◎「いつも愛しなさい、全ての人を愛しなさい」-教皇、バーレーン国立競技場でミサ

Pope Francis presides over mass in Bahrain 

(2022.11.5 Vatican News   Francesca Merlo)

   バーレーン訪問3日目の5日午前、教皇フランシスコは、アワリ市内のバーレーン国立競技場でミサを捧げられ、参加したすべての信徒たちに、「悪の鎖を断つように、全ての人を常に愛することで暴力の悪循環を壊すように」と促された。

Pope Francis is greeted by thousands of faithful as he arrives in Bahrain's National Stadium

 ミサ中の説教で、教皇は、先に朗読されたイザヤの「(私たちのために生まれた一人のみどりごの)主権は増し、平和には終わりがない」(イザヤ書9章6節)という言葉を取り上げられた。

 そして、「私たちは、『より多くの力を求めれば求めるほど、平和を脅かす』ことに、よく気づかされます。ですから、このイザヤの言葉は現実と矛盾しているように聞こえますが、彼は驚くべきニュースを告げているのですー『私たちのところにおいでになるメシアは、戦争を起こしたり、他者を支配する司令官ではなく、神と人とを、そして人を互いに和解させる”平和の君”(9章5節)として、強い力を持っておられるのだ、と」と語られた。

 教皇は続けて、「その偉大な力は、暴力によるものではなく、愛の弱さによるものです」とされ、信徒たちに、一度、立ち止まって、今、朗読されたイエスの言葉、山上の説教で群衆に語られた「常に愛し、すべての人を愛するように」(マタイ福音書5章38⁻48節参照)について考えるよう求められた。

 

Pope Francis presides over mass in Bahrain

*常に愛しなさい

 「このイエスの言葉は、私たちを常に愛するように勧めています」とされた教皇は、「イエスは、私たちの人間関係で、日々、愛と憎しみのせめぎあいがあることをご存じです。そして、私たちの心の中にも、日々、光と闇の間で衝突があります」と指摘。

 このことを念頭に置いて、教皇は、「抑圧と暴力を糧とする権力を使う行為、他者の空間を制限することで自分の空間を広げようとする行為、自分の支配を押し付け、人の基本的自由を制限し、そうして弱者を抑圧す行為を、世界中で目の当たりにされ、イエスは苦しんでおられます」と語られた。

 さらに教皇は、「このような状況の中で、私たちが何をすべきでしょうか」と信徒たちに尋ねられ、「主が求められているのは、私たちが友愛に満ちた理想の世界を夢見ることではない。普遍的な友愛を、勇気を持って具体的に実践すること。たとえ悪が私たちを誘おうとも、善を貫き、復讐のスパイラルを断ち切り、暴力を排除し、心を非武装化することです」と説かれた。

 そして、「平和のために、常に努力せねばなりません。厳しい言葉にさらに厳しい言葉をもって応えたり、平手打ちが別の平手打ちにつながったりすれば、平和を取り戻すことはできません。武装を解除し、悪の連鎖を断ち切り、暴力の連鎖を断ち切り、恨み、不満、自己憐憫に終止符を打つ必要があります。私たちは、常に愛し続ける必要があります。それが、天の神に栄光を帰し、地上に平和を築くイエスのなさり方です」と強調された。A view of the main stage

 

*すべての人を愛しなさい

 次に、教皇は「すべての人を愛する」ことに注目され、「私たちが愛することに専念することはできますが、それを私たちの身近な”サークル”に限定して行うだけでは十分ではありません。私たちが父の子供になり、兄弟姉妹の世界を築きたいなら、全ての人を愛する方法を学ぶことです」と説かれた。

 「敵を愛することは、この地球を、天の鏡にすることです」

 説教の締めくくりに、教皇は「イエスの力は”愛”であること」を強調。イエスは、このように愛する力、「私たちには超人的に見える」力を私たちに与えてくださると強調しました。

 最後に、教皇はバーレーンの国立競技場に出席したすべての人に感謝し、「あなたがたを見つめ、抱きしめを愛し、励ます」普遍教会の愛情と親密さを、彼と共にもたらすことを、集まった信徒に確信をもって語られた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2022年11月5日