・教皇、ボッカルディ駐日教皇大使の退任を承認-この重要な時期に”定年前倒し”の外交官規則”活用”とは?

(2023.9.1  カトリック・あい)

 バチカンの9月1日付けの公式発表によると、教皇フランシスコが同日付けで、駐日教皇大使、レオ・ボッカルディ大司教の大使退任願を受理、退任を認めた。後任は発表されていない。ボッカルディ大司教は、現職のまま急逝したジョセフ・チノッティ前大使の後を継いで、2021年3月に駐イラン大使から駐日大使に就任した。それからわずか2年半での退任となる。

 高位聖職者の役職定年は慣習的に75歳となっているが、バチカンには「70歳を迎えた時点で現職からの引退を前倒しできる」という外交官のための規則(art. 20, § 2)がある。今年4月15日に、70歳の誕生日を迎えた大司教は、この前倒しルールを使って引退願を出したものだ。

 司祭、信徒の急激な高齢化、減少への対応という重い課題を抱える日本の教会には、緊急にバチカンの判断や指導が求められているいつくかの問題がある。そのひとつは、5年近くの間、空席になっている東京大司教区の補佐司教の任命問題だ。2017年12月に就任した菊地大司教には、日本の司教協議会会長、アジア司教協議会連盟事務総長、さらに国際カリタス総裁などいくつもの重責を担っているにもかかわらず、補佐司教がいまだに教皇から任命されないというのは、常軌を逸している、とも言える。

 また、先月15日にバチカンが発表した大阪、高松両教区の合併を、両教区の信徒、司祭などの意向を反映しながらいかに円滑に進め、さらにこれを機に、日本の教会の教区再編・統合を含む抜本的な機構改革につなげるかも、差し迫った問題だ。

 バチカンと連携しつつ、課題解決に重要な役割を果たす立場にある教皇大使が、このような重要な時期に”前倒し退任”をする、というのは、その判断自体に首をかしげざるを得ないばかりでなく、日本の教会の取り組みにも大きな支障をもたらすことが懸念される。

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2023年9月2日