響やスタイルから可能な限り分離されるべきだ」という趙の考え方は、今でも有効であると宣言されている。 具体的な例としては、教会建築のあり方。十字架やその他の特定のキリスト教の特徴となるものを除去、ないしは小型化し、礼拝堂を一般のホールや道教あるいは仏教の寺のようにする、というものだ。 しかし、中国と西洋のキリスト教の関係を断ち切ることは必要だが、それだけでは十分ではない、と徐は説明する。問題は、廃棄された西側のコンテンツを何に置き換えるかということだ。その場合、宗教の中国化に関する「習近平の考え」が役に立つ。昨年12 月 に開かれた宗教問題に関す る全国会議での演説で習近平主席が言明した”中国化”は、宗教を中国文化に適応させるにとどまらない。宗教を「マルクス主義の宗教観」と「中国の特色ある社会主義的宗教論」を両立させることを意味するのだ。 徐牧師は、マルクス主義が無神論的イデオロギーであることに異議を唱えることの問題を認識しているが、徐牧師は、報告書で「無神論」という言葉を慎重に避けている。そして彼は、キリスト教が「中国固有の現実」と中国共産党の伝統(主に鄧小平・主席の見解を意味する)に適応した場合、マルクス主義の宗教理論はその即時の終焉を要求しない、と信じている。 習近平が 2021 年12月の会議で述べたように、宗教は無期限に生き残ることができるが、中国における宗教の役割は、中国共産党を支持するよう信者を説得することであり、”社会生活”を妨げてはならず、若い世代の教育から離れねばならない。 2018年から2022年の中国化5か年計画が終わりに近づく中で、徐牧師は先日、「中国におけるキリスト教の中国化を促進するための新5か年計画(2023年から2027年)」を発表した。これには、中国全土のプロテスタント三自教会で行うことを事実上義務付ける、より標準化された説教が含まれており、中国のプロテスタント教会を「習近平同志を中心とする党中央委員会の周りでより緊密に団結させる」ように導くことを牧師たちに望んでいる。 (翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二) *Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。 ツイート