・IAEA総会で、バチカン外務局長が核軍縮と原子力の平和利用推進を訴え

 バチカンのポール・ギャラガー外務局長は16日、ウィーンで始まった国際原子力機関IAEA総会で演説し、同機関の「核不拡散と核軍縮」と「原子力技術の安全で、平和利用の推進と発展」への努力と貢献を支持することを強調した。

 演説で外務局長はまず、「核不拡散、核軍縮、そして核技術の平和利用という広範な目的の達成は、IAEAの戦略にかかっています」とその重要な使命を強調。IAEAが提供する原子力に関する様々な科学技術が、国連で合意したSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)達成の助けとなり、世界の包括的な発展を推進し、神からいただいた創造物の管理責任をよりよく果たすことが可能になる、と期待を述べた。

 さらに外務局長は、社会的な進歩をもたらし、共通善を推進するどのような努力も、全ての男女の包括的な成長を確実にしようとする熱意を基礎に置く必要がある、と指摘し、「人間を、開発の中心テーマ」とする国連開発権宣言を挙げた。

 また、前教皇ベネディクト16世が、正しい発展のための平和的で安全な原子力技術の利用を支持する、と語られ、「人、人間の尊厳と自由、人間家族の将来、そして地球の長期にわたる持続的発展を大切にする文化」を作るための科学と宗教の対話と協力を続けることの重要性を強調されている… このような立場から、「教皇フランシスコは、現在の科学技術の大幅な発展が、必ずしも、人間的な責任、価値観、良心の成長を伴っていない、と嘆かれている」と語った。

 さらに、外務局長は、IAEAが広範な国際的合意と議定書を通して、世界を核兵器の危機から解放することに寄与していることを評価。具体的に、イランと北朝鮮に関するIAEAの対応を支持する一方、「がん治療のための行動計画」 (PACT)(2004年にIAEAが作成。先進国の放射線医学と技術に関する経験に基づいて、 発展途上国がん治療能力を導入、拡大、または改善できるようにする)をもとにした戦略を進めているIAEAの努力に謝意を表明した。

 (翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

 

 

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2019年9月22日