・香港、陳枢機卿の裁判始まるーバチカン元高官の枢機卿が「彼が非難されることはない」と表明

(2022.9.26 カトリック・あい)https://www.licas.news/2022/09/26/hong-kong-cardinal-goes-on-trial-over-protest-fund/

Cardinal Joseph Zen on Hong Kong rooftop

 中国政府・共産党の国内での信教の自由を含む人権弾圧を批判する香港の陳日君・枢機卿の公判が26日、香港の裁判所で始まった。米CNNなどが同日報じた。また、この問題について、バチカンが実質的な沈黙を続ける中で、高位聖職者でバチカンの元高官が、枢機卿への強い支持を表明して注目されている。

 陳枢機卿の容疑は、2019年の香港民主化運動の参加者たちのための救済資金に関与した、というもの。裁判は、バチカンと中国政府・共産党が司教任命に関する暫定合意が二回目の期限を迎える中で、カトリックの高位聖職者のこのような扱いに対して、バチカンがどのように対応するのか、世界的に注目されている。

 26日付けのCruxによると、26日の裁判に先立つ23日、高位聖職者の中で中国の専門家とされているフェルナンド・フィローニ枢機卿(聖墳墓騎士団団長、元福音宣教省長官)が、イタリア司教協議会の機関Avvenireに投稿、陳枢機卿を「神の人。キリストの愛に従順な、本物の中国人だ。私が知っている人たちの中で、彼ほど真に主に忠実になれる人はいない」と高く評価し、裁判の行方について「陳枢機卿が非難されるようなことはない」と”保証”した。

 陳枢機卿は昨年5月、香港の主要な民主活動家たち3人とともに、香港の国家安全保障警察に、すでに活動停止の処分を受けていた救済資金の理事として中国国家安全維持法の定める「外国勢力と共謀した」罪で逮捕され、いったん釈放されてた。26日朝、90歳の陳枢機卿は杖を突いて香港・西九龍の裁判所に入った。

 バチカンはこれまで、陳枢機卿の逮捕、起訴について、ほとんど沈黙してきた。教皇フランシスコは9月初めのカザフスタン訪問からの帰路の機上会見で、「枢機卿の逮捕、起訴は信教の自由の侵害と考えるか」と質問されたのに対して、中国政府との「対話の道」を続けること「中国のメンタリティ」を尊重することの重要性を繰り返し強調。「非民主的な国と考えるか」との問いにも「とても複雑な国だから」と、直答を避け、陳枢機卿の逮捕、起訴についても明確な批判はしなかった。

 バチカンは2018年に、中国国内での司教任命について中国政府と暫定合意し、それに基づいて、これまでに中国政府の管轄下にある中国天主愛国協会が一方的に任命していた7人の”司教”を教皇が正式に司教として認めたが、陳枢機卿は、これを「(注:教皇のみに忠誠を誓い、中国政府・共産党の弾圧にも屈しないでいる)中国のカトリック教徒に対する)信二らいないほどの裏切り」であり、「バチカンは、羊の群れをオオカミの口に入れた」と強く非難していた。

 CNNは24日の報道で、「陳枢機卿は、支持者たちから『香港の良心』として知られ、長い間、香港における民主主義、人権、信教の自由の著名な擁護者だった。2003年の中国政府・共産党による国家安全維持法の制定に反対する大集会から、2014年の普通選挙の実施を求める『雨傘運動』まで、香港における最も重要な抗議行動のいくつかの最前線に立ってきた」と評価している。

 

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年9月26日